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ついに「太陽の沈まない国」イギリスが「太陽の沈む国」に


世界各地に領土を持ち、そのどこかで常に太陽が昇っている国を、かつて世界の覇権を握ったスペインのように「太陽の沈まない国」と呼びます。21世紀になっても、イギリスとフランスの2国は「太陽の沈まない国」でしたが、2025年、ついにイギリスは「太陽の沈む国」になったようです。

The Oikofuge: The Sun Sets On The British Empire
https://oikofuge.com/sun-sets-on-british-empire/

イギリスは全盛期には世界の4分の1を支配する超大国でしたが、その後、植民地の独立が相次ぎ、現代では超大国と呼ばれることはなくなっています。しかし、世界各地に海外領土を持ち、常にどこかで太陽が昇っている、いわゆる「太陽の沈まない国」の状態が継続されてきました。


元医師でブロガーのグラント・ハッチンソン氏によると、イギリス領で「太陽が沈まない」状態を維持するにあたってキーになっていたのは、南太平洋のピトケアン諸島と、イギリス領インド洋地域(BIOT)の2つだとのこと。

以下はハッチンソン氏作成の日照チャートで、縦軸が時間(下から上へ時間経過)、横軸は月を示しています。グラフを横切る黒い線はグリニッジの日の入りと日の出、赤い線はピトケアン諸島の日の入り・日の出、緑の線はBIOTの日の入り・日の出です。濃い黄色は3つの地域のうち複数で日が昇っているタイミング、薄い黄色はどこか1つの地域で日が昇っているタイミングを示していて、24時間途切れることなく日が昇っていることが分かります。


これは2024年夏至、世界協定時2時15分の光と闇の分布を示した地図。南アメリカ大陸やアフリカ大陸、西ヨーロッパは日没の時間帯で薄く灰色がかっており、その他の地域は日が昇っています。イギリス領ではBIOT(赤い印のうち右端のもの)のみ日が昇っています。


2024年冬至の世界協定時4時15分も同様で、南太平洋のピトケアン諸島(左端の赤い印)で日が暮れると、日が昇っているのはBIOTのみとなります。


2024年10月、イギリスは、BIOTに含まれるチャゴス諸島の主権をモーリシャスに返還する計画を明らかにしました。チャゴス諸島の環礁の1つ、ディエゴ・ガルシアにはイギリスとアメリカが共同で運用する軍事基地が置かれていたことから、話は難航するかと思われましたが、スターマー政権は話を手早くまとめて、2025年5月に主権を返還する条約を締結しました。ディエゴ・ガルシアの基地については、99年の運用継続が約束されたほか、期限後さらに40年の延長権が認められていて、その後はモーリシャス側に拒否権が与えられるとのこと。

ディエゴ・ガルシアの扱いはかなり微妙な案件ですが、「リースバック」されると報じられているため、主権はやはりモーリシャスに移ったとみられます。

BIOTが抜けた場合、イギリス領の最東端は1960年のキプロス独立時に設けられたイギリス主権基地領域(SBA)となります。イギリス政府は1974年にSBAをキプロスに返還する計画を立てていましたが、東地中海で偵察機を飛ばすために便利だったためにアメリカの説得を受け、計画を撤回しています。

ハッチンソン氏によると、グリニッジとピトケアン諸島、SBAで日照チャートを作るとこんな感じで、ピトケアン島の日没からSBAの日の出までの間におよそ1時間の空白時間が生まれてしまうとのこと。


つまり、「領土のどこかで常に太陽が昇っている」状態が維持できなくなり、イギリスは「太陽の沈まない国」ではなくなるというわけです。

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