サイエンス

室内の浄化やウイルス拡散防止をうたう空気清浄機はほとんどが人間を対象とした試験が行われていない


空気清浄機に用いられているさまざまな「空気清浄技術」は「室内の空気の浄化」や「ウイルスの拡散防止」をうたっていますが、実際には、大半の技術が人間を対象とした試験を行っておらず、潜在的なリスクが十分に解明されていないことがわかりました。

Study Finds Gaps in Evidence for Air Cleaning Technologies Designed to Prevent Respiratory Infections
https://news.cuanschutz.edu/news-stories/study-finds-gaps-in-evidence-for-air-cleaning-technologies-designed-to-prevent-respiratory-infections

コロラド大学アンシュッツメディカルキャンパスとアメリカ国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の研究者は、HEPAフィルターや紫外線照射装置、イオン生成機、高度換気システムなど、室内の空気による感染伝播を低減する技術的対策を対象として、1929年から2024年までに実施された約700件の研究について分析を行いました。


その結果、「人間の疾病発生率を低減させるかどうか」を検証した研究はわずか9%で、ほとんどの研究はウイルスや細菌ではなく、テスト用のトレーサーガスや粉塵粒子、無害な微生物と行った、間接的な測定値に焦点を当てたものだったとのこと。

研究の共同著者である、コロラド大学医学部内科教授のリサ・ベロ博士は「研究の大半が、人々が生活し、働き、通学するような現実の環境ではなく、実験室内のチャンバーでテストされていたことに驚きました。空気中の粒子を測定するだけではなく、実際に病原体に触れる頻度は下がるのか、病気にかかる頻度は下がるのかといった、実環境での結果を検証する強力な研究が必要です」と述べています。

論文の筆頭著者でコロラド大学医学部准教授のアミラン・バドゥアシュヴィリ医学博士は、「これらの技術の多くは、机上の論としては有望ですが、現実世界で機能するかどうかはまったくわかりません」と述べました。


また、今回の研究は、潜在的な健康リスクについても問題を提起しているとのこと。たとえば、紫外線照射装置やイオン生成機などは有害物質であるオゾンを発生させますが、家庭や職場で長期使用した場合に安全性に問題がないかどうかを評価した研究はごくわずかだったそうです。

ベロ博士は「これらの技術に効果がないと言っているわけではなく、まだ十分な知見がないということです。評価対象の技術を提供する企業自身が資金提供した研究もあり、利益相反が生じています。より多くのことが明らかになるまで、市民は明確で透明性のある情報を得る権利があります」と語りました。

なお、専門家は窓の開放や換気の改善、定期的な掃除といった信頼性の高い方法が室内空間の健康維持には依然として有効だと強調しています。

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in サイエンス, Posted by logc_nt

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