サイエンス

花粉を使って紙やスポンジを作る研究が進められている

by Forest Wander

花粉は植物が繁殖するために重要な役割を担いますが、一部の植物の花粉は花粉症を引き起こすため、人類にとって厄介な存在でもあります。シンガポールにある南洋理工大学材料科学工学部のチョ・ナムジュン教授が「花粉を紙やフィルム、スポンジなどの素材に加工する技術」の研究を行っていると、海外ニュースサイトのArs Technicaが紹介しています。

Using pollen to make paper, sponges, and more
https://arstechnica.com/science/2025/08/using-pollen-to-make-paper-sponges-and-more/

チョ教授は「多くの人は、花粉は植物の肥料や虫のエサ以外では役に立たないゴミだと考えていますが、使い方を知れば貴重な用途があります」と述べています。

花粉は「スポロポレニン」と呼ばれる物質でできた外壁に包まれています。このスポロポレニンの外壁は、花粉や胞子に含まれるDNAを光や熱、寒さ、乾燥といった陸上の過酷な環境から保護する役割を担っており、この頑丈な殻がなければ、植物は陸上で子孫を残すことができなかったと考えられています。

by D. Nishio-Hamane

スポロポレニンの強靭さは、5億年前の岩石の中から完全な状態で見つかるほどで、1平方インチあたり725トンもの高圧をかけてもその安定性を保ったことが報告されており、「植物界のダイヤモンド」とも呼ばれています。

科学者たちはこのスポロポレニン製外殻に目をつけて、この外殻をカプセルにして体内に薬剤を届ける道具として使えないかを追究しています。チョ教授らも、花粉のスポロポレニン製外殻を利用できないかを探る研究を行っています。


この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
これが花粉症の天敵、美麗に彩色された花粉の顕微鏡写真いろいろ - GIGAZINE

マンモス絶滅の謎に切り込む新説、「花粉アレルギー」がマンモスを絶滅に追いやったとの研究結果 - GIGAZINE

コーヒーやリンゴを含む地球の食用作物のうち約60%は「花粉を媒介する昆虫不足」の悪影響を受けている - GIGAZINE

花粉症にも効く「ゾレア(オマリズマブ)」が一度に複数の食物アレルギーのリスクを軽減する治療薬として当局から初承認される - GIGAZINE

花粉症のピーク期には暴力犯罪が減少する - GIGAZINE

in サイエンス,   無料メンバー, Posted by log1i_yk

You can read the machine translated English article Research is underway to use pollen to ma….