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Metaがディスプレイ付きのスマートグラス「Hypernova」を2025年9月に約800ドルで発表するというウワサ


Metaが、ディスプレイを搭載した初のスマートグラス「Hypernova」を2025年9月に発表する予定だと報じられています。このHypernovaは、本格的な拡張現実(AR)グラスの先駆けと位置づけられています。

Why Doesn’t the Vision Pro Have More Immersive Video? Apple Is Slow-Rolling It - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/newsletters/2025-08-17/why-doesn-t-the-vision-pro-have-more-immersive-video-apple-is-slow-rolling-it-mefmwpb1

2025年上半期の世界スマートグラス市場は前年同期比110%増と急成長し、その中心にはMetaのスマートグラス「Ray-Ban Meta」があります。Metaは世界最大のメガネメーカー・Luxotticaの製造体制拡大を背景に市場シェアを73%まで伸ばし、出荷台数も200%以上伸ばしました。他方で、Xiaomiなどの中国メーカーも参入し、特にXiaomiのAIグラスは発売からわずか1週間で世界4位の販売実績を記録するなど存在感を高めています。AIグラス全体の比率はスマートグラス出荷台数の78%に達し、写真・動画撮影や翻訳、認識機能など従来のオーディオグラスを凌駕する性能が成長を牽引しています。今後もMetaやAlibabaを含む大手の新製品投入が見込まれており、市場は2029年まで年率60%超の成長が続くと予測されています。


そんな中、フル機能のARグラスにつながる製品としてMetaが開発しているスマートグラスがHypernovaです。この名前はMetaが社内で用いているコードネームで、このデバイスは見た目こそ通常の眼鏡に近いものの、右側のレンズに小型ディスプレイを搭載しており、通知や簡易的なアプリケーションを表示できる仕組みになっているとのこと。ユーザーはこの画面を通じてメッセージやアラートを確認したり、ミニアプリを利用したりすることが可能で、従来のスマートグラスよりも一歩進んだ体験を提供する設計となっています。

操作には「ニューラルリストアクセサリ」と呼ばれる手首装着型のコントローラを採用しています。これはMetaが開発中のARプロトタイプ「Orion」にも用いられている技術で、神経信号を読み取ることで直感的な操作を実現し、従来のタッチや音声入力に依存する操作方法と比べて、よりシームレスなインターフェースを提示します。

筋肉の動きを読み取ってキーボード不要の入力デバイスに変える腕輪型デバイスをMetaが開発 - GIGAZINE


価格は、当初1000ドル(約15万円)以上が予想されていましたが、Metaは採算を抑えて価格を約800ドル(約12万円)に設定し、市場での普及を狙っているとのこと。ただし、フレームのデザイン変更や度付きレンズの追加によってはさらに価格が上昇する可能性があります。Metaがすでに展開している「Ray-Ban Meta」やOakleyのスマートグラスと比べると高額ではあるものの、iPhoneと同程度の価格に抑えることで、先進的な体験に対して消費者が手を伸ばしやすい水準に調整しています。

Bloombergによれば、Hypernovaは2025年9月に正式発表予定とされており、Metaが次世代ウェアラブル市場を見据えて投入する重要な製品と位置付けられているとのこと。MetaにとってHypernovaは、Apple Vision Proのような競合製品に対抗しつつ、ディスプレイ搭載による差別化と、手首型アクセサリによる新しい操作体験を通じて、将来のAR市場を見据えた布石といえる存在となります。

Hypernovaの開発と並行し、Metaは90PPDの各解像度・1400ニトの輝度・Quest 3の3倍に当たる高コントラストを実現した研究用VRデバイスのプロトタイプ「Tiramisu」を公開しています。このTiramisuでは、高屈折率ガラスを用いたカスタム屈折レンズを用いて、光の損失を最小化することに成功しています。MetaはVR空間にリアリティと説得力をもたらす「明るさ」の課題を解決する1つのソリューションとして、このTiramisuを2025年8月10日~14日に開催された展示会「SIGGRAPH」で公開しました。


また、MetaはSIGGRAPHで、「人間の視野の約9割」をカバーする超広視野角が特徴の研究用プロトタイプ「Boba 3」も公開しています。Meta Quest 3が水平視野角約108度なのに対し、Boba 3は水平視野角180度で、視界全体をVR空間で覆うことも可能です。


TiramisuやBoba 3は研究用プラットフォームとして、最終的に必要となる「どこまで解像度や輝度を高めれば現実感が得られるのか」を検証する役割を担っている一方、Hypernovaはその知見を活かしつつ、まずはユーザーに「身につける体験」や「新しい操作系」に慣れてもらうための製品となっています。Metaは研究で未来像を描きつつ、市場に投入する段階では機能を絞り込み、消費者との接点を失わないよう両輪で進めているといえます。

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in ハードウェア, Posted by log1i_yk

You can read the machine translated English article Meta is rumored to release its Hypernova….