銃による暴力が身近にあった人はうつ病や自殺のリスクが高い

銃社会であるアメリカでは銃撃による殺傷が深刻な公衆衛生上の課題となっており、毎年数万人が殺人や自殺、偶発的な事故、銃乱射事件などによって命を落としています。新たな研究では、銃による暴力が身近にあった人はうつ病や自殺のリスクが高いことが明らかとなりました。
Frequency, recency, and variety of gun violence exposure: Implications for mental health and suicide among US adults - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0277953625000012

Exposure to gun violence linked to depression and suicide risk
https://www.psypost.org/exposure-to-gun-violence-linked-to-depression-and-suicide-risk/
アメリカのラトガース大学で社会学准教授を務めるダニエル・セメンザ氏らの研究チームは、銃による暴力にさらされた頻度やその種類といった要因が、うつ病やメンタルヘルスサービスの利用、および自殺リスクとどのように関連しているのかを調査しました。
調査ではアメリカに住む8009人の成人を対象に、うつ病の症状や自殺念慮に関する質問を行いました。また、被験者には銃による暴力との接触に関する6つの質問も与えられ、それぞれの出来事をどれほどの頻度で経験したのか、最後に経験したのはいつなのかを答えてもらいました。
銃による暴力についての質問の内容は、「銃による自殺で亡くなった人を知っているか」「銃で脅されたことがあるか」「誰かに銃で撃たれたことがあるか」「家族や友人が銃に撃たれたことがあるか」「銃撃を目撃したことがあるか」「近所で銃声を聞いたことがあるか」というものでした。

調査の結果、銃による暴力にさらされる頻度が高いことと、これらの出来事を経験したのが最近であることの両方が、うつ病や自殺リスクの増加、そしてメンタルヘルスサービスの利用増加と関連していることがわかりました。
つまり、銃による暴力にさらされる頻度が高いまたは最近さらされた人は、そうでない人と比較してうつ病や自殺念慮などに苦しみ、メンタルヘルスサービスを利用する可能性が高かったというわけです。また、生涯を通じた銃による暴力への累積的な暴露も、これらの問題と関連していたと報告されています。
研究チームは、「研究結果は全体として、銃による暴力への暴露が間接的な場合でも、長期にわたって深刻なメンタルヘルスの影響を及ぼすことを示唆しています」と結論付け、銃による暴力がもたらすメンタルヘルスの問題に的を絞った介入が必要だと主張しました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik
You can read the machine translated English article People who have experienced gun violence….