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地図上にみんなでお絵描きできる「Wplace」が原因でOpenFreeMapに1秒当たり10万件のリクエストが殺到したが耐えきることに成功


OpenFreeMap」はソフトウェアエンジニアのZsolt Ero氏が提供する商用利用可能な地図サービスであり、無料でカスタムマップを作成したりセルフホストしたりすることが可能です。そんなOpenFreeMapに突如として「1秒当たり10万件」という膨大な量のリクエストが殺到し、その原因は2025年8月にSNSで話題となったお絵描きサービス「Wplace」だったとEro氏が報告しました。

OpenFreeMap survived 100,000 requests per second
https://blog.hyperknot.com/p/openfreemap-survived-100000-requests


OpenFreeMapは、オープンデータの地理情報を作るプロジェクト「OpenStreetMap」から入手した地図データを使用した地図サービスで、パブリックインスタンスの使用は完全に無料です。オープンソースで開発されているため、ユーザーによるセルフホストやパブリックインスタンスの使用も可能。Ero氏はユーザーからの寄付を通じて運営費をまかなっています。

2025年8月8日、Ero氏は「OpenFreeMapの一部のタイルが読み込まれていない」という報告を受けたため、ウェブサーバーアプリケーションであるnginxのログを確認しました。すると、これまでに見たことがない量のトラフィックがあったことが示唆されており、Cloudflareにログインするとわずか24時間で30億件ものリクエストがあったことがわかりました。


OpenFreeMapは無償で提供されているサービスであるため、使用者が費用を支払う必要はありません。しかし、仮に別の地図サービスであるMapTilerを使った場合のコストは1カ月あたり600万ドル(約8億9000万円)以上に達し、Mapboxを使った場合はさらにその2倍のコストがかかるとのこと。

また、トラフィックは特に最後の5分間で急増しており、その間のリクエストは約3000万件でした。これは1秒当たり10万件のリクエストであり、Ero氏はこれほどのリクエストを受けてもいくつかのタイルが消える程度で済んでいることに驚いたそうです。


Cloudflareのダッシュボードを確認したところ、リクエストの96%は問題なく処理されており、データが壊れていたのはわずか3.6%にとどまっていたとのこと。「ということは、OpenFreeMapは1秒当たり10万件のリクエストをほぼ処理できているということですよね?」とEro氏は述べています。


今回OpenFreeMapへのリクエストが急増した原因は、8月上旬にSNSで大きな話題となったお絵描きサービス「Wplace」でした。Wplaceは世界中の地図の上にドット絵を描くことができるサービスで、多くのユーザーがリアルタイムで同じマップ上へ書き込むことが可能です。

Wplace
https://wplace.live/


Wplaceは基盤となる地図サービスとして、OpenFreeMapを使用しています。Wplaceでは書き込めるピクセル数が「30秒ごとに1ピクセル」に限定されていますが、一部のユーザーが「ブラウザを開いたり閉じたりすることで短時間で大量のピクセルを書き込めるスクリプト」を使用していた模様。これにより、OpenFreeMapへのリクエストが急増したというわけです。

Ero氏はWplaceが興味深いプロジェクトであることを認めつつ、事前に連絡してトラフィックに問題ないかどうか尋ねたり、運営費を寄付したりしてほしかったと述べています。OpenFreeMapへの負担が大きくなりすぎたため、Ero氏はいったんWplaceからのリクエストを停止しなければならなかったとのこと。なお、幸いにも2024年にCloudflareがOpenFreeMapの帯域幅のスポンサーになってくれていたため、Ero氏が金銭的負担を負うことはありませんでした。


その後Ero氏は、Wplaceの開発者と連絡を取りました。Wplaceはわずか数日でユーザー数が200万人まで急成長したため、急激なトラフィックの増大に備えられていなかったとのこと。Ero氏は、このようなユースケースに最適なセルフホスト型のOpenFreeMapインスタンスのセットアップを手伝うことを申し出たそうです。

Ero氏は今回の一件から学んだこととして、「リファラーに基づいた帯域幅制限を実装するべき」「空のタイルを修正するためにサーバー設定を改善する必要がある」といった点を挙げました。

なお、Ero氏はGitHubを通じたOpenFreeMapへの寄付を募っています。

Sponsor @hyperknot on GitHub Sponsors · GitHub
https://github.com/sponsors/hyperknot

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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