サイエンス

大規模な選挙が国民の睡眠に悪影響を及ぼす可能性があるとの調査結果


大きな国政選挙を前にした時期や投開票の当日などは、自分が支持する候補者が当選するのかどうかや、どの政党が優勢なのかを気にしてしまい、睡眠時間を削ってニュースにかじりついてしまった経験がある人もいるはず。実際に、2024年のアメリカ大統領選挙期間中に行われた調査では、選挙が人々の睡眠に悪影響を及ぼしている可能性があることが示されました。

The impact of the 2024 US presidential election campaign on population sleep: A representative survey from National Sleep Foundation - Sleep Health: Journal of the National Sleep Foundation
https://www.sleephealthjournal.org/article/S2352-7218(25)00078-6/abstract


Study: 2024 presidential campaign negatively affected sleep for 17% of U.S. adults
https://www.psypost.org/study-2024-presidential-campaign-negatively-affected-sleep-for-17-of-u-s-adults/

これまでの研究では、選挙当日の夜に人々の睡眠パターンが乱れる可能性があることはわかっていました。しかし、選挙戦の様相や候補者のメッセージがメディア報道の大半を占める選挙期間中については、ほとんど睡眠との関連が研究されてこなかったとのこと。


ピュー・リサーチ・センターが2023年に実施した調査によると、アメリカでは3分の2の成人が政治的議論に疲れを感じており、半数以上が頻繁に怒りを覚えていると回答しています。こうした政治情勢によるストレスは時間経過と共に蓄積され、人々の睡眠を乱す要因になり得ます。

そこでアメリカのNational Sleep Foundation(国立睡眠財団)の研究者らは、長期化するアメリカ大統領選挙が人々の睡眠にどのような影響を及ぼしたのかを調べるため、市場調査企業のIpsos Public Affairsと協力して全国的なオンライン調査を実施しました。

調査はアメリカ大統領選挙の投票日からおよそ6週間前に当たる2024年9月19日~30日にかけて、アメリカに住む1421人の成人を対象に行われました。回答者は全米の人口全体を反映するように、住所に基づいて無作為に抽出されたほか、グループ間の比較を可能にするために黒人やヒスパニック系の人々が意図的に多く選ばれたとのこと。

睡眠時間や睡眠の質に関する質問にはSleep Health Index(睡眠健康指数)の項目が用いられ、回答者は睡眠の質を「非常にいい」から「非常に悪い」までの5段階で評価したほか、2024年大統領選挙が睡眠に悪影響を及ぼしたと感じているかどうかも回答しました。研究チームは問題のあった回答を除いた1364人分の回答をサンプルとして、アメリカの国勢調査の結果と人口統計が一致するように重み付けを行った上で分析しました。


分析の結果、回答者の17%が「2024年大統領選挙が睡眠に悪影響を及ぼした」と回答していることがわかりました。割合的には大きくないものの、アメリカの人口は約3億4000万人であるため、絶対数でみれば数千万人の睡眠に選挙が悪影響を及ぼしたということになります。

睡眠への悪影響を訴えた人々は週末の睡眠時間が短く、睡眠の質も低いと評価する傾向がありました。選挙が睡眠に悪影響を及ぼしたと回答した人々は週末の平均睡眠時間が平均6.98時間だったのに対し、選挙が睡眠に影響しなかったと回答した人は週末の平均睡眠時間が7.41時間でした。また、睡眠の質に関する尺度でも違いがみられ、選挙で悪影響を受けた人々の平均スコアは5点満点中3.05点でしたが、悪影響を受けなかった人々の平均スコアは3.36点でした。

今回の研究では、選挙が睡眠に及ぼす影響には人口統計学的な違いがあることも確認されました。選挙が睡眠に悪影響を及ぼしたと報告する人々は、若者よりも65歳以上の高齢者が多く、非ヒスパニック系であると自己申告し、人種・民族の分類で「その他(アジア系・先住民族・多民族をルーツに持つ人々)」に分類される傾向が強かったとのこと。一方、ヒスパニック系の成人は選挙が睡眠に悪影響を及ぼしたと報告する可能性が低いことが確認されました。

また、雇用状況や世帯構成も結果に関連していました。選挙による睡眠への悪影響を報告する人は、パートタイム労働者よりもフルタイム労働者や失業者で多く、子育て世帯よりも子なし世帯の方が強く影響を受けたと回答する傾向がありました。一般に子育ては睡眠の妨げにつながるケースが多いことを考えると、これはやや意外な結果だったとのこと。

一方、政治的な帰属や性別、婚姻状況、教育水準といった項目は、選挙による睡眠への悪影響と関連がみられませんでした。一般にこれらの項目は、有権者のイデオロギーに関連していると考えられていますが、選挙によるストレスはこうした区分を越えて影響していることを示唆しています。


なお、今回の研究は自己申告に依存したものであり、記憶の誤りや偏見などが影響している可能性があります。また、選挙活動によって個人がどれほどストレスを感じたのかについても、調査は行われませんでした。

心理学系メディアのPsyPostは、「今後の研究では不安の感受性や感情的な反応性、メディアの消費習慣といった心理的特性が、政治的イベントが睡眠に与える影響をどう調整するのかを調べる可能性があります。また、キャンペーン中に使用されるメッセージ戦略のうち、脅威を強調したり怒りをあおったりするようなものが、睡眠を妨げる可能性が高いかどうかを分析するのも有用かもしれません」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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