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OpenAIが「GPT-5」を発表、通常モデルと推論モデルを統合した新モデルはChatGPTの無料プランを含めた全ユーザーが利用可能に


OpenAIが新しい主力モデルとなる「GPT-5」を発表しました。「より賢く、より高速で、不正確な回答をする可能性がより低い」というGPT-5は、GPT-5とGPT-5 mini、GPT-5 nanoの3種類のモデルが、無料ユーザーを含めたすべてのChatGPTユーザーに提供されます。また、有料プランのProユーザーは、拡張推論によりさらに包括的かつ正確な回答が可能なGPT-5 Proにアクセスできます。

GPT-5 が登場 | OpenAI
https://openai.com/ja-JP/index/introducing-gpt-5/

Introducing GPT-5 - YouTube


Introducing GPT‑5 for developers | OpenAI
https://openai.com/index/introducing-gpt-5-for-developers/

OpenAIはGPT-5を「最も優れたAIシステム」と述べ、これまでのモデルから飛躍的に進化し、コーディング、数学、文章作成、ヘルスケア、視覚認識など、あらゆる分野で最先端の性能を発揮するとアピールしています。

OpenAIのチーフオフィサーであるマーク・チェン氏は、GPT-5に「pause to think」という概念を導入しており、AIが出力を返す前に内部的な思考プロセスを挟むことで、より深く正確な応答を生成するようになっていると語っています。これは単なる応答速度の高速化とは逆で、「速ければよい」という従来の考えを超え、質と深さを両立するための新しいアプローチとなります。


これを実現するためGPT-5は高速かつ効率的に幅広い質問に回答できる通常モデルと、より複雑な問題に対応する推論モデル(GPT-5 thinking)、そして最適モデルを自動選択するリアルタイムルーター機能で構成されています。

会話の種類や複雑さ、必要なツール、ユーザーが示した意図に応じて瞬時に判断し、2つのモデルを切り替えて会話を行うことが可能で、さらにルーター機能はモデル切替のタイミング、回答満足度、正確性などのユーザーの利用データを学習し、精度を向上させるとのこと。将来的にはこれらの機能を1つのモデルに統合することを予定しているとOpenAIは述べています。


こうした会話精度の向上によって、GPT-5はハルシネーション(幻惑)の低減、指示順守能力の改善、迎合的な回答の抑制において大きな進歩を遂げたそうで、文章作成・コーディング・ヘルスケアという用途でのパフォーマンスもさらに向上したとのこと。

GPT-5のハルシネーション率は、GPT-4oと比較して約20%減少し、思考機能を使った場合はOpenAI o3モデルと比較して約70%も低減しました。特に長文の事実性に関するベンチマーク(Long Fact、FActScore)では、ハルシネーション率がo3モデルの約6分の1にまで抑えられています 。


オープンソースのプロンプトに対するハルシネーション率を、GPT-5とo3モデルで比較したグラフが以下。


OpenAIによれば、GPT-5はコーディング、数学、医療など多岐にわたる分野でこれまでのモデルから飛躍的な進化を遂げ、多くのベンチマークで新たな最高水準(SOTA)を記録しているとのこと。

GPT-5の性能向上は、特に専門的な分野で顕著です。数学分野では、アメリカの高校生向け数学テストであるAIME 2025において、ツールを使用しない条件でも94.6%という高い正答率を達成しました。


実践的なソフトウェア評価のベンチマークにおいて、SWE-benchでは74.9%、Aider-Polyglotでは88%というスコアを記録。具体的な能力としては、複雑なフロントエンドの生成や、大規模なリポジトリのデバッグにおいて特に大きな進化を遂げており、たった1つのプロンプトで、直感的かつデザイン性に優れたウェブサイトやアプリ、ゲームなどを現実の形にすることが可能になっているとのこと。

また、思考機能である「GPT-5 thinking」はエージェント型のコーディングタスクにおいて、OpenAI o3と比較して出力トークンを50~80%削減しつつ、より高い性能を発揮。さらに、上位モデルであるGPT-5 Proは、コーディング分野で特に優れた成果を示すと報告されています。

OpenAIはChatGPTの全ユーザーに即時提供されます。ChatGPTでは、「皮肉屋」「ロボット」「聞き手」「オタク」の4つの性格テーマが追加され、応答方法をカスタマイズできるようになっているとのこと。また、個々のチャットスレッドの色を変更することもできます。

ただし、無料ユーザー向けにはGPT-5の利用上限があり、上限に達するとモデルは低性能のGPT-5 miniに切り替えられます。有料プランであるPlusユーザーはGPT-5の利用回数上限が無料よりも高くなっています。さらに、有料プランのProユーザーは、拡張推論によりさらに包括的かつ正確な回答が可能なGPT-5 Proにアクセスできるとのこと。

OpenAIのAPI経由でGPT-5にアクセスする開発者向けには、GPT-5、GPT-5 mini、GPT-5 nanoの3種類のモデルが提供されます。各APIの利用価格は以下の通り。


アルトマンCEOは、「AGIという言葉は、今のところ誰もが少し違う意味で使っているので、ちょっと嫌っています。しかし、GPT-5は真に有能なモデルに向けた大きな前進です。これは明らかに、汎用的な知能を持つモデルです」と述べる一方で、「GPT-5にはまだ非常に重要なものが欠けています。これは、展開したものから発見された新しいものから継続的に学習するモデルではありません。私は、GPT-5がきっとAGIの一部となるだろうと感じています」と語りました。

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