「Appleは必ずAIをやる」「そのための投資を行う」とAppleのティム・クックCEOが異例の全社会議で言及、Siriの開発が遅れた理由などについても説明

Bloombergの報道により、Appleが異例の全社会議を開き、AIの可能性と同社のAI開発への取り組みについて社員に説明したことが明らかになりました。
Apple CEO Tim Cook Tells Staff AI Is ‘Ours to Grab’ in Pep Talk - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-08-01/apple-ceo-tells-staff-ai-is-ours-to-grab-in-hourlong-pep-talk

Tim Cook says Apple ‘must’ figure out AI and ‘will make the investment to do it’ | The Verge
https://www.theverge.com/news/717865/apple-ceo-tim-cook-ai-investment
Bloombergの報道によると、クックCEOは現地時間の2025年8月1日にアメリカ・カリフォルニア州クパチーノにある本社の講堂に社員を集め、AI革命はインターネット、スマートフォン、クラウドコンピューティング、アプリと「同等かそれ以上の規模」であると訴えたそうです。
Bloombergに情報を提供した関係者によると、クックCEOは社員に対して「Appleはこれ(AI)をやらなければいけません。Appleは必ずやります。これは我々がつかみ取るべきものです」「そのための投資を行うつもりです」と語りました。
AppleはAI分野で競合他社から大きく後れを取っており、当初リリース予定だったSiriの進化版とも呼べる大規模言語モデル(LLM)と統合されたSiri(LLM Siri)の開発も遅れています。そのため、AppleはSiri向けのAI開発を放棄し、OpenAIやAnthropicのAIモデルを採用するのではないかとまで報じられていました。
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しかし、クックCEOはAppleがPC、スマートフォン、タブレット、MP3プレイヤーといった分野で、「ほとんど最初に製品をリリースしたことはありませんでした」と言及。さらに、「Macの前にPCがありました。iPhoneの前にスマートフォンがありました。iPadの前に多くのタブレットがありました。iPodの前にMP3プレーヤーがありました」と述べ、これらの製品カテゴリにおいてAppleは最先端のものを発明することに成功し、市場のシェアを獲得することができたと語っています。クックCEOは「これがAIに対する私の考えです」と述べ、AI分野においてもAppleが独自の優位性を築けるようになるはずであると主張しています。
この全社会議は約1時間にわたって行われ、オペレーティング部門の責任者であるジェフ・ウィリアムズ氏の退任、Apple TV+の視聴者数増加の報告、AirPods Proの補聴器機能をはじめとした医療分野における進展など、幅広いテーマについてスピーチが行われたそうです。
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Appleの全社会議ではソフトウェアエンジニアリング担当シニアヴァイスプレジデントのクレイグ・フェデリギ氏も登壇し、同社の音声認識アシスタントであるSiriの未来について語りました。Appleは2025年初めにApple Intelligenceのリリースに合わせて、Siriの大幅な刷新を計画していました。しかし、Appleはこの計画を延期したことを発表し、これに合わせて管理体制の変更も行われています。
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フェデリギ氏は新しいSiriのリリースが遅れた理由は、既存のコマンド処理(タイマーの設定など)を担当するシステムと、生成AIの基盤となるLLMに基づくシステムを統合した「ハイブリッドアーキテクチャ」のリリースを狙ったことにあると説明しました。
これについて、フェデリギ氏は「当初はハイブリッドアーキテクチャを採用する予定でしたが、そのアプローチではAppleの品質基準を満たせないことが分かりました」と語っています。なお、最終的にAppleはSiriのすべてを新しいアーキテクチャに移行することを計画しているそうです。Bloombergの報道では、新しいアーキテクチャのSiriは早ければ2026年春にもリリースされる予定ですが、Appleの幹部は2026年中のリリースを明言していません。
なお、AppleはSiriのエンジニアリング責任者をApple Vision Proの開発責任者であるマイク・ロックウェル氏に交代しており、フェデリギ氏はこの人事異動がSiriの開発速度を上げることにつながると主張したそうです。フェデリギ氏はロックウェル氏がSiriのエンジニアリング責任者となったことで、「開発速度が飛躍的に加速した」と語っています。
Appleはこの全社会議を開催した前日に決算を発表しており、2025年第3四半期(4~6月)の売上は前年同期比で10%増の940億ドル(約14兆円)を記録しています。
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なお、クックCEOが全社会議を開催することは珍しいことであるとBloombergは報じています。
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in ソフトウェア, スマホ, Posted by logu_ii
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