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トランプ大統領が「AI企業がトレーニングに使った著作権のある全コンテンツに料金を支払うのは現実的ではない」と主張


AIのトレーニングには膨大な量のデータセットが必要ですが、著作権で保護されたコンテンツをトレーニングに使うAI開発企業が、著作権者に報酬を支払わないことが問題視されています。そんな中でアメリカのドナルド・トランプ大統領が、AI企業がトレーニングに使った著作権のあるコンテンツすべてに使用料を払うことは、中国とのAI競争が激化する中では現実的ではないと主張しました。

Trump Says AI Companies Can't Be Required To License Content
https://deadline.com/2025/07/trump-ai-action-plan-copyright-1236466617/


President Trump: It's Not Doable for AI Companies to Pay for All Copyrighted Input * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/president-trump-its-not-doable-for-ai-companies-to-pay-for-all-copyrighted-input/

AIテクノロジーはここ数年で急速に進歩しており、特に大規模言語モデルのトレーニングには膨大な量のデータセットが必要であることが共通認識となっています。そんな中で問題として浮上したのが、「著作権で保護されたコンテンツをAIのトレーニングに使うAI開発企業が、コンテンツの著作権者に報酬を支払っていない」という点です。


アメリカの裁判所にはこの問題を取り上げた訴訟が数十件も提起されており、コンテンツの使用料支払いを求める権利者に対し、AI開発企業は「AIのトレーニングに著作物を使用することはフェアユースだ」と主張しています。なお、RIAA(全米レコード協会)が音楽生成AI企業を訴えた訴訟では、AI企業からライセンス料を徴収する形での和解が検討されていると報じられています。

ソニー&ワーナー&ユニバーサルが音楽生成AI企業「Suno」「Udio」からライセンス料徴収で和解を検討か - GIGAZINE


現地時間の2025年7月23日に開催された「Winning the AI Race(AI競争で勝利する)」サミットで演説したトランプ氏は、AIと著作権を巡る議論について言及しました。その中でトランプ氏は、AI企業がトレーニングに用いるすべての著作権で保護されたコンテンツに対して使用料を支払うことは期待できないと指摘しました。

トランプ氏は、「論文や書籍などの学習対象となったものすべてに料金がかかるようでは、AIプログラムの成功は期待できません。その目的は理解できますが、現実的ではないので実行できないのです。もしコンテンツに対する料金の支払いを試みるなら、AIプログラムを成功させることはできないでしょう」と述べています。

こうしたトランプ氏の主張は、中国とのAI開発競争が激化していることを背景としています。トランプ氏は、強力な知的財産権の保護を持たない中国にアメリカが遅れを取ることはできないとして、「常識的な知的財産権のルール」を制定するよう求めたとのこと。

トランプ氏はサミットで、「本や記事を読めば素晴らしい知識が得られます。だからといって、それが著作権法に違反していたり、すべてのコンテンツプロバイダーと契約を結ばなければいけないわけではありません。そもそも、これは不可能です。中国はそんなことをしていません」と発言しました。

著作権関連のニュースサイトであるTorrentFreakは、著作権で保護されたコンテンツの海賊版ライブラリである「Anna’s Archive」が、中国に拠点を置く多くのAI開発企業やデータブローカーに高速アクセスを提供していると指摘。Anna’s Archiveは声明で、各国がAI開発競争で存在感を示したいのであれば、著作権を制約にするべきではないと警告しています。


サミットでのトランプ氏の演説は、アメリカがAI競争での優位性を確保するための国家戦略である「AI行動計画」の発表を記念したものでした。AI行動計画では規制の障壁を排除しつつ、データセンターやその他のサポートを含むAI能力の構築を優先することが記されており、「政府がシステムの客観性とトップダウンのイデオロギー的偏りのないことを保証する、最先端の大規模言語モデル発者とのみ契約することを保証する」ことも推奨されています。

トランプ氏は演説の中で、「(中国と)同じルールに従ってプレーできなくてはいけません」と述べつつ、それはAIが著作権で保護されたコンテンツを複製してもいいという意味ではないと補足しています。「もちろん、記事をコピーしたり盗用したりすることはできませんが、記事を読んでそこから学ぶのであれば、AIが複雑な契約交渉を経ることなく、その知識プールを活用できるようにする必要があります」とトランプ氏は述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article President Trump claims it's not real….