「Firefox 141」正式版リリース、Windows版でWebGPUが使用可能に

ウェブブラウザ「Firefox 141」の正式版が公開されました。Windows版限定ですがWebGPU APIがリリースされています。
Firefox 141.0, See All New Features, Updates and Fixes
https://www.mozilla.org/en-US/firefox/141.0/releasenotes/
◆Windows上でWebGPU APIが使用可能に
今回の更新でWindows版のWebGPU APIがリリースされました。
Shipping WebGPU on Windows in Firefox 141 – Mozilla Gfx Team Blog
https://mozillagfx.wordpress.com/2025/07/15/shipping-webgpu-on-windows-in-firefox-141/
WebGPUはWebGLの後継と位置付けられ、ウェブコンテンツがグラフィックプロセッサにアクセスするインターフェースを提供し、高性能な計算とレンダリングを可能にします。WebGPU APIは、WebGPUとWGSLという2つのW3C標準で定義されており、Mozillaでは2017年から開発が開始されていました。今回のリリースではWindows版のみが対象ですが、今後数か月以内にmacOS版とLinux版、最終的にはAndroid版も対象となる予定です。WebGPUはウェブ上におけるゲーム・視覚効果・ローカル計算といったものの水準を引き上げる機能であると期待されています。
WebGPU Samples
https://webgpu.github.io/webgpu-samples/
◆AIで強化されたタブグループ
AIを利用してタブを自動的に整理することができるようになります。この機能は試験的なものであるため、一度に全ユーザーへリリースされるものではなく、段階的に導入されます。
How to use AI-enhanced tab groups | Firefox Help
https://support.mozilla.org/en-US/kb/how-use-ai-enhanced-tab-groups
ローカルAIモデルは、類似したタブを識別し、それらを自動的にグループに整理し、さらに適切なグループ名をユーザーに提案します。最初にタブグループを作成する際には、タブを別のタブの上にドラッグアンドドロップするか、タブを右クリックし、「このタブを新しいグループに追加」を選択します。こうして作成したタブグループを右クリックすると「タブグループの管理」が表示されますが、AIが類似性に基づいてこのグループとして提案できると判断したタブがあれば、「タブをさらに提案する」ボタンが表示され、これを選択するとタブグループへの追加候補が表示されます。

◆HTMLInputElement.webkitdirectoryプロパティをAndroid版で部分的にサポート
HTMLInputElement.webkitdirectoryプロパティがAndroid版Firefoxで部分的にサポートされました。HTMLのwebkitdirectory属性と対応するこの論理型プロパティを使用すると、ファイル選択ダイアログでファイルのみを選択させるか、ディレクトリ(フォルダ)を選択させるかをJavaScriptで動的に切り替えることができます。なお、webkitdirectoryを使用した場合、File.webkitRelativePathにはディレクトリ構造の情報が含まれないため、ディレクトリ構造が必要な場合は別の方法を検討する必要があります。
◆「Clear-Site-Data: "cache"」レスポンスヘッダーによるクリア対象にbfcacheが追加
「Clear-Site-Data: "cache"」レスポンスヘッダーを受信した場合に、バック/フォワードキャッシュ(bfcache)もクリアするようになります。これにより例えば、あるユーザーがサインアウトした後に別の誰かが履歴を遡った場合に起こり得る、前のセッション中に表示されていた個人情報が第三者に漏洩するような事態を防ぐことができます。
◆CSS font-variant-emojiプロパティ
絵文字を表示するためのデフォルトのレンダリングスタイルとして、CSSにfont-variant-emojiプロパティが用意されました。これは従来、テキスト用の「U+FE0E」や絵文字用の「U+FE0F」といった異体字セレクタを絵文字コードポイントに追加することによって行われていたものです。このプロパティには以下のキーワード値を1つ設定します。
・normal:ブラウザが絵文字の表示方法を選択できるようにします。多くの場合、オペレーティングシステムの設定に従います。
・text:Unicodeテキスト異体字セレクタ(U+FE0E)を使用しているのと同様に絵文字をレンダリングします。
・emoji:Unicode絵文字異体字セレクタ(U+FE0F)を使用しているのと同様に絵文字をレンダリングします。
・unicode:絵文字プレゼンテーションのプロパティに従って絵文字をレンダリングします。U+FE0EまたはU+FE0Fの異体字セレクターが存在する場合は、この値設定が上書きされます。
◆PointerEvent:persistentDeviceIdプロパティの追加
PointerEventインターフェースのpersistentDeviceIdプロパティがサポートされました。マウスとペンを同時に使用するような、画面を操作するポインティングデバイスが複数存在する場合に、それぞれのデバイスに一意のIDが付与され、セッション中保持されるようになります。このIDにより、複数のポインティングデバイスが同時に画面を操作する状況下でも、どのデバイスによる操作なのかをIDによって確実に識別できるようになります。
◆ダイアログのclosedby属性とclosedByプロパティ
<dialog>要素にclosedby属性と、それに関連するclosedByプロパティが実装されました。これはダイアログを閉じるためにどのユーザーアクションを使用できるかを示すものです。ダイアログを閉じる方法の候補は以下の3つがあります。
・ポップオーバーの外側をクリックまたはタップする(簡易的なユーザーアクション)
・プラットフォーム固有のユーザーアクション(例:PCならESCキーを押す、モバイルなら「戻る」「閉じる」ジェスチャー)
・開発者指定のメカニズム(HTMLDialogElement.close()を呼び出すボタンクリックハンドラー、<form>送信など)
それに対して、closedByプロパティの取り得る値は以下があります。
・any:ダイアログは、3つの方法のいずれかを使用して閉じることができる
・closerequest:ダイアログは、プラットフォーム固有のユーザーアクションまたは開発者が指定したメカニズムによって閉じることができる
・none:ダイアログを閉じるには、開発者が指定したメカニズムを使用する必要がある
なお、有効な値が指定されていない場合、showModal()によって開かれたダイアログではcloserequest、それ以外ではnoneと同様の挙動となります。
◆HTMLElement.showPopover()とHTMLElement.togglePopover()の機能追加
HTMLElementオブジェクトのshowPopover()メソッドとtogglePopover()メソッドが、ポップオーバーの呼び出し元を参照するoptions.source引数を受け取るようになりました。同時に、togglePopover()メソッドはポップオーバーを強制的に開いたり閉じたりするoptions.force引数も受け取るようになりました。
◆その他の変更点
・Linux版のメモリ使用量を軽減し、パッケージマネージャーによる更新適用後の再起動が不要に
・住所の自動入力がブラジル・スペイン・日本のユーザーに対して有効に
・ブラウザのアドレスバーを単位コンバーターとして使用可能に(長さ・温度・質量・力・角度の測定単位、およびタイムゾーンの変換をサポート)
・Firefoxのバレンシア語版ビルドにカタルーニャ語(バレンシア語の姉妹語)のスペルチェッカー用辞書が内蔵されるように
・翻訳可能な言語を追加(アルバニア語・グジャラート語・ヘブライ語・ヒンディー語・カナラ語・マレー語・マラヤラム語・ペルシャ語・テルグ語)
・Windows 11版でキャプションボタンにシステムのフォントアイコンを使用するようになり、OSとの親和性が向上
・OSの優先ロケールを取得するi18n.getPreferredSystemLanguagesメソッドが追加(i18n.getAcceptLanguagesメソッドの補完的位置付け)
・CHIPS(独立したパーティション状態を持つCookie)のサポートが再度有効化
また、Firefox 141には18件のセキュリティバグフィックスが含まれています。
なお、次期メジャー版となる「Firefox 142」は現地時間の2025年8月19日(火)にリリース予定です。
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