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AppleはAIモデルをオープンソースとして公開したいと考えていたが世間の批判を恐れ実現せず


Appleは文章生成AIや画像生成AIを含むAIシステム「Apple Intelligence」を開発し、iPhoneやMacに取り入れています。これらのAIについて、当初はオープンソース化する計画があったが断念されたとThe Informationが報じました。この決定が、Appleの貴重な人材を流出させるきっかけにもなったと伝えられています。

How Apple’s Internal Veto Against Open-Source AI Sparked a Talent Exodus to Meta - WinBuzzer
https://winbuzzer.com/2025/07/22/how-apples-internal-veto-against-open-source-ai-sparked-an-ai-talent-exodus-to-meta-xcxwbn/

Apple Abandoned Plans to Open Source its AI Models | iPhone in Canada
https://www.iphoneincanada.ca/2025/07/22/apple-to-open-source-its-ai-models/

ウォール・ストリート・ジャーナルの記者としてAppleを取材していたアーロン・ティリー氏らが語ったところによると、2025年の初め頃、AppleのAIモデルに取り組んでいる開発チームはいくつかのモデルをオープンソースとしてリリースしたいと考えていたとのこと。そうすれば、Appleの技術的進歩を示すと同時に、外部の研究者の助けを借りてモデルを改善できることが期待できたためです。


ところが、Appleのソフトウェア責任者であるクレイグ・フェデリギ氏が難色を示し、オープンソース化する計画を中止したとのことです。話によると、フェデリギ氏は大衆に「Appleが妥協した」と思われることを懸念していたそうです。また、オープンソースで公開したモデルを実際にiPhoneへ実装した際、想定されたものより劣った動作をしてしまう可能性が否めないことも理由の1つだったとされています。

加えて、「比較すると他社に圧倒されるようなモデルを公開すると、Appleの評判が弱まり批判にさらされる可能性がある」「他社のモデルが豊富にあるため、Appleのモデルをオープンソース化しても大きな変化をもたらすことにはならない」といった懸念があったとも伝えられました。


MetaやGoogleのようなテック企業は、自社でオープンソースのAIモデルを作成し、イノベーションの加速に活用していますが、Appleはすべてクローズドとし、「シームレスで強力なデバイス内AI」という宣伝を続けるマーケティング戦略を打ち立てているため、競合他社との根本的な文化の違いが浮き彫りになっています。

Apple社内でもこの決定に反発があり、その後数週間で、Appleの基礎モデルチームを率いるルオミン・パン氏がMetaに移籍したほか、主要な研究者であるマーク・リー氏とトム・ガンター氏も移籍しています。「オープンソース化の拒否」が人材流出に直結したとティリー氏らは分析しました。


報道によると、AppleのAI部門の士気は「Siri」の長期にわたる問題により既に低く、オープンソース化の拒否はあくまできっかけの1つに過ぎないといいます。

Appleは「Siri」を新しいアーキテクチャで再構築するよう試みていますが、これには課題が山積し、文脈認識型のSiriは2026年春までリリースされない見込みです。さらに、AppleがSiriのコアインテリジェンスをOpenAIやAnthropicのような競合他社に外注する可能性を検討しているという報道もあり、社内チームに「数年間の努力が水の泡となるかもしれない」という不安を抱かせていたとされています。


テクノロジー系メディアのWinBuzzerは「この危機はAppleの根本的なジレンマを浮き彫りにしています。統合型で製品優先、プライバシー重視のアプローチが、大規模でオープンかつ急速に進化するAIモデルが支配する時代に真に競争できるのかという問題です。科学よりも秘密保持を優先する決断は、人材の流出だけでなく、AIの未来を勝ち取るために必要な研究者たちの信頼も失っています。この根本的な矛盾を解決できなければ、人材の流出は単なる始まりに過ぎず、新たな問題が発生するかもしれません」と述べました。

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in ソフトウェア, Posted by log1p_kr

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