50種類以上の色鉛筆で光による色落ち具合を比較して「作品を長持ちさせることができる色鉛筆」はどれか検証した結果

アナログの画材で作成したアートは、時間がたつにつれてある程度色あせたり日焼けしたりと見た目が劣化してしまいます。アートの見た目が劣化しにくい「耐光性」を持つ画材について、主に色鉛筆で塗り絵をデザインするアーティストのサラ・レナエ・クラーク氏が、50以上の色鉛筆ブランドでテストを実施して「作品を長持ちさせることができる色鉛筆」を検証しています。
Lightfast Testing: 50+ Coloured Pencil Brands
https://sarahrenaeclark.com/lightfast-testing-pencils/

一部の塗料は光、特に太陽の紫外線にさらされて分解されることで「退色」します。練習や印刷用のデザインなら安価な画材でも問題ありませんが、直接展示や販売を行うアートの場合、光や紫外線に強い「耐光性」を持つ画材を選択する必要があります。
耐光性をテストする方法は主に3種類あります。1つ目はメーカーが独自に行っている内部テストですが、その精度や実証性はまちまちです。2つ目はアメリカ材料試験協会(ASTM)が色鉛筆のみを対象として策定した「ASTM D6901」という実験室ベースのテストで、制御された香料でサンプルを照射しシミュレートするというもの。3つ目は青色に染めたウールの細片を用いた「ブルーウールスケール」と呼ばれる方法です。
各色鉛筆で同じ耐光性テストを実施しているというわけではないため、「高い耐光性」を売りにしているものであっても実際のところは不明です。そこでクラーク氏は、業界標準の方法であるブルーウールスケールで、さまざまな色鉛筆の耐光性を検証しています。
クラーク氏は、各色鉛筆ブランドから最大12色を用紙に色見本として塗り、作成した色見本を6カ月間日光にさらしました。そして、ブルーウールスケールの手順に従って、各色見本の色あせ具合を記録しています。最終的に、各色にブルーウールスコアを正確に割り当て、業界標準に沿って「各ブランドのさまざまな色の色鉛筆が時間の経過とともにどのように機能するか」を明確に把握できるようになったとクラーク氏は述べています。

クラーク氏は自身のYouTubeチャンネルでも色鉛筆の耐光性テストについて解説しています。
Pencil Brands Are Lying to You About Being Lightfast - YouTube

検証の結果、カランダッシュ(Caran d'Ache)の「ルミナンス」という色鉛筆が、特に高い耐光性を持っていることが判明しました。ルミナンスは優れた耐光性を実現するために設計された色鉛筆であり、世界標準に準拠したテストを受けています。実際にクラーク氏が検証した結果でも、他の色鉛筆では平均退色率が50%前後のものが多く、色あせやすい色だと70%~90%を記録することがあった一方で、ルミナンスでは以下の表で示されている通り、平均退色は4%とあらゆる色で退色を抑えることに成功していました。

他にも、イギリスのDERWENT(ダーウェント)の「ライトファスト」という色鉛筆もルミナンス同様高い耐光性を記録。ライトファストも世界標準に準拠したテストを実施しており、詳細な耐光性の評価表を掲載しています。クラーク氏の実際のテストでも、一部の色は10%以上の退色が見られたものの、全体的には退色をほとんど抑えており、平均5%と高い耐光性を発揮しました。

ルミナンスは40色セットがAmazonの価格で2万3000円、ライトファストは100色セットが3万円程度と、いずれも高価なプロ向けの色鉛筆となっています。ある程度安価な色鉛筆の中で耐光性が高かったものとしてクラーク氏が挙げたのがSJ STAR-JOYというブランドの「Gold Edition」。Amazonだと120色で8000円程度と安価な商品ですが、平均退色は24%と、トップクラスの製品には劣るものの高い耐光性を備えています。

そのほか、色別の傾向として、ピンクが他のどの色よりも色落ちしやすいことが判明しました。全ての色鉛筆で平均して79%の退色率が記録されたほか、中にはわずか数週間で完全に消えてしまうものもあったとのこと。逆に退色がほとんどなかったのは黒色の色鉛筆でした。

クラーク氏は「画材を購入する際に、耐光性はあまり考慮しないかもしれませんが、作品を長持ちさせたいなら、想像以上に重要です。今回のテストによって、商品がうたっている『耐光性』の基準は同じではなく、また特定のカラーは他の色よりはるかに耐光性が低いこともわかりました。このガイドが耐光性の謎を解き明かし、ツールが時間の経過とともにどのように機能するかについての理解を深めるのに役立つことを願っています」と述べています。
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