サイエンス

悪いニュースを見過ぎてメンタルが悪化するのを避ける方法を専門家がアドバイス


SNSなどで悲惨な戦争や事件、事故などを報じたニュースを追い続ける行為は「ドゥームスクローリング」と呼ばれ、悪いニュースを追い続けた結果メンタルに不調を来すこともあります。ニュースから必要な情報を得つつドゥームスクローリングを止め、自分の心身を守る方法について、オーストラリアのモナシュ大学で特別研究員を務めるレザ・シャバハン氏がアドバイスしています。

Distressed by all the bad news? Here’s how to stay informed but still look after yourself
https://theconversation.com/distressed-by-all-the-bad-news-heres-how-to-stay-informed-but-still-look-after-yourself-259913


人間の脳は身の安全と生存を優先するため、危険に素早く反応するようにできています。危険への反応は悪いニュースを見るだけでも引き起こされるため、繰り返し悪いニュースを見て脳が繰り返し活性化すると、精神的に疲弊してしまう可能性があります。

これまでの研究によると、ネガティブなニュースを見ることは不安や不確実性、不安定感といった気持ちを抱かせ、メンタルヘルスの悪化につながることが示されています。また、多くの悲惨なニュースを見ることにより、自分が体験していない出来事に対してもフラッシュバックや睡眠障害といったトラウマ的な反応が引き起こされる代償的トラウマを発症する可能性もあるとのこと。

しかし、人々は「ネガティブな気分になるから悪いニュースを見るのをやめよう」とはならず、2023年の研究ではネガティブな感情がむしろオンラインのニュース消費を促進するということもわかっています。また、紛争や災害の影響を受けている場所に友人や知人がいる場合は、ニュースから情報を得て状況を見守る必要があります。

たとえ個人的な関わりがなくても、悲惨な出来事の情報を得て何が起こっているのかを理解し、前向きな行動を起こす原動力にすることは道徳的な判断です。そのためシャバハン氏は、単にすべてのニュースをシャットアウトすることは可能あるいは実用的な対処法ではないと考えています。


シャバハン氏は、ニュースをシャットアウトする代わりに「注意深く接する」ことを推奨しています。これは自分の感情の変化に注意を払い、ニュースが自分にもたらす感情に気づき、必要に応じてニュースを見る頻度を落とすというもの。ニュースと注意深く接するコツは以下の通りです。

◆1:立ち止まって何回か深呼吸する
ニュースを見る前に少し時間を取って、体の感覚や心の動きを観察してみることが重要です。

◆2:自分の状況を確認する
ニュースを見る前から緊張していたり、この後に大事な予定があったり、すでに不安を感じていたり、精神的に追い詰められていたりする場合は、悪いニュースを受け止める準備ができていないかもしれません。自分の準備ができていないと感じたら、心が落ち着くまでニュースは後回しにするのがオススメです。

◆3:動機や目的を振り返る
ただ無意識にニュースを見続けるのではなく、自分がどのような動機で、何を見つけようとしてニュースを見るのかを意識することで、延々と悪いニュースを見続けてしまうのを防げるかもしれません。


◆4:批判的な視点を持ち続ける
ニュースの記事を読んだり動画を見たりする場合は、情報源の信頼性や情報の詳細度についてチェックし、情報の出どころが怪しいニュースに振り回されないようにするべきです。

◆5:ストレスが自分に与えている影響を意識する
緊張や発汗、落ち着きのなさといった影響が自分に現れている場合、ストレスを感じている証拠かもしれないので、ニュースを見るのは控えた方がいいかもしれません。

◆6:時間をかける
何かのニュースを見てすぐ次のニュースに移るのではなく、受け取った情報と自分の反応をじっくり整理する時間を設けることが必要です。ニュースを見て感情や思考、態度はどのように変わったのか、ニュースを見る目的は達成されたのか、さらにニュースを読むだけのエネルギーは残っているのかといった点について考えることをシャバハン氏は推奨しています。

上記のアドバイスをニュースを見る時常に、すべて実行することは困難ですが、悪いニュースを見ている時に少しだけでもいいから気にかけることで、ニュースとの関わりをより冷静に判断できるようになります。


シャバハン氏は、悪いニュースがメンタルヘルスに悪影響を与えている兆候として、「悪いニュースを見るのがやめられない」「絶望感や無力感、やる気の低下を感じる」「イライラする」「集中力が低下する」「倦怠(けんたい)感を覚える」「胃の不調など強い身体症状が出る」「睡眠障害になる」「パニック買いや買いだめなど冷静な時はしないような行動が増える」といった点を挙げています。

これらの兆候に気付いた場合、感情が安定して再びニュースに触れられるようになるまで、数分でも数日でも構わないので休憩を取るべきだとのこと。ニュースから離れている間は、周囲の支えてくれる人と交流したり、好きな活動をしたりするのが効果的です。時に屋外でガーデニングをしたり、絵画や裁縫といった手作業に従事したりすることが、不安や感情的な葛藤を和らげるのに役立つとシャバハン氏はアドバイスしました。

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in ネットサービス,   サイエンス, Posted by log1h_ik

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