トランプ大統領の演説がChatGPTを困惑させたとの研究結果、感情に訴えかける比喩表現の解釈に難あり

by Gage Skidmore
アメリカのドナルド・トランプ大統領が行った演説をChatGPT-4(GPT-4)を用いて分析した研究により、GPT-4のような大規模言語モデルには、トランプ大統領が多用する感情に訴えかける比喩表現の解釈に難があることがわかりました。
Frontiers | Large language models prompt engineering as a method for embodied cognitive linguistic representation: a case study of political metaphors in Trump’s discourse
https://www.frontiersin.org/journals/psychology/articles/10.3389/fpsyg.2025.1591408/full

Trump's speeches stump AI: Study reveals ChatGPT's struggle with metaphors
https://www.psypost.org/trumps-speeches-stump-ai-study-reveals-chatgpts-struggle-with-metaphors/
大規模言語モデルは膨大な書籍やウェブサイトなどの文章をトレーニングデータとして用い、人間の扱う自然言語を解釈・生成するように訓練されています。その結果、GPT-4のような大規模言語モデルはエッセイを生成したり、長い文書を要約したり、質問に答えたり、人間と会話したりすることが可能です。
しかし、大規模言語モデルは人間のように言葉を理解しているわけではなく、パターン認識を利用して「文中で次にどの単語が来る可能性が高いのか」を予測しているに過ぎません。多くの場合、このシステムはうまく機能するものの、特に言葉が抽象的だったり感情的だったりする場合、大規模言語モデルは意味を誤って解釈する可能性もあるとのこと。
中国人民解放軍国防科技大学の研究チームは、トランプ大統領が2024年半ば~2025年初頭にかけて行った4つの演説を、GPT-4を用いたフレームワークで分析しました。研究で用いられた4つの演説は、「暗殺未遂事件後の共和党指名受諾演説」「大統領選挙の勝利演説」「大統領の就任演説」「連邦議会合同会議での演説」です。

by Gage Skidmore
トランプ氏の演説の特徴は、感情的でイデオロギーに突き動かされた言葉が多用され、政治問題を支持者の共感を呼ぶような形で捉えさせるためのメタファー(隠喩)が多用されているという点です。研究チームは批判的メタファー分析という手法をGPT-4に適用し、「演説の文脈を理解する」「潜在的なメタファーを特定する」「メタファーをテーマ別に分類する」「メタファーが及ぼす感情的・イデオロギー的影響を説明する」という段階的プロセスを実行しました。
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You can read the machine translated English article Research shows that ChatGPT was confused….