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IKEAがMatter対応でスマートホーム製品ラインを刷新、他のブランドとの連携を重視してZigBeeを捨てMatter over Threadに移行


家具販売店のIKEAが、自社開発のスマートホーム製品の対応規格をこれまでのZigBeeから、スマートホームの標準規格である「Matter」に移行すると発表しました。Matter対応のスマートホームハブがあれば、IKEAのスマートホーム製品を他社のスマートホーム製品と連携させることが可能になります。

IKEA announces new Matter and sound products - IKEA Global
https://www.ikea.com/global/en/newsroom/sustainability/ikea-announces-new-chapter-in-designing-technology-for-the-home-250709/

Ikea ditches Zigbee for Thread going all in on Matter smart homes | The Verge
https://www.theverge.com/smart-home/701697/ikea-matter-thread-new-products-new-smart-home-strategy

Matterはモノのインターネット(IoT)の標準規格で、AmazonやApple、Googleらが参加する標準団体「Connectivity Standards Alliance(CSA)」によって2022年10月に正式リリースされました。

Google・Apple・Amazonらが参加するIoT標準団体が組織改編、スマートホームの新規格「Matter」を発表 - GIGAZINE


IKEAのスマートホーム製品はこれまでZigBee規格に対応していました。しかし、2023年に発売されたIKEAのスマートホームハブ「DIRIGERA(ディリフィエラ)」が2025年7月のベータ版アップデートでMatter 1.4に対応し、Thread通信が可能になりました。そして、Matter over Threadを採用した20種類以上のスマートライトやセンサー、リモコンが発売される予定です。Matterは業界で広く採用される規格なので、Apple Home、Google Home、Amazon Alexaなど他のスマートホームエコシステムで設定して使用することが可能。もちろんDIRIGERAで他メーカーのスマートホーム製品を制御することもできます。

また、ZigBeeに対応するDIRIGERAがMatterブリッジとして機能するため、IKEAのZigBee対応製品をMatterベースのスマートホームシステムに接続して利用することが可能になります。さらにIKEAは、ハブやアプリなしで機器同士を直接ペアリングできるZigBeeの「Touchlink」という機能を、新しいMatter対応製品にも搭載すると発表しました。これにより、たとえば新しいThread対応の電球を古いZigBee対応リモコンで操作したり、その逆の操作も可能になったりと、IKEAのZigBee対応製品との後方互換性が維持されるとのこと。


IKEAによれば、まずはレトロなラジオ風デザインのBluetoothスピーカー「NATTBAD」が2025年7月に、照明機能付きのテーブルスピーカー「BLOMPRAKT」が同年10月に発売される予定。さらに、スウェーデンのデザイナーであるTekla Severin氏とのデザインコラボレーション製品も2026年1月に発売予定となっています。


IKEAの照明&家電担当蓮治マネージャーであるDavid Granath氏はThe Vergeに対し、「Matterは私たちにとって、相互運用性、使いやすさ、そして手頃な価格を実現してくれます。標準化のプロセスは、より多くの企業がこのための開発作業を分担することを意味します。「私たちは複雑さへの障壁を取り除きたいのです。シンプルに使えて、ただ動けばいい、そうあってほしいのです」と、Matterへの移行の理由を語りました。

一方、ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでは、この発表が肯定的に受け止められてはいない模様。IKEAや規格団体はMatterを「オープンな規格」としていますが、実際には認証制度によって閉鎖的になっているという批判が見られます。また、製品を販売するには認証と費用が必要であり、これが小規模なメーカーやDIY(自作)コミュニティの参入障壁になると指摘されていました。

さらに、長年、手頃で信頼性の高いIKEAのZigBee製品を使ってスマートホームを構築してきたユーザーにとって、この方針転換は「裏切り」のように受け止められていました。特に、オープンソースのスマートホーム基盤であるHome Assistantと組み合わせてきたユーザーからは、嘆きの声が上がっています。

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in ハードウェア, Posted by log1i_yk

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