Appleのティム・クックCEOの後継者候補と目されたジェフ・ウィリアムズCOOがAppleを退社へ

Appleは2025年7月8日のプレスリリースで、最高執行責任者(COO)をジェフ・ウィリアムズ氏から、Appleのオペレーション担当副社長であるサビ・カーン氏に引き継ぐことを発表しました。2015年からAppleのCOOを務めたウィリアムズ氏はティム・クックCEOの後継者候補と目されていましたが、2025年末に退任する意思を表明しています。

Apple announces chief operating officer transition - Apple
https://www.apple.com/newsroom/2025/07/apple-announces-chief-operating-officer-transition/

Apple COO Jeff Williams is retiring | The Verge
https://www.theverge.com/news/701576/apple-coo-jeff-williams-retiring-sabih-khan

ウィリアムズ氏はCOOの交代を発表するプレスリリースの中で、「私はAppleを深く愛しています。この会社の素晴らしい人々と共に働けたことは、生涯に一度の特権でした。ティムには、この機会を与えてくれたこと、彼の素晴らしいリーダーシップ、そして長年にわたる友情に、感謝してもしきれません。私は6月でApple入社27周年、そしてこの業界で40周年を迎えました。来年からは、5人の孫たちを含む家族や友人と過ごす時間を増やす予定です。新しくCOOに就任するサビとは、27年間共に働いてきましたが、彼は世界で最も才能のあるオペレーションズ・エグゼクティブだと考えています。彼のリーダーシップの下、Appleの未来は大きく前進すると確信しています」と引退の意思を語りました。

Appleの内部事情に詳しい複数の関係者は2024年の時点で、もしクック氏が辞任することになった場合、その後任はCOOを務めるウィリアムズ氏でほぼ間違いないと述べていました。一方で、ウィリアムズ氏はクック氏より年下ですが2歳しか変わらず、Appleの取締役会はクック氏のように10年以上留任するCEOを求めているとみられているため、年齢がネックであるとも考えられていました。

ティム・クックの跡を継いでAppleの次期CEOに就任するのは一体誰なのか？ - GIGAZINE

by Fortune Global Forum

Appleのティム・クックCEOは「ジェフと私は物心ついた頃からずっと一緒に仕事をしてきました。彼は世界で最も尊敬されるグローバルサプライチェーンの一つの構築に貢献し、Apple Watchの発売と開発を監督し、Appleの健康戦略を設計し、そして素晴らしい知恵と情熱、そして献身をもって世界クラスのデザイナーチームを率いてきました。彼がいなければ、今のAppleはあり得ません。ジェフの真の功績は、彼が築き上げた素晴らしいチームに見ることができます。彼の不在は大きな痛手となりますが、未来の仕事は素晴らしい人々に託されるでしょう」と述べています。

iPhoneやiMacのデザイナーとして知られるジョニー・アイブ氏がAppleを去った際、AppleのデザインチームはAppleのヒューマンインターフェースデザイン担当バイスプレジデントのアラン・ダイ氏とハードウェア部門を率いていたエヴァンス・ハンキー氏が率いることとなり、2人はウィリアムズ氏の直属となっています。その後、ハンキー氏が2023年にAppleを去ってからは、ウィリアム氏がデザインチームとApple Watch、ヘルスケア関連事業を統括していました。そして、ウィリアムズ氏が2025年末をもって退職した後には、デザインチームはクックCEOに直接報告する体制に移行することが発表されています。

ウィリアムズ氏の引退に伴い、COOに就任したのがサビ・カーン氏です。カーン氏はAppleに30年在籍しており、2019年からはオペレーション担当シニアバイスプレジデントとして経営陣に加わり、Appleのグローバルサプライチェーンの統括、製品の品質確保、企画、物流などに携わってきました。また、カーン氏のチームはサプライヤーと提携して、Appleの環境保護への取り組みを支援しています。

カーン氏についてクックCEOは、「カーン氏は優れた戦略家であり、Appleのサプライチェーンの中核を担ってきました。Appleのサプライチェーンを統括する中で、彼は先進的な製造業における新技術の開拓に貢献し、アメリカにおけるAppleの製造拠点の拡大を監督し、世界的な課題に機敏に対応できるようAppleの体制強化に貢献しました。彼は環境持続可能性に向けた当社の野心的な取り組みを推し進め、Appleの二酸化炭素排出量を60％以上削減することに貢献しました。何よりも、カーン氏は自身の情熱と価値観に基づいてリーダーシップを発揮しており、私は彼が優れた最高執行責任者(COO)になることを確信しています」とコメントしました。