「サイコパスの脳」に共通する特徴が脳スキャンで明らかに

精神病質(サイコパシー)を持つ者は精神病質者(サイコパス)と呼ばれ、一般に自己中心的で衝動性が強く、他人への共感力が欠如している傾向が見られ、反社会的な行動に走りやすいとされています。そんなサイコパスの脳をスキャンした研究で、サイコパスの脳には共通した特徴が存在することが判明しました。
Associations of brain structure with psychopathy | European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience
https://link.springer.com/article/10.1007/s00406-025-02028-6

Scans Reveal What The Brains of Psychopaths Have in Common : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/scans-reveal-what-the-brains-of-psychopaths-have-in-common
ドイツのユーリッヒ総合研究機構とアーヘン工科大学などの研究チームは、論文で「サイコパシー(精神病質)は深刻かつ持続的な暴力の最大のリスク要因です」と述べており、その神経学的基盤を明らかにするための研究を行いました。
研究にはサイコパシーと診断された男性39人と対照群の人々が参加しました。研究チームは被験者らを対象に、MRIスキャンで脳の構造を調べると共に、サイコパシーのチェックリスト(PCL-R)を使った分析を行いました。
PCL-Rは面接結果に基づいた専門家の評価と公的な記録を組み合わせ、「総合的なサイコパシーの度合いを示すスコア」「対人関係や感情的な側面に基づくスコア(因子1)」「衝動的な行動及び反社会的行動に基づくスコア(因子2)」の3つを評価するものです。

分析の結果、因子1のスコアによる脳の構造の違いはわずかなものしかありませんでしたが、因子2のスコアが高かった人では特定の脳領域で著しい容積の減少がみられました。具体的には脳幹の橋と呼ばれる部位や視床、大脳基底核、島皮質で容積が少なかったと報告されています。
これらの脳領域は不随意運動の制御や感情の処理、感覚情報の解釈、動機づけ、意思決定などに関わっていることがわかっています。科学系メディアのScience Alertは、「言い換えれば、これらの脳機能は人々が環境にどのように反応するかを決定する上で重要な役割を果たしているのです」と述べました。
さらにサイコパスの被験者の脳は、平均して対照群よりも約1.45%小さいこともわかりました。これは解釈が難しいものの、サイコパスと分類される人々には何かしらの発達上の問題がある可能性を示唆しているとのこと。
研究チームは、「今回の結果はPCL-Rの因子2で捕捉される行動障害が、行動の制御に関与している可能性がある前頭葉皮質下回路の体積欠損と関連していることを示唆しています」と述べました。

なお、今回の研究は比較的小規模なものであり、被験者の多様性も限られているため、より多くのデータを収集するにはさらなる研究が必要とのことです。
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in サイエンス, Posted by log1h_ik
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