Starlink搭載で遠隔操縦できる「無人麻薬潜水艇」はどういう仕組みなのか?

カリブ海沿岸でStarlinkのアンテナを搭載した無人麻薬潜水艇がコロンビア海軍に拿捕(だほ)されました。この船は1.5トンのコカインを輸送する能力があり、衛星ネット通信で遠方への航海を実現していました。
Colombia seizes first unmanned narco-submarine with Starlink antenna
https://www.france24.com/en/americas/20250702-colombia-narco-submarine-starlink
Drone "narco sub" — equipped with Starlink antenna — seized for the first time in the Caribbean - CBS News
https://www.cbsnews.com/amp/news/drone-narco-sub-seized-first-time-caribbean-colombia/
A Fundamentally NEW Type Of Narco Submarine Changes Everything - YouTube

今回コロンビア海軍が拿捕した潜水艇には麻薬は積まれていませんでしたが、当局は、無人で麻薬を運搬する能力があると発表しています。コロンビア海軍が無人の麻薬潜水艇を南米海域で拿捕したのは今回が初めてとのことです。
この船は「半潜水艇」と呼ばれる船で、船体の上半分を海上に突き出して航行します。このような半潜水艇は、上半分は普通の民間船を装っていますが、デッキハウスを取り除くと下半分の船倉があらわになります。

今回拿捕された半潜水艇は、上半分にStarlinkのアンテナが搭載されていました。離れたところにいる操縦者は、アンテナ経由で潜水艇と通信を行い、遠方まで誘導していたとみられています。また、吸気用と見られるパイプがあり、船体のエンジンに空気を送って船尾から排気していたのではないかとも考えられています。

コロンビア海軍によると、半潜水艇には1.5トンのコカインを輸送する能力があったとのこと。コロンビア海軍は「コロンビア最大の麻薬密売グループ『ガルフ・クラン』による試験航行ではないか」と推測しています。

中南米では、主に世界最大のコカイン生産国であるコロンビアから中央アメリカやメキシコへコカインを運ぶため、ジャングルの造船所で建造された有人の半潜水艇が数十年にわたり使用されてきました。ところが、今回無人の麻薬潜水艇が発見されたことで、密輸の技術が進歩していることが浮き彫りになりました。
コロンビア海軍のフアン・リカルド・ロゾ提督によると、無人で自律的に動く潜水艇は海上で探知するのが難しいとのこと。加えて、乗組員がいないことで、乗組員が逮捕されたときに情報が漏れてしまうというリスクを避けられる利点もあるそうです。
麻薬潜水艇が発見されるのは今回が初めてではなく、2023年には2人の遺体と約3トンのコカインを積んだ船が見つかっています。2024年11月にはコロンビアからオーストラリアへ向かう途中だった半潜水艇からコロンビア産コカイン5トンが発見されているなど、以前より遠方へ航行しようとする潜水艇も増えてきているといいます。コロンビアの法律では、半潜水艇の使用、製造、販売、所持、輸送に対し、最大14年の拘禁刑が科せられます。

なお、Starlinkのアンテナが海上で麻薬の密輸に使われたのは今回が初めてではありませんでした。2024年11月、インド警察がアンダマン・ニコバル諸島でStarlinkのアンテナを搭載するボートを拿捕し、6人のミャンマー人を拘束して6000kg以上の覚醒剤を押収しました。この事件はStarlinkのアンテナを海上の麻薬輸送に使った初めての事件だといわれており、インド警察がStarlinkに事情を聞く予定だと伝えられていました。
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