ウクライナの長距離攻撃ドローンまとめ、どういうドローンで実際にロシアを攻撃しているのか？

現代の戦争ではドローンなど無人の兵器が使われることがあります。ロシアとウクライナの紛争で使用されているドローンについて、軍事アナリストのH.I.サットン氏が解説しています。

H I Sutton - Covert Shores
http://www.hisutton.com/Ukraine-OWA-UAVs.html

ロシアはウクライナに対し、主にイラン製のシャヘド型と呼ばれる長距離ドローンを使用しています。このドローンは「一方通行攻撃ドローン(OWA-UAV)」と呼ばれ、非公式には旧日本軍の神風特別攻撃隊になぞらえて「カミカゼドローン」とも呼ばれています。ウクライナでもこれらのドローンの使用が増えていますが、大規模な攻撃作戦の一部として使用するロシアとは違い、戦略的に重要な目標を狙い撃ちするのがウクライナの使い方だそうです。

当初、ウクライナは中国製のMugin-5など市販のドローンを活用していました。これらのドローンは2022年8月、クリミアのセヴァストポリにある黒海艦隊本部を攻撃するために使用されたほか、重要なインフラ施設を対象とした攻撃などにも使われました。このほか、ウクライナは多数のドローンを使用しています。

Ukrjet UJ-22 Airborneは、複数の空中投下爆弾を搭載可能な単発エンジン搭載ドローンです。積載量は最大20kgで、航続距離は推定800km。前方のプロペラとシンプルな直線翼、固定式着陸装置を備えています。ウクライナが運用しているOWA-UAVの中でも最大級の機体の一つです。

Morokは流線型のOWA-UAVです。航続距離は300kmと比較的短く、弾頭は3kg。ロケット噴射で発射し、時速290kmに到達できます。

UJ-25 Skylineは、ジェット推進式で、ステルス性の高いデザインと特徴的な前傾翼を備えています。詳細はほとんど不明ですが、ロシアで少なくとも1機が確認されています。

UJ-26 Beaverは流線型の胴体と逆尾翼を備えています。このタイプは2023年に導入され、量産が開始されたと伝えられています。航続距離は約1000km、推定積載量は20kg。この機種はモスクワを含むロシアの標的への攻撃に使用されています。

クリミア半島で撃墜されたUJ-26の写真もあります。

AQ-400 Scytheは箱型の胴体と前方の翼に特徴的なウィングレットを備えた翼を採用しています。航続距離は他のタイプよりやや短く、750kmと報告されていますが、積載量は32kgと他より多いです。

このほか、名称不明の機種もあります。

以下が一例。2023年12月9日、ロシアでこのタイプのドローンが少なくとも2機墜落し、2024年3月にも1機が発見されました。これらのドローンは、管状胴体を特徴とする非常にシンプルな構造です。垂直尾翼と水平尾翼は同じ形状で、低コスト製造と組み立ての容易さを重視した設計であることがわかります。後部機体は空洞のパイプで構成され、燃料タンクにはプラスチックボトルが使用されています。ピストンエンジンの鼻先部分に爆弾が取り付けられています。これはウクライナのOWA-UAVの新世代モデルで、低コスト製造を最適化したものだとサットン氏は分析しています。

2024年1月29日、ウクライナから約900km離れたロシアのヤロスラヴリにある石油精製所でウクライナ製ドローンが墜落しました。箱型の胴体、前部搭載のプロペラ、V字尾翼、先端まで下がった翼を備えています。ロシアの資料では、全長1.5メートル、翼幅3メートル、弾頭重量10kgと推定されています。

気球を使った爆弾も開発されています。ウクライナとロシアの両国が使用していますが、一般に気象条件がウクライナ側へ有利に働くとされています。非常に高高度からの攻撃が可能ですが、風の影響を大きく受けるため効果は限定的です。

その他、いくつかのドローン画像が以下のページで公開されています。

H I Sutton - Covert Shores
http://www.hisutton.com/Ukraine-OWA-UAVs.html