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AIバンド「The Velvet Sundown」がSpotifyの月間リスナー100万人超を獲得する中、偽の公式アカウントが出現してメディアにデマを吹聴


デジタル音楽配信サービスのSpotify上で、月間リスナー100万人超を獲得したAIバンド「The Velvet Sundown」が注目を集めています。このThe Velvet Sundownの公式を装った偽のXアカウントが、メディアに対してデマを吹聴していたことが明らかになりました。

Velvet Sundown 'Spokesperson' Says He Was A Hoaxer
https://www.rollingstone.com/music/music-features/ai-band-velvet-sundown-spokesperson-hoax-1235378542/

Velvet Sundown 'Spokesperson' Now Says He’s a Hoaxer
https://www.rollingstone.com/music/music-features/velvet-sundown-ai-band-suno-1235377652/

I am Andrew Frelon, the guy running the fake Velvet Sundown Twitter | by Andrew Frelon | Jul, 2025 | Medium
https://medium.com/@andrew.frelon/i-am-andrew-frelon-the-guy-running-the-fake-velvet-sundown-twitter-fcab2b7e471b

2025年6月29日、Spotify上で「The Velvet Sundown」というバンドが注目を集め始めました。The Velvet Sundownが注目を集めた理由は、楽曲およびプロモーション資料(写真など)が生成AIで作成されたものであるためです。なお、The Velvet Sundownは月間リスナー数が100万人を超えています。

The Velvet Sundown | Spotify
https://open.spotify.com/intl-ja/artist/2GRtyAXWUiisGYub5SGMrb


The Velvet Sundownには公式風のXアカウント「@Velvet_Sundown」があります。この@Velvet_Sundownはメディアに対して手の込んだデマを流していたことが、運営者であるアンドリュー・フレロン氏の告白により明らかになりました。The Velvet Sundownの公式Spotifyでも、フロレン氏が同バンドと無関係であることが通達されています。


@Velvet_Sundownを運営しているアンドリュー・フレロン氏によると、このアカウントは3月に開設したアカウントを偽の公式アカウントに作り替えたものだそうです。

フレロン氏は1年前にThe Velvet SundownがSpotifyで行っていたようにAIを使って楽曲を作成し、Spotifyで収益を上げられるかテストしていたそうです。フレロン氏は楽曲やアートワークをAIで作成し、ボットを使ってSpotify上で公開した楽曲の再生数を稼ぐことで、楽曲の注目度を高めたそうですが、継続的に楽曲の再生数を稼ぐことができず、大きなインパクトも収益も稼ぐことができなかった模様。この経験のおかげで、The Velvet Sundownという現象を「完全に理解することができた」とフレロン氏は記しています。


The Velvet SundownにはInstagramアカウント以外、バンドに関するソーシャルメディアアカウントがほとんどないことに気づいたため、フレロン氏は「The Velvet Sundownの公式Xアカウント風アカウントを作ったらどうなるだろう?」と思い、@Velvet_Sundownを作成したそうです。

フロレン氏が偽アカウントを作成した理由は、ジャーナリストを試すためだった模様。フロレン氏は「過去に行ってきたプロジェクトから、ジャーナリズムの報道の力学についてある程度知っていたため、ジャーナリストが『私たち』にコメントを求めて連絡を取らなかったことを、あえて一般論として批判し始めるのは面白いと思いました」と記しています。

フレロン氏は「The Velvet Sundownのようなタイムリーなニュースを追うジャーナリストは、情報検証プロセスに大きな欠陥を持っているケースがあります。ジャーナリストが最初に記事を発表しようと競い合っているため、事実確認や検証に関するベストプラクティスを無視するジャーナリストが大量発生します。厳しい締め切りに間に合わせるため、ジャーナリストは倫理規定の側面を無視するようです」と記し、The Velvet Sundownの偽アカウントを運営することで、メディアの雑な情報検証プロセスが明らかになったと指摘しています。

以下はフレロン氏の運営していた偽公式アカウントに、Xのダイレクトメッセージ経由でコンタクトを取ってきたジャーナリストの一例。


なお、The Velvet Sundownは本物の公式Xアカウントで、同プロジェクトについて「人間の創造的な指示によって導かれ、AIのサポートによって作曲され、声がつけられ、映像化された合成音楽プロジェクト」であると説明しています。The Velvet Sundownで登場するすべてのキャラクター、物語、音楽、声、歌詞は、創造的な道具として使用されるAIツールの助けを借りて生成されたオリジナルの創作物であり、実在の場所、出来事、人物(存命であれ故人であれ)に類似しているのは、まったくの偶然であり、意図的なものではないそうです。The Velvet Sundownの作成者は「人間的でもなく、機械的でもない。The Velvet Sundownはその中間を生きています」と説明しています。

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in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by logu_ii

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