mRNAインフルエンザワクチンの効果が従来のワクチンを上回ったとモデルナが発表

新型コロナウイルスのmRNAワクチンを開発したことで知られる製薬企業のモデルナが、季節性インフルエンザのmRNAワクチン「mRNA-1010」の第3相臨床試験で、従来の標準的なインフルエンザワクチンよりも相対的に26.6%高い有効性が確認されたと発表しました。
モデルナ、季節性インフルエンザワクチンの第3相試験で良好な結果を発表
https://www.modernatx.com/ja-JP/press-release/2025/20250701

Moderna says mRNA flu vaccine sailed through trial, beating standard shot - Ars Technica
https://arstechnica.com/health/2025/07/moderna-says-its-mrna-seasonal-flu-shot-is-27-better-than-current-vaccine/
モデルナは現地時間の2025年6月30日、季節性インフルエンザのmRNAワクチンであるmRNA-1010の第3相臨床試験の結果を発表しました。今回の第3相臨床試験では、11カ国に住む50歳以上の被験者4万805人を対象に、mRNA-1010または標準的なインフルエンザワクチンを接種し、中央値で6カ月間にわたる追跡調査が行われました。
結果を分析したところ、全体的な集団においてmRNA-1010は標準的なワクチンと比較して、相対的な感染予防効果(relative vaccine efficacy:rVE)が26.6%高かったことが確認されました。具体的にはA型インフルエンザウイルスH1N1亜型で29.6%、A型インフルエンザウイルスH3N2亜型で22.2%、B型インフルエンザウイルス(ビクトリア系統)で29.1%、mRNA-1010のrVEが高かったとのことです。
また、mRNA-1010の安全性および忍容性は過去の臨床試験と一致しており、副反応のほとんどは軽微なものでした。副反応として最も多かったものは注射部位の痛みで、全身に及ぶ副反応には疲労・頭痛・筋肉痛などが多く報告されました。ワクチン接種後の非特定有害事象や重篤な有害事象、特に注目すべき有害事象については、通常のワクチンと有意な差はみられませんでした。
モデルナのステファン・バンセルCEOは、「本日発表した第3相試験の有効性データは、高齢者におけるインフルエンザの疾病負荷軽減を目指すモデルナの取り組みにおいて重要なマイルストーンとなります。今季の深刻なインフルエンザの流行は、より効果的なワクチンの必要性を浮き彫りにしました。mRNAベースのインフルエンザワクチンは、流行中の株により正確に対応できる、将来インフルエンザパンデミックが発生した際に迅速な対応を可能にする潜在的なアドバンテージを有します。COVID-19との混合ワクチン開発への道を切り拓く可能性もあります」と述べました。
モデルナは今回の第3相臨床試験で得られたデータを今後の学会などで発表し、査読付き学術誌に投稿する予定とのこと。また、mRNA-1010の承認申請に向けて、各国の規制当局と協議を進めていくとしています。

テクノロジー系メディアのArs Technicaは、記事作成時点でアメリカ保健福祉省を率いるロバート・F・ケネディ・ジュニア氏がワクチン懐疑派であることから、mRNA-1010のように有望なワクチンでさえ先行きは不透明だと指摘。ケネディ氏は現地時間の6月9日、予防接種に関して政府公式勧告を発する諮問委員会のメンバー17人全員を解任したことを明らかにしています。
また、ケネディ氏の指揮下にある保健福祉省はすべての新しいワクチンに対し、認可前に偽のワクチンを用いたプラセボ対照試験を義務づけることを発表しています。しかし、これを実行するには命を脅かす感染症の患者に対し、すでに認可されたワクチンがあるにもかかわらず効果がない偽のワクチンを接種させる必要が生じるため、倫理的な問題があると専門家から指摘されています。
さらに保健福祉省は5月、モデルナのmRNAワクチン製造に対して交付されていた助成金の取り消しを発表。これについて保健福祉省の広報担当者は、「mRNA技術はまだ十分に検証されていないのが現実です」と述べました。
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in メモ, Posted by log1h_ik
You can read the machine translated English article Moderna announces that its mRNA influenz….