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AppleはSiriの刷新に向け社内AI開発を放棄してOpenAIやAnthropicのAIを採用する可能性


AppleはWWDC24で発表したパーソナルAIのApple Intelligenceと音声認識アシスタントのSiriを統合することで、Siriを進化させることを計画していました。しかし、この進化したSiriの開発は遅れており、Appleはリリース時期を2026年に延期すると発表しています。この進化したSiriの基盤テクノロジーとなるAIモデルには、Appleが独自に開発しているAIモデルが採用されることと目されていたのですが、Appleはこの計画を放棄し、OpenAIやAnthropicといった外部のAI企業が開発するAIモデルを採用する方針に転換したことが報じられました。

Apple Weighs Replacing Siri’s AI, LLMs With Anthropic Claude or OpenAI ChatGPT - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-06-30/apple-weighs-replacing-siri-s-ai-llms-with-anthropic-claude-or-openai-chatgpt

Apple might ditch internal AI efforts for Siri revamp - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2025/06/30/apple-might-ditch-internal-ai-efforts-for-siri-revamp-use-openai-or-anthropic-instead/


Appleの内部情報に精通しているBloombergのマーク・ガーマン記者によると、AppleはOpenAIやAnthropicといったAI企業に「AppleのPrivate Cloud Compute上で実行できる大規模言語モデル(LLM)のカスタマイズバージョンのトレーニング」を依頼したそうです。

なお、Private Cloud ComputeはAppleのパーソナルAIであるApple Intelligenceの高負荷タスクを処理するためのAIサーバーで、その詳細は以下の記事にまとめてあります。

AppleのアシスタントAI「Apple Intelligence」に使われるAI処理サーバー「Private Cloud Compute」の安全性への取り組みをAppleが説明 - GIGAZINE


「AppleのPrivate Cloud Compute上で実行できるLLMのカスタマイズ版」は、AWSやAzureといったサードパーティーのクラウドプラットフォームに依存するのではなく、Appleシリコンを搭載したサーバー上で稼働するため、Appleはプライバシーに関する詳細を管理できるようになります。

Appleが2026年にリリース予定の「進化したSiri」は「LLM Siri」とも呼ばれるものです。このLLM Siriについて、ガーマン記者は「LLM Siriのロードマップは技術的には進行中であるものの、複数回のテストの結果、AnthropicのテクノロジーがAppleの開発してきたテクノロジーよりもSiriのニーズに適しているという結論に至っている」とのこと。


ガーマン記者に情報提供した匿名の関係者によると、Appleによるサードパーティー製のカスタムLLMの調査はまだ初期段階にあるため、AnthropicのLLMが採用されるという最終決定が下ったわけではない模様。また、引き続き自社製AIモデルを採用したLLM Siriの開発も続けられる予定のようです。

また、AppleとAnthropicは潜在的な契約条件について協議しているものの、暫定的な金銭的条件をめぐり意見が一致しなかったと関係者は証言しています。Anthropicは毎年急増する数千億円規模の年間利用料をApple側に求めていますが、合意に至るのが難航しているため、Appleは別の企業との提携を検討しているとのことで、その中にはOpenAIも含まれているそうです。


さらに、サードパーティー製のLLMを採用することは、Apple従業員にとっては「受け入れ難い決定」であるとガーマン記者は指摘。そのため、Apple独自のAIモデルを開発しているチームの士気は低下しており、一部のメンバーは「Appleの生成AI関連テクノロジーの進展が遅い」という批判のスケープゴートにされていると感じており、中にはAppleを離れたメンバーもいるそうです。

なお、Metaのマーク・ザッカーバーグCEOがAI業界の専門家を競合他社から引き抜くために多額の報酬を支払っていることが話題となっていますが、AppleのオープンソースMLXフレームワーク開発チームのメンバーも他社の移籍寸前にまで話が進んでいたそうです。これに対してAppleはメンバーを引き留めるための報酬を見直したオファーを提示したとガーマン記者は報じています。

Metaのマーク・ザッカーバーグは最も優秀なAIエンジニア&研究者をまとめた「ザ・リスト」をベースに引き抜きを画策している - GIGAZINE

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in モバイル,   ソフトウェア, Posted by logu_ii

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