サイエンス

世界最大のカメラを搭載したルービン天文台が撮影画像を初公開

by RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA

世界最大の32億画素LSSTカメラを搭載するNSFヴェラ・C・ルービン天文台(ルービン天文台)が、撮影した画像1185枚を合成した超巨大な宇宙の画像を初公開しました。

The Cosmic Treasure Chest | Rubin Observatory
https://rubinobservatory.org/news/rubin-first-look/cosmic-treasure-chest


Vera C. Rubin Observatory releases 'sneak peek' of first images taken with world's largest camera | Live Science
https://www.livescience.com/space/astronomy/rubin-observatory-releases-sneak-peek-of-first-images-taken-with-worlds-largest-camera

ルービン天文台はチリのパチョン山の標高2650メートル地点に建造された、口径8.4メートルという巨大な可視光線望遠鏡を持つ天文台です。ルービン天文台は天文学に革命を起こすことが期待されており、一体何がすごいのかは、以下の記事にまとめてあります。

天文学に革命を起こすと期待されている「ルービン天文台」は何がすごいのか? - GIGAZINE

by Wikimedia Commons

そんなルービン天文台が、撮影した画像を初公開しました。

以下の動画は、ルービン天文台が撮影した地球から約5500万光年離れた位置にあるおとめ座銀河団の南部地域の画像を紹介したもの。おとめ座銀河団は地球が存在する天の川銀河に最も近い銀河団です。画像には青色や赤色の明るい星々、青色の渦巻き銀河、遠方にある赤色銀河群など、驚くほど多様な天体が写っています。なお、画像はルービン天文台が撮影した1100枚以上の画像から構成されているそうです。画像には約1000万個の銀河が写っていますが、ルービン天文台が今後10年間で観測する銀河の総数は約200億個とされています。

The Cosmic Treasure Chest - VIDEO - EN - YouTube


ルービン天文台を用いることで、天文学者は「天の川銀河はどのように形成されたのか?」や「目に見えない宇宙の95%は何で構成されているのか?」などの疑問に取り組むこととなるそうです。


ルービン天文台が撮影する1枚の画像は、10平方度(満月約45個分)をカバーします。ルービン天文台は同じ場所を異なる時間、異なるカラーフィルターで撮影し、これらの画像を組み合わせることで、1枚の画像では捉えきれない極めて微細なディテールを明らかにしているそうです。今回公開されたのは1185枚の画像を合成した画像で、撮影期間はわずか「7夜」となっています。

ルービン天文台は今後10年間で、同じ領域を何度も撮影し、超新星爆発やブラックホールに飲み込まれる星のフレアといった、短時間ながらも重要な現象を捉える予定です。ルービン天文台のソフトウェアは、新しい画像を過去の画像から作成したテンプレートと自動で比較し、毎日最大1000万回の変化を識別し、短命な宇宙現象や運動する物体に関する洞察を提供します。

天文学者たちは宇宙最大の謎である暗黒物質(ダークマター)および暗黒(ダーク)エネルギーの謎の解明にも取り組む予定です。銀河の形状と分布を時系列でマッピングすることで、科学者たちは暗黒物質の根本構造を推測し、宇宙の膨張が暗黒エネルギーによってどのように影響を受けているのかを観察することができる模様。

以下はルービン天文台が撮影したおとめ座銀河団の拡大画像。画像には2つの渦巻銀河、3つの合体銀河、近距離と遠距離の銀河群、天の川銀河内の星々など、さまざまなものが写っています。

by RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA

他にも、ルービン天文台は三裂星雲干潟星雲の姿も捉えています。以下の画像はわずか7.2時間の観測時間で撮影された678枚の画像を合成したもので、合計約2兆ピクセルのデータから構成されています。

by RubinObs/NOIRLab/SLAC/NSF/DOE/AURA

画像の右上に写っている三裂星雲は、いて座の方向に約5000光年離れた位置にある、ガスと塵で構成された雲です。ピンク色に輝く散光星雲、青みがかった反射星雲、暗黒の塵の筋といった複数の特徴が一カ所に凝縮されています。三裂星雲の内部では新しい星々が生まれており、強い風と放射線を放出し、周囲のガスを切り裂いているそうです。

さらに、三裂星雲の下に写り込んでいるのが干潟星雲で、これは約4000光年離れた位置に存在します。干潟星雲は双眼鏡や小型の望遠鏡でも観測可能で、中心部には若くて巨大な星の集団があります。干潟星雲は科学者にとって星形成の初期段階、つまり巨大な雲がどのように崩壊し、星団がどのように形成され、生まれたばかりの星がどのように周囲の環境を変え始めるかを研究する絶好のチャンスとなるそうです。

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