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iOS 26・macOS Tahoe・iPadOS 26の標準ブラウザ「Safari 26」では一体どんな新機能が利用できるようになるのか?


現地時間の2025年6月9日、Appleの開発するウェブブラウザ・Safariの最新バージョンとなる「Safari 26」のベータ版がリリースされました。このSafari 26ベータには67の新機能と107の改善が含まれており、レンダリングエンジンのWebKitにも新機能が追加されています。そんなSafari 26ベータでは一体どんな新機能が使えるのか、まとめてみました。

News from WWDC25: WebKit in Safari 26 beta | WebKit
https://webkit.org/blog/16993/news-from-wwdc25-web-technology-coming-this-fall-in-safari-26-beta/

Safari 26.0 Beta Release Notes | Apple Developer Documentation
https://developer.apple.com/documentation/safari-release-notes/safari-26-release-notes

iOS 26: WebKit changes power a ton of new Safari features
https://www.idownloadblog.com/2025/06/19/apple-ios-26-webkit-safari-new-features-iphone-ipad-mac/

◆iPhoneとiPadでウェブサイトをウェブアプリとして保存可能に
iPhoneユーザーは2008年1月にリリースされたiPhone OS 1.1.3から、「ホーム画面に追加」機能を使ってウェブサイトのアイコンをホーム画面に追加することができるようになりました。このアイコンをタップすると、お気に入りのウェブサイトをいつでもSafariで開くことが可能です。

8カ月後にリリースされたiPhone OS 2.1では、ウェブサイトの開発者はタグを利用することでネイティブアプリのように見せるスタンドアロンモードを設定可能となりました。

そして2013年にはW3Cウェブアプリケーションマニフェストの標準化プロセスを開始し、JSONマニフェストファイルでウェブアプリの動作を設定できるようになっています。さらに、2014年11月には各ブラウザがウェブアプリケーションマニフェストのサポートを開始し、2018年3月にはiOS 11.4でもSafariでウェブアプリケーションマニフェストに対応しました。

これまで、ウェブサイトに適切なmetaタグあるいはウェブアプリケーションマニフェストのdisplayがあり、ユーザーがiOSまたはiPadOSで「ホーム画面に追加」機能を利用した場合、ホーム画面に追加したアイコンをタップするとウェブサイトがSafariで開くのではなく、ウェブアプリとして開いていました。ウェブサイトがウェブアプリとして設定されていない場合、アイコンをタップするとSafariでウェブサイトが開きます。

Macでは2023年9月にMac向けウェブアプリを導入する際に、異なるアプローチが採用されました。Macではウェブサイトにウェブアプリケーションマニフェストがあるかどうかに関係なく、常にウェブアプリとして開かれます。


「iPhoneおよびiPadと、Macでの不可解な動作の違いをユーザーに感じさせたくなかった」として、Macと同じように「ホーム画面に追加」したウェブサイトは、常にウェブアプリとして開くようにするとWebKit開発チームは説明しています。また、オプションとして「ウェブアプリとして開く」を無効にすることも可能です。ウェブサイトがウェブアプリとして設定されている場合でも、「ウェブアプリとして開く」を無効にしている場合、ウェブサイトとしてSafariで開かれることとなります。

「ホーム画面に追加」の新しいUIが以下。ウェブサイトの名称・URLの下に「ウェブアプリとして開く」というオプションが表示されます。デフォルトでは「ウェブアプリとして開く」が有効になっているようです。


この変更によりWebKitの既存のウェブアプリ機能のサポートが削除されるわけではありません。構築したサイトにウェブアプリケーションマニフェストがあれば、そのメリットはすべてユーザーエクスペリエンスの一部となります。マニフェストでアイコンを定義しておけば、それらが使用されます。サービスワーカーを使ってオフラインエクスペリエンスを提供することもできます。

WebKit開発チームは「開発者の皆様は、思い通りのエクスペリエンスを構築するために、あらゆるウェブテクノロジーをご利用いただけます。今なら、 HTMLファイルとURLという基本的な情報さえあれば、ウェブアプリのエクスペリエンスをユーザーに提供することも可能です。開発者の皆様は、CSS、JavaScript、ウェブAPIなど、好みのものを組み合わせて自由に構築できます。そして、ユーザーはどんなサイトでもホーム画面に追加し、ウェブアプリとして開くことができます」と説明しました。

◆SVGアイコン
Safari 26ベータでは、ファビコンを含むインターフェイス上のアイコンがある全ての場所で、アイコンのSVGファイル形式がサポートされるようになりました。SVGファイルは品質や解像度を損なうことなく、任意のサイズに拡大縮小できるという、ウェブに適したベクター画像形式です。

長年、ファビコンはブラウザウィンドウのURLバーか、ブックマークに表示されるだけでした。しかし、近年のアイコンはブラウザごとにさまざまな場所で、異なるサイズで表示されるようになっています。Safariのスタートページもそのひとつで、お気に入りのウェブサイトやリーディングリストなどが、ファビコンと共に表示されます。

アイコンにSVGファイルを使用することで、ベクター画像の無限スケールが可能となるため、さまざまな場所で適したサイズのアイコンを利用可能となります。なお、SVGファイルはファビコンに頻繁に使用されるPNGファイルよりもファイルサイズが小さいという点でも理想的だそうです。

◆Safariに問題報告機能が初めて追加
macOS、iOS、iPadOSのSafariにおいて、ユーザーはウェブページで問題が発生した時にいつでもAppleに問題を報告できるようになりました。予期しない問題が発生していると思われる場合、ページを再読み込みし、それでも問題が解決しない場合は、「ページ」メニューの「ウェブサイトの問題を報告…」から問題の報告が可能。


なお、この機能を使ってウェブサイトの問題を報告すると、Safariでより快適な体験を提供するために必要な情報を収集するため、簡単な複数選択の質問が表示されるそうです。

◆HDR画像
人間の目は通常、明るい光に照らされた物体と暗い影の中にある物体を同時に見ることができます。カメラやディスプレイが表示できる明るさの範囲は「ダイナミックレンジ」と呼ばれているのですが、人間の目のダイナミックレンジは非常に広く、機械で再現するのは困難です。

デジタル写真と動画撮影は長年にわたって飛躍的に進歩し、デジタルでダイナミックレンジを捉える能力も飛躍的に向上しました。ハイダイナミックレンジ(HDR)フォーマットはこれをさらに進化させ、より広いダイナミックレンジとより広い色域の両方を捉えることができるため、より鮮やかでリアルな画像や動画を作成できます。WebKit開発チームは「ディスプレイ技術の進歩も相まって、深みのある黒、ピュアで明るい白、そしてその間のドラマチックなニュアンスを備えた画像を他の人に見せることが可能になりました」と報告しました。

WebKitは2020年にSafari 14.0でHDR動画のサポートを開始。そして、iOS 26、iPadOS 26、macOS 26、visionOS 26向けのSafari 26ベータでは、WebKitがウェブ上に存在するHDR画像をついにサポートしました。キャンバス要素の画像も含め、他の画像と同様に、HDR画像をウェブページに埋め込むことが可能です。

Safari 26ベータでは、CSSの新しいプロパティ「dynamic-range-limit」のサポートも追加されました。このプロパティを使用すると、標準ダイナミックレンジ(SDR)とHDRの動画・画像を混在させて表示する際の動作を細かく制御することが可能となります。なお、記事作成時点ではSafari 26ベータでは「no-limit」および「standard」という値をサポートしており、「no-limit」はブラウザにコンテンツをそのまま表示するよう指示するもので、HDRコンテンツはHDRでそのまま表示されます。一方で、 「standard」を使用すると、すべてのHDRコンテンツがSDRに変換されて表示されます。これにより、HDR画像や動画がSDRコンテンツの横で過度に明るくなったり、場違いに見えたりすることを防ぐことが可能です。

◆WebView
SafariはInstagramなどのアプリ内でも「アプリ内ブラウザ」として利用可能となるため、開発者はユーザーをアプリから移動させることなくリンクを開かせることが可能となります。そのためのAPIがWebViewで、このWebViewをSwiftやSwiftUIと連携させるためにゼロから設計された新しいAPIがSwiftUI Viewです。

SwiftUI Viewでは、表示したいURLを以下のように指定するだけで済みます。

struct ContentView: View {
    var body: some View {
        WebView(
            url: URL(string: "https://www.webkit.org")
        )
    }
}


新しいWebViewは、「webViewScrollPosition」「webViewMagnificationGestures」「findNavigator」のような強力な修飾子もサポートします。コンテンツの変更に反応するなど、より高度なカスタマイズを行うには「WebPage」を利用すればOKです。


◆デジタル認証情報API
Safari向けのWebKitは、W3Cのデジタル認証情報APIのサポートを追加します。このAPIにより、ウェブサイトはApple WalletやIDドキュメントプロバイダーとして登録されているその他のiOSアプリケーションから、安全にIDドキュメント(運転免許証など)をリクエストできるようになります。

デジタル認証情報APIは、オンラインサービスへのアクセスに信頼性の高い認証情報が必要となる場合に役立ちます。例えば、ユーザーが運転免許証の写真を撮る必要がある場合と比べて、はるかに安全でユーザーフレンドリーな代替手段になると開発チームは説明しました。

デジタル認証情報APIは既存の認証情報管理APIを活用し、身分証明書のリクエストに「digital」メンバーを導入します。身分証明書のリクエストは、プロトコル文字列で識別されるISO/IEC 18013-7 Annex C国際規格に準拠します。

例えば、エンドユーザーの運転免許証をリクエストするには、次のようにし、HTMLでボタンを作成します。

<button onclick="verifyIdentity">Verify Identity</button>


JavaScriptでは以下のようになります。

async function verifyIdentity() {
    try {
        // Server generated and cryptography signed request data.
        const response = await fetch("drivers/license/data");
        const data = await response.json();

        // Create the request.
        const request = {
            protocol: "org-iso-mdoc",
            // What is being rquested, e.g. person's driving privileges 
            data,
        };

        // Perform presentment request.
        // Must be done through a user gesture!
        const credential = await navigator.credentials.get({
            mediation: "required",
            digital: {
                requests: [request],
            },
        });

        // Send credential to server for decryption.
        const response = await fetch("/decrypt", {
            method: "POST",
            body: JSON.stringify(credential.data),
            headers: {
                'Content-Type': 'application/json'
            }
        });

        // Display it...
        const json = await response.json();
        presentDetails(json);
    } catch (err) {
        // Deal with any errors...
    }
}


◆ウェブGPU
さらに、Safari 26ベータのWebKitでは、WebGLがウェブGPUに置き換えられます。ウェブGPUはGPU上でプログラムを実行するためのJavaScript APIで、グラフィックスとレンダリングの機能においてはWebGLに似ていますが、コンピューターシェードが追加され、GPU上で汎用的な計算が可能となるというものです。

ウェブGPUはmacOS、iOS、iPadOS、visionOSにおいてWebGLから置き換えられ、新しいウェブサイトやウェブアプリにより適したものとなります。具体的にはMetalやその他の基盤となるハードウェアとのマッピングがより適切です。なお、WebGLは最新のGPUよりも前に設計されたOpenGLから派生したものであるため、変換にかなりのオーバーヘッドが必要となります。

GPUプログラムは、ウェブGPUシェーディング言語(WGSL)を利用してウェブサイトまたはウェブアプリに提供されます。WGSLは、境界アクセスやポインタ演算のチェックなしを許可する既存のシェーディング言語とは異なり、ウェブ上で検証可能な安全性を備えた新しい言語です。

ウェブGPUはSafariテクノロジープレビューで1年以上前から有効化されており、macOS、iOS、iPadOS、visionOS向けのSafari 26ベータで利用可能になりました。ウェブGPUが提供するハードウェアアクセスのレベルを考慮し、ウェブGPUが新たなセキュリティ攻撃対象領域を露出させないよう、十分な配慮がなされています。また、オーバーヘッドを最小限に抑え、ネイティブアプリケーションに近いパフォーマンスを維持するため、検証が合理化されています。

なお、Babylon.jsThree.jsUnityPlayCanvasTransformers.jsONNX RuntimeなどはすべてSafari 26ベータで問題なく動作するそうです。

◆新しいCSS
Safari 26では複数の新しいCSSがサポートされています。そのうちのひとつが「text-wrap: pretty」のサポートです。「text-wrap: pretty」はテキストを適切な文字数で折り返すためのCSS一括指定プロパティで、これを利用することでウェブ上のテキストをより読みやすく、きれいに表示できるようになります。

なお、「text-wrap: pretty」の利点についてWebkit開発チームが解説している内容は、以下の記事でチェック可能です。

テキストをキレイに折り返す「text-wrap: pretty」を使うべき理由をSafariのWebkit開発チームが公式で解説 - GIGAZINE


◆その他
visionOS 26のSafari 26では、AppleのAR Quick Lookで既に動作しているUSDZファイルを使用して、インタラクティブな3Dモデルをウェブページに埋め込むための新しいHTML要素がサポートされています。これにより、拡張現実(AR)を含むさまざまな環境でインタラクションが可能になります。Safariはウェブページ上の3Dモデルを立体的にレンダリングします。WebKit開発チームによると、「ユーザーが自分の空間でモデルを実寸大で見たい場合は、ワンジェスチャーでモデルをページ外にドラッグできます」とのことです。

ウェブ開発者は、環境マップを任意の画像として提供することで、3Dコンテンツに照明を実装することも可能となります。3Dオブジェクトはアニメーション化することもでき、ユーザーは自由に回転・拡大縮小・移動が可能です。

visionOS 26のSafariは、空間ビデオApple Immersive Videoなどの没入型コンテンツに加え、180度動画と360度動画、広視野角(Wide FOV)もサポートしています。WebKit開発チームは「動画をウェブページに埋め込み、ユーザーが3D空間の曲面上で没入的に動画を再生できるようにします」と説明しました。さらに、Safariは没入型メディア向けにHTTPライブストリーミングもサポートします。

なお、これらの新機能が追加されたSafari 26のベータ版を利用するには、iOS 26、iPadOS 2、macOS Tahoe 26、visionOS 26のベータ版をインストールすればOK。将来的にはmacOS向けのSafari Technology Previewでひと足先にSafari 26が利用可能となる予定です。

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in モバイル,   ソフトウェア, Posted by logu_ii

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