アメリカ軍の特殊爆弾「バンカーバスター」はイランの地下深くにある核関連施設をどんな仕組みで攻撃したのか?

日本時間の2025年6月22日(日)に、アメリカ軍がイランの3つの核関連施設を攻撃したことを発表しました。イランの核関連施設は地下深くに建設されており、アメリカ軍は地下深くの建造物を攻撃するために「バンカーバスター」と呼ばれる特殊な爆弾を使用したことを明らかにしています。このバンカーバスターは「大きくて重くて貫通力の高い爆弾」といったように説明されることがありますが、「ただ大きくて重たいだけで、地下深くへの精密な攻撃が可能なのか?」と疑問に思う人も多いはず。バンカーバスターの仕組みについてYouTubeチャンネルのAiTellyが解説していたので、仕組みをまとめてみました。
How a Bunker Buster Bomb Works? - YouTube

アメリカ軍の発表によると、イランの核関連施設への爆撃は日本時間の2025年6月22日7時40分~8時に実施したとのこと。攻撃の中心を担ったのは7機の戦略爆撃機「B2」で、バンカーバスターの中でも最大級の「GBU-57」が合計14発投下されました。GBU-57が実戦で使用されたのは今回が初めてです。なお、アメリカ軍は今回の作戦を「Operation Midnight Hammer(ミッドナイトハンマー作戦、真夜中の鉄槌作戦)」と名付けています。

1970年代に開発されたバンカーバスター「BLU-109」は約1.2mの深さまで潜って対象を攻撃できます。

第一次湾岸戦争の際にイラクの地下司令部を攻撃するために開発された「GBU-28」は約6mまで潜ることが可能。

そして、今回のイランへの攻撃で初めて使用された「GBU-57」は地下60mまで潜って対象を攻撃できます。

GBU-57の全長は約6.25mで、直径約80cm、重さは約1万4000kgです。この巨大な質量を利用して、鉄筋コンクリートなどを貫通しながら地中深くまで潜り込むことができます。

GBU-57の外装は硬化フェロコバルト合金で作られています。

外装部分だけで全重量の80%を占めています。

火薬や信管が詰まった爆発ユニットの重さは2267kg。

後部には軍用レベルのGPSアンテナやバッテリーが詰め込まれています。

そして、最後尾には稼働式のフィンを4個搭載。

フィンはバッテリーからの電力を受けて稼働し、GBU-57の進行方向を調整することができます。GBU-57にはスラスターが搭載されておらず、フィンによる落下調整のみで進行方向を調整しています。

攻撃の手順は以下の通り。まず、GBU-57を爆撃機で作戦地域にまで運びます。なお、GBU-57を積載可能な爆撃機は、記事作成時点ではアメリカ軍のB2のみとされており、イランの核関連施設への攻撃にもB2が用いられました。

作戦地点の高高度からGBU-57を投下。

GBU-57はGPSを用いて自身の位置を把握し、フィンを動かして攻撃対象を目指します。

攻撃対象めがけて落下。

地表と接しても爆発せずに地下へと潜り込みます。

鉄筋コンクリートも貫通しながら深度60mまで到達。

目標地点に到達したら爆発して多大な損害を与えます。

通常の爆弾は地表に接した時点で起爆しますが、GBU-57は「重力加速度を検知する信管」と「時間差で起爆する信管」の2種を搭載することで「地表に接した後、地下深くに潜ってから起爆」という動作を実現しています。

なお、GBU-57の開発費は4億ドル~5億ドル(約590億円~約730億円)で、1ユニット当たりの生産価格は350万ドル(約5億1000万円)と推定されています。

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