SF作家のアーサー・C・クラークがAIの台頭とそれに伴う存在論的な問題について1978年に予言していた

「幼年期の終り」や「2001年宇宙の旅」といった作品で知られるSF作家のアーサー・C・クラークが、AIを扱った1978年のドキュメンタリー番組でのインタビューで、現代のAIブームを予言するようなコメントや、AIが台頭した際に問いかけるべき議論について発言しています。
Sci-Fi Writer Arthur C. Clarke Predicted the Rise of Artificial Intelligence & the Existential Questions We Would Need to Answer (1978) | Open Culture
https://www.openculture.com/2024/12/arthur-c-clarke-predicts-the-rise-of-artificial-intelligence-questions-what-will-happen-to-humanity-1978.html

SF(サイエンス・フィクション)はあくまで架空の物語ですが、SF作品で描かれた技術が現実となることもあります。AIが流行してチャットボットに夢中になるユーザーが多くいたり仕事の一部を奪われる労働者が問題になったりする現代の状況は、SF短編「あなたの人生の物語」の作者であるテッド・チャン氏や、1995年のSF作品「ダイヤモンド・エイジ」でChatGPTのような存在を描いていたニール・スティーブンスン氏などにより、かなりクリティカルに予測されていました。
2000年にAIと人類の未来を示していたSF作家のテッド・チャンによる「テーブルからパンくずを拾う」 - GIGAZINE

クラークはSF作家であると同時に科学解説者でもあったため、作中にリアルな未来の描写を残しているだけではなく、コンピューター雑誌でコミュニケーションの未来について予想を論じることもありました。
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そんなクラークは1978年に、アメリカの人気科学番組「NOVA」に登場し、当時はまだかなりの初期段階であった「AI」について将来の予測を語っていました。以下は、NOVAの公式YouTubeチャンネルで公開されている、当時放送されたインタビューの一部です。
This Sci-Fi Author Predicted a Computer-Dominated Future in the ’70s | NOVA | PBS - YouTube

番組の中でクラークは、「現在(1978年)の時点では、高精度のコンピューターであってもまだどのレベルでも実現できていませんが、ロボットの中には学習能力を持つものがあり、将来的には自己改善し続けるシステムを設計できるようになるでしょう」とAIが実用可能なレベルまで発展していく未来を予言しています。

また、「人間よりも賢いコンピューターの出現により、社会は完全に再構築されるでしょう。人類は機械的ないしルーティンワーク的な作業を奪われていきます。これは単にタスクを奪われた人たちの個人的な問題ではなく、社会的、哲学的な問題を引き起こします」とAIの台頭に伴う問題点も予測しています。
AIの分野は1950年代初頭から好況と不況を繰り返しており、NOVAがAIを特集したテレビ番組「The Mind Machines」を作成した1970年代は、研究資金が乏しく関心も低下しつつある「AIの冬」と呼ばれる時代でした。そんな時代でもクラークは、「私たちが今やっていること(AIの開発)は、ある意味ではすでに私たち人類の後を継ぐ『後継者』を生み出しています。私たちはAIの最初の未熟な始まりを目撃しています」と、将来的にAIが主流になるという見解を述べていました。
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