サイエンス

臓器に直接貼り付ける電子絆創膏が誕生


錠剤などの薬剤を使うと薬が全身に拡散して望ましくない副作用を引き起こす可能性があるため、治したい箇所にピンポイントで薬を届ける方法が模索されています。新たに北京大学の研究者らが「臓器に直接貼り付ける絆創膏」を開発したと発表しました。

A battery-free nanofluidic intracellular delivery patch for internal organs | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-025-08943-x


An electronic band-aid that delivers therapy directly to organs
https://phys.org/news/2025-05-electronic-band-aid-therapy.html

北大第三医院李默团队与合作者在《自然》发表成果,揭示基于新型递送贴片NanoFLUID筛选肿瘤驱动因子 - 生物通
https://www.ebiotrade.com/newsf/2025-5/20250510074550390.htm

China makes paper-thin band-aid that sticks to organs, delivers drugs
https://interestingengineering.com/health/chinese-researchers-develop-organ-band-aid

臓器に直接薬を送達する方法が医療業界で必要とされていますが、従来の薬物送達システムは体内に漠然とした薬のパッケージを送り込むため、必要以上に高用量を必要とし、目的地に到達する過程で臓器に損傷を与える可能性があります。

また、高分子医薬品、つまりタンパク質をベースとしたバイオ医薬品は、細胞膜によって阻害されることが多いため、必要とされる効果が得られにくいというさらに大きな課題に直面しています。先行研究によると、静脈内注射された薬のうち標的組織に到達できるのは2%未満であり、ほとんどの薬物分子は肝臓や脾臓(ひぞう)などの単核貪食細胞系によって捕捉されるか、腎臓で代謝・除去されるとのことです。


北京大学のモー・リー氏らが開発した絆創膏「NanoFLUID」は、薄く、電荷を帯びており、臓器に貼り付けることで細胞膜に小さな穴を空け、薬を届けやすくする効果を持ちます。

それ自体が薬になるのではなく、薬を届けるための「道」を作るこの絆創膏は、薬を約10倍速く届けることを可能にし、電気も要らず、標的となる部位に直接干渉できるのが強みだとリー氏らは語りました。


リー氏らは、乳がんや肝炎、発達する腫瘍などのモデルでNanoFLUIDを試験し、効率性、安全性、制御可能性を検証しています。

試験によれば、NanoFLUIDが細胞の生存率に与える影響は5%に満たず、精密に制御できることが確認されたとのこと。

リー氏らは「NanoFLUIDは内臓を標的として薬を送達するための革新的なプラットフォームです。この研究はすでに医療美容や皮膚外傷の修復に応用されており、がんなどの主要な健康問題への応用にも大きな期待が寄せられています」と語りました。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

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