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通販で買ったポータブルHDDが重りの入った偽物であることが判明も返金を拒否されてしまう


オンライン通販で約50ドル(約7200円)で購入した20TBのポータブルHDDが、重りと基板がついただけのプラスチックの箱だったという事態が発生しました。偽のポータブルHDDをつかまされた人物は、返金を要求したものの拒否されています。

Shopper denied $51 refund for 20TB HDD that’s mostly a weighted plastic box - Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2025/06/man-buys-20tb-portable-hdd-for-51-son-breaks-the-news-that-its-a-fake/

ソーシャルニュースサイトのReddit上で、「父は新しい20TBのHDDを持ってきて、何が問題なのか私に調べてくれと言いました」という投稿と共に、1枚の画像が投稿されました。投稿された画像は、HDDのケースと思われるものの中に、鉄の板が接着剤で強引に留められているのがわかります。

Dad dropped off his new 20Tb HDD to see if I could figure out what was wrong with it…
byu/The__Unflushable inpcmasterrace


テクノロジーメディアのArs TechnicaがRedditに問題を投稿した人物に直接連絡を入れたところ、この人物はマーティンと名乗り、父親が38ポンド(約7400円)でこのポータブルHDDを購入したと明かしています。


父親から動作しないポータブルHDDを受け取ったマーティンさんは、ハンマーを使って筐体を分解してみたところ、黒いプラスチックケースの中に大量の接着剤で雑に取り付けられた鉄製のホイールウェイトと、USB-A経由でシステムに接続できる何らかのフラッシュストレージを備えた小さなPCB基板が含まれていることに気づきます。

マーティンさんはこの偽のポータブルHDDをPCと接続すると、WindowsはHDDを「19TBのドライブ」として読み取るものの、何か操作しようとするとフリーズしてしまい、ストレージとして使用することはできなかったと報告しました。

基板のファームウェアをプログラミングして、Windows上でドライブが大容量ストレージデバイスと表示されるようにするのは、ユーザーを騙す巧妙なトリックです。しかし、Ars Technicaは「Windowsに精通したユーザーなら指摘するでしょうが、Windowsはドライブの容量をギビバイトまたはテビバイトで報告するため、実際の20TBのストレージならWindows上では約18.2TBと表示されるはずです」と記し、Windows上で「19TBのドライブ」として表示されること自体が間違いであると指摘しました。

さらに、Ars Technicaは「ポータブルHDDは年々安くなっているものの、20TBのHDDはここまで安くありません。通常、200ドル(約2万9000円)以上はします。また、ポータブルHDDはポータブルSSDよりもはるかに大きいのが普通ですが、マーティンさんの父親が購入したものはまるでポータブルSSDかのようなサイズです」と述べ、ポータブルHDDに精通した人なら騙されないであろう偽造品であると指摘。


マーティンさんはこのポータブルHDDをPCに接続したところ、デスクトップに中国語でデバイス名(ハードディスク)が表示されるため、マウントされているように見えたと報告しています。ファイルをポータブルHDDにコピーしてみると、ハードディスク上に確かに名前が表示されるものの、ハードディスクからコピーしたファイルを開こうとすると問題が発生すると語っています。ハードディスクの再フォーマットを含み、どんなことをしてもファイルを開くことはできなかったとマーティンさんはArs Technicaに語りました。

マーティンさんの父親が偽のポータブルHDDを購入したのは、UK.Chicntechというウェブサイトだそうです。このウェブサイトは主にカー用品やキッチン用品、ホームテキスタイルなどを販売しています。記事作成時点ではUK.Chicntech上でPCパーツや周辺機器は販売されていませんが、他の電子機器は販売されており、Ars Technicaは「このウェブサイトでの購入はオススメしません」と警告しています。

Ars Technicaはマーティンさんから「UK.Chicntechで購入した20TBのポータブルHDD」の領収書を確認しており、オンラインユーザーからも「UK.Chicntechで20TBのポータブルHDDが販売されているのを見たことがある」という報告が寄せられています。

X(旧Twitter)ユーザーも、「UK.Chicntechで販売されていたポータブルHDDのスクリーンショット」をArs Technicaに共有しています。なお、Ars Technicaが確認したレシートにも、UK.Chicntechのスクリーンショットにも、ポータブルHDDのブランド名などは記載されていなかったそうです。


マーティンさんの父親は、東芝のポータブルHDDブランドであるCANVIOの箱に入ったポータブルHDDが届いたそうです。デバイスの背面にも東芝のステッカーが貼られていましたが、CANVIOブランドのポータブルHDDの容量は最大4TBであり、20TBのものは販売されていません。

マーティンさんは動作不能な偽のポータブルHDDが届いたため、UK.Chicntechに返品しようとしたそうですが、UK.Chicntechは返金できないと回答したそうです。マーティンさんは届いたポータブルHDDの箱と内部の写真を送信したにもかかわらず、サポート担当者は問題を認めようとせず、すでに送った情報をもう一度送るように繰り返し要求した模様。

最終的に、UK.Chicntechは30%の返金と、偽のポータブルHDDの返却、cacogogaのイギリス版で使える「無料ギフト」を提供することを提案してきたそうです。Ars Technicaは「UK.Chicntechとcacogogaのウェブサイトを調べましたが、両方のウェブサイトの間に明らかな関連性は確認できませんでした。Ars Technicaは両社にコメントを求めましたが、回答は得られていません」と記しています。

なお、Ars Technicaは「UK.Chicntechの返品・交換ポリシーは紛らわしい表現や不明瞭な表現が散見され、これ自体が危険信号です」と指摘。

Ars Technicaは「マーティンさんの父親が経験したことは、多くのユーザーが十分に理解していない家電製品をオンラインショッピングで購入する際などによくあることです。特に、詐欺的なストレージデバイスはまん延しています」と記し、今回のような偽のポータブルHDDは多数存在していると指摘しました。

また、ウォルマートやAmazonといった有名オンラインショッピングサイトでも、今回のような偽造品が販売されるケースがあり、特に個人の販売業者が偽造品を簡単に販売できるオンラインマーケットプレイスは危険をはらんでいるとArs Technicaは指摘しています。

Amazonはサードパーティ業者の販売する禁止品・リコール品・偽造品により莫大な利益を得ているという指摘 - GIGAZINE

by Christian Wiediger

なお、マーティンさんの父親はクレジットカード会社を通じて返金を求めているそうです。

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in ネットサービス, Posted by logu_ii

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