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テスラが事故を起こした自動運転車の情報公開を拒絶


イーロン・マスク氏率いるEVメーカーのテスラが、競争上の損害を理由に、運転支援システムの使用中に起きた衝突事故の記録の開示請求を却下するよう裁判所に要請していたことが報じられました。

Musk’s Tesla seeks to guard crash data from public disclosure | Reuters
https://www.reuters.com/legal/government/musks-tesla-seeks-guard-crash-data-public-disclosure-2025-06-04/

Tesla sales are down in its biggest European markets - Sherwood News
https://sherwood.news/tech/tesla-sales-are-down-in-its-biggest-european-markets/

ワシントンポストは2024年に、テスラの先進運転支援システムを使用していた車両の事故についてのデータを公開するよう運輸省道路交通安全局(NHTSA)に求める訴訟を提起しました。

テスラはこれに対し、対象となるデータは機密情報であり、競合他社がテスラの技術を評価するために利用できる可能性があるため、当該データの公開は競争上の損害を引き起こすおそれがあるとして、開示請求を却下するよう裁判所に要請しました。


問題の開示請求は、フルセルフドライビング(FSD)対応のテスラ車であるモデルYが、反射材付きの安全ベストを着用していた当時71歳の女性をはねて死亡させた事故に関するものです。テスラの運転支援技術に関連した歩行者の死亡事故として初めて認定されたこの事故は、テスラのFSDの限界を浮き彫りにしたものだと位置づけられています。

調査を実施したNHTSAは報告書の中で、「テスラのFSDシステムは太陽光や霧などによる視界不良に適切に対応できなかった」と結論付けました。当局による事故調査については以下の記事にまとめられています。

テスラのフルセルフドライビングに関する調査をアメリカ運輸省道路交通安全局が開始、視界不良時の衝突報告4件のうち1件が死亡事故 - GIGAZINE


テスラ車事故のデータを巡る裁判とは直接関係ありませんが、テスラは中国製EVとの競争激化やマスク氏の政治的発言への反発などにより、特にヨーロッパ市場で苦戦しています。以下は、2024年5月と比較した2025年5月のテスラ車の販売台数の変動で、ポルトガルでは前年同月比68%減、フランスでは67%減となっています。なお、ノルウェーでは売上が飛躍的に増加していますが、これは当時ノルウェーでのテスラ車の売上が著しく悪かった反動だとのことです。


資産運用会社・Gerber KawasakiのCEO兼共同創業者であるロス・ガーバー氏は、テスラのFSDについて「職場でFSD搭載の新型モデルYに乗っている人とちょっとした賭けをしました。彼はFSDでサンタモニカを問題なく通過できると思っていましたが、私は無理だと言いました。そして、3マイル(4.8km)の走行で3回も通信が途切れました。そのうち2回は致命的で、1回は緊急車両をテスラが感知できず、もう1回はバスのサインを取り違えて右左折車線を走っていたため、バスの前を横切りました。また、車は手を振って先に行くよう合図してくれる人にも気がつきませんでした。テスラがFSDを機能させるには、まだまだ改善の余地があります」と評しました。

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in 乗り物, Posted by log1l_ks

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