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無料で超絶リアルな3DCGキャラを作成&動かせるゲーム開発ツール「MetaHuman」の一部がUnreal Engine 5.6に統合


Epic Gamesが開発するリアルで感情表現豊かなデジタルヒューマン(MetaHuman)を作成・アニメートできるフレームワークが「MetaHuman」です。そんなMetaHumanが早期アクセスを終了し、より幅広いユーザーの間で利用可能となりました。また、MetaHumanを作成するツールであるMetaHuman Creatorが、Unreal Enginに完全に統合されています。

MetaHuman の早期アクセスが終了し、正式版として登場。多数の新機能を搭載 - MetaHuman
https://www.metahuman.com/ja/news/metahuman-leaves-early-access-with-a-feature-packed-new-release

MetaHumanのバージョン5.6がリリースされました。MetaHuman 5.6は新しいライセンスオプションと統合がもたらされ、これまで以上に多くのゲーム開発者が、手軽に超高精細な3DCGキャラクターをゲームに登場させることが可能となります。



MetaHumanがどんなゲームのキャラクター作成に利用されてきたかは、以下の動画を見れば一発でわかります。

MetaHuman Sizzle Reel | Unreal Fest 2025 - YouTube


手軽に高精細な3DCGモデルを作成できる「MetaHuman Creator」は、忠実度が向上し、顔・体・衣服のオプションが大幅に拡張され、新しいオーサリングワークフローを備えることとなりました。そんなMetaHuman CreatorはUnreal Engineに組み込まれることとなります。


なお、MetaHuman Creatorでどんな風に3DCGモデルを作成できるのかは以下の記事を見ればわかります。

誰でも超高精細&リギング済みの3DCGモデルが数分で作れる「MetaHuman Creator」がアーリーアクセス開始 - GIGAZINE


新しくなったMetaHuman Creatorはインスタンスを待ったり、期間限定のセッションに対処したりする必要がなくなり、エクスポートプロセスが簡単なアセンブリステップに置き換えられます。これによりインテレーションがより迅速かつ容易になりました。

MetaHuman Creator、MetaHuman Animator、Mesh to MetaHumanがすべて1つのアプリケーションの一部になったことで、パイプラインを管理するスタジオはキャラクター作成ワークフローが簡素化されるというメリットを享受できます。ローカルアセット管理の柔軟性も向上しており、MetaHuman Creatorのソースコードに完全にアクセスできるようになったため、キャラクター作成パイプラインのニーズに合わせて拡張およびカスタマイズが可能となります。

ただし、インターネット接続は引き続き必要です。その理由は、ローカルエディタ内でのオーサリングワークフローが、オートリギングとテクスチャ合成を提供するクラウドサービスによって強化されているためだそうです。


MetaHuman Creatorの直感的なフェイスオーサリングツールは、高い評価を得ているボディにも拡張されました。新しいパラメトリックボディシステムにより、膨大な実世界のスキャンデータに基づき、ほぼ無限のボディ形状を簡単に作成可能。

顔と同様に、スカルプトやブレンドもできます。身長・胸囲・ウエスト・脚の長さなど、さまざまなパラメータを調整・制限できるため、オンラインファッション小売などの用途向けに、特定のプロポーションを持つMetaHumanを作成することも可能です。


本物の人間と同様に、MetaHumanにも衣服が必要で、選択肢が広ければ広いほど良いです。DCCツールでリアルなメッシュベースの衣服を作成し、新しいUnreal Engine Outfit Assetを使用してMetaHumanの衣装一式を生成できるようになりました。

この機能を使用すると、アクセサリを含む複数の衣服を統合されたUnreal Engine Outfit Assetに組み合わせることが可能。さまざまな体のサイズや形状に最適な衣服アセットを事前に作成でき、これらのアセットはキャラクターの体型に合わせて自動的にサイズ調整することで、どんな体型にもフィットすることができます。

衣服はMetaHuman形式でパッケージ化し、Fabマーケットプレイスやサードパーティーのマーケットプレイスで売買することも可能です。


MetaHumanは最高の忠実度とリアリズムを実現できるよう、常に改良に努めていると説明されています。この目標達成のため、MetaHumanの実世界スキャンデータベースは大幅に拡張され、キャラクターメッシュの形状とテクスチャのバリエーションがさらに豊富になりました。加えて、スキャンデータのキャプチャと処理が改良され、シミなどのリアルな質感をより忠実に再現できるようになっています。

その結果、 MetaHuman Creatorではよりリアルな顔のテクスチャと、より多様なキャラクターの作成が可能になりました。また、「Mesh to MetaHuman」を使用することで、インポートしたメッシュやキャプチャした映像とのマッチングも向上します。


さらに、MetaHuman Creatorで作成した3DCGモデルにアニメーションをつけることができる「MetaHuman Animator」は、ほぼすべてのカメラやオーディオソースからリアルタイムアニメーションを生成できるようになりました。

MetaHuman Animatorは専用機材なしで、iPhoneで撮影した映像をベースに簡単に3DCGモデルにアニメーションをつけることができるというツール。実際にどんなことができるのかは、以下の記事を読めばわかります。

専用の機材不要、iPhoneだけで撮影した映像をわずか数分でまったく別の顔に置き換えるEpic Gamesの「MetaHuman Animator」のデモ映像がすごい - GIGAZINE


MetaHuman Animatorでは、モノカメラ(ほとんどのウェブカメラや多くのスマートフォンを含む)で俳優のパフォーマンスをキャプチャし、それを使用してUnreal EngineでMetaHumanをリアルタイムでアニメーション化できるようになりました。以前はキャプチャがステレオHMCとiPhoneに限定されていましたが、一部のAndroidスマートフォンを含む、Unreal Engine LiveLinkに対応するあらゆるカメラをサポートするようになりました。

ライブパフォーマンス用でも、オンセットワークフローの即時フィードバックを得る場合でも、MetaHumanは俳優の動きに追従します。オフライン処理のオプションは、プロジェクトの要件に最適な場合に引き続き利用可能です。


さらに、MetaHuman Animatorでは音声データのみでもリアルタイムアニメーションを生成できるようになりました。MetaHuman Animatorは音声から話し手の感情をくみ取ることができますが、必要に応じて手動で調整することも可能。MetaHuman Animatorは音声駆動型のパフォーマンスにリアルな頭部の動きも追加するため、よりリアルな結果が得られます。

以下は実際に音声データからアニメーションを生成した様子。上段左から喜び、悲しみ、嫌悪、下段左から怒り、驚き、恐怖です。


MetaHumansは、Unreal Engine EULAに追加された新しいライセンスオプションにより、あらゆるゲームエンジンやクリエイティブソフトウェアで使用できるようになりました。これにより、MetaHumansはより多くの場所で利用できるようになります。

Maya向けにMetaHuman for Mayaもリリースされました。Mayaのメッシュ編集ツールセットとスカルプトツールを使用して、MetaHumanのメッシュを直接操作することで、MetaHumanデータベースの制約を超えて、他のMetaHumanツールやワークフローとの互換性を保ちながら、独自のスタイル化されたMetaHumanを作成することが可能になります。このプラグインにより、グルーミングアーティストはMayaの従来のXGenシステムで作成されたMetaHuman互換のグルーミングをAlembicファイルとしてエクスポートできるようになりました。


Houdiniのプロシージャルツールセットのパワーを活用し、ポニーテール・お団子・三つ編み・ドーナツヘアなど、MetaHumanに複雑なヘアスタイルを作成することも可能になりました。MetaHuman for Houdiniプラグインとスターターキットを使用することで、HoudiniでMetaHuman対応のグルームを作成し、Alembicファイル形式でUnreal Engineにインポートし、MetaHumanに簡単に適用できます。


MetaHuman 5.6のリリースと同時に、ゲームエンジン・Unreal Engineのバージョン5.6もリリースされました。Unreal Engine 5.6では次世代ハードウェアで毎秒60FPSを維持しながら、超高精細かつ大規模なオープンワールドをビルドできるようになっただけでなく、アニメーションやリギングのワークフローを外部DCCツールとの往復に頼らない「エンジンファースト」な形へと変更しています。この他、前述の通りMetaHuman CreatorがUnreal Engineに統合され、3DCGキャラクターの生成がひとつのツールの中で完結できるようになりました。

なお、Unreal Engine 5.6の詳細は以下のページでチェック可能です。

Unreal Engine 5.6 がリリースされました - Unreal Engine
https://www.unrealengine.com/ja/news/unreal-engine-5-6-is-now-available


なお、Epic GamesはUnreal Engine向けの基調講演であるState of Unrealの中で、Unreal Engine 5で作成したウィッチャー4のゲームプレイデモ映像を公開しました。このデモは通常のPlayStation 5(PS5)で、4K・60fpsでゲームをプレイした映像であるため、一般的なゲーマーがUnreal Engine 5で作成された美麗なゲームをどんな風に楽しめるかを表したものとなっています。

The Witcher 4 Unreal Engine 5 Tech Demo 4K | State of Unreal | Unreal Fest Orlando - YouTube


この他、Epic Gamesはフォートナイトに登場し話題となったAIダース・ベイダーに似た動作をするAI搭載NPCを作成できる機能を、2025年後半にフォートナイト向けのUnreal Editorでリリース予定です。

なお、Epic Gamesのティム・スウィーニーCEOはAppleがアプリ内課金から多額の手数料を取っていることを不満として、Appleを訴えました。AppleとEpic Gamesの法廷闘争は長く続いたものの、2025年についにフォートナイトがApp Storeで復活しています。これについて、スウィーニーCEOは「本当は、(裁判所が)Appleがフォートナイトをブロックしたことに対する差し止め命令を出し、数週間で問題が解決することを期待していたんです。でも、裁判手続きが長引き、結局5年間もiPhoneでフォートナイトをプレイすることができなくなりました」と語っています

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in ソフトウェア,   動画,   ゲーム, Posted by logu_ii

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