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AIでホワイトカラーの初級職の半分がなくなり今後5年以内に失業率が20%まで跳ね上がる可能性があるとAnthropicのCEOが見解を公表


「責任あるAIの実現」を目標として掲げているAI企業のAnthropicは、AI福祉研究者を採用してAIが道徳的配慮に値するかどうかを検討し始めるなど、AI技術が発展することによる人類への影響を意識しています。AnthropicのCEOであるダリオ・アモデイ氏は、インタビューの中で「今後1~5年で、AIの導入によりホワイトカラーの初級職の半分がなくなり、失業率は10~20%に急上昇する可能性があります」と予測を述べました。

AI jobs danger: Sleepwalking into a white-collar bloodbath
https://www.axios.com/2025/05/28/ai-jobs-white-collar-unemployment-anthropic


Anthropic CEO: AI Poised to Wipe Out 50% of Entry-Level Jobs in Next 5 Years | PCMag
https://www.pcmag.com/news/anthropic-ceo-ai-poised-to-wipe-out-50-of-entry-level-jobs-in-next-5-years

Anthropicは2025年5月に初の開発者カンファレンス「Code with Claude」を開催し、これまでの成果と今後の展望について語りました。カンファレンスではコーディングと推論のパフォーマンス向上などが前モデルから改良された、Claude Opus 4とClaude Sonnet 4も発表されています。

Anthropicが「Claude 4」ファミリーの2モデルをリリース、コーディング性能と推論能力が前世代から強化 - GIGAZINE


Code with Claudeの開催から約1週間後、AnthropicのCEOであるアモデイ氏はニュースメディアのAxiosのインタビューで、今後のAIに関する見解を語りました。アモデイ氏は「この技術の開発者として、私たちにはこれから何が起こるのか正直に伝える義務と責任があります」と述べた上で、「議員や労働者のほとんどは、AIによる失業がこれから起こるとは思っていません。とんでもない話に聞こえ、誰も信じていないのです」とAIが人間の労働者に与える影響を警告しています。

アモデイ氏によると、AI技術は「大規模に善と悪を解き放つことができる」ものであるとのこと。AIの能力を活用すれば、これまで治療法が確立していなかった病気を治療できるようになり、経済は年間10%成長した上で財政を安定させることができます。その一方で20%の人々は職を失う可能性があるという二面性が、AIの力が飛躍的に拡大する先のまさにありえるシナリオだとアモデイ氏は指摘。

2025年4月時点のアメリカの失業率は4.2%ですが、アモデイ氏の予測では、わずか1~5年で失業率は10~20%まで急上昇する可能性があるとされています。Fox Newsのインタビューを受けた際には、アモデイ氏は「AIは金融、コンサルティング、テクノロジー分野の仕事も自動化し、大学卒業生、若手専門家、中途転職者の雇用市場を変える可能性があります」と具体的にAIが取って代わる可能性の高い職種について述べました。


OpenAI、Google、Anthropicなどの大手AI企業は、大規模言語モデル(LLM)の能力を大幅に向上させ続け、多くのタスクで人間のパフォーマンスに匹敵ないし上回る成果のAIを開発しています。しかし、アメリカの政府は中国にAI開発で遅れを取ることを懸念し、AIを規制したり国民に警告したりしていないため、アメリカ国民の多くは「AIの力が増大していてそれが自分たちの仕事に脅威を及ぼす可能性がある」とほとんど注意を払うことができていないとアモデイ氏は懸念の理由を述べました。アモデイ氏によると、ビジネスリーダーが人間の労働者をAIに置き換えることでコスト削減に踏み出す行為はほぼ一夜にして可能であり、国民がAIの脅威にはっきり気付くのは手遅れになってからである可能性が高いそうです。

実際に、主要なAI企業のひとつであるMetaのマーク・ザッカーバーグCEOは、2025年1月に「おそらく2025年には、Metaだけでなく、AIに取り組んでいる他の企業も、社内でコードを書ける中堅エンジニアのような存在になれるAIを手に入れることになるでしょう」とAIがオフィスワーカーに取って代わる可能性を述べました。そして発言から約1週間後に、AIの発展と関連しているかは明言されていませんが、Metaは社内向けに「パフォーマンスの低い従業員5%を削減する方針」を示しています。

Metaが「パフォーマンスの低い従業員5%を削減」する方針 - GIGAZINE


AIが人間の仕事を奪っていく未来に対抗する政策のアイデアとして、アモデイ氏は「トークン税」を挙げています。トークン税とは、AIモデルを使用してAI企業が利益を上げるたびに、その収益の3%を政府に納めるという税制です。収められたトークン税を何らかの形で再分配することで、AIがもたらす損失を補うことができます。AI企業にとっては経済的損失となりますが、「それが問題に対する合理的な解決策になると思います」とアモデイ氏は語りました。

アモデイ氏は最後に「列車の前に立ちはだかって止めることはできません。唯一有効なのは、列車の舵を取ること、つまり、列車が進んでいた方向とは10度違う方向に舵を取ることです。それは可能です。ただ、今やらなければなりません」とAIの発展をコントロールする必要性を改めて強調しています。

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in ソフトウェア, Posted by log1e_dh

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