航空会社が1人客に対して2人以上のグループ客より高い運賃を請求していることが発覚

航空券を購入する際、さまざまなウェブサイトや購入時期を比較検討して、少しでも安く買おうと試みたことがある人もいるはず。割安な航空券情報などをまとめているウェブメディアのThrifty Travelerが、「一部のアメリカの航空会社が、1人客に対して2人以上のグループ客より割高な運賃を請求していた」と報告しました。
Exclusive: US Airlines Are Quietly Hitting Solo & Biz Travelers with Higher Fares
https://thriftytraveler.com/news/airlines/airlines-charging-solo-travelers-higher-fares/

Thrifty Travelerは2025年5月28日、アメリカのデルタ航空が一部の航路で1人客に対して2人以上のグループ客より高い運賃を請求していることを発見しました。その後、Thrifty Travelerのフライトセールアナリストチームは数百もの路線を調査して、デルタ航空に加えてアメリカン航空とユナイテッド航空も含めたアメリカの大手航空会社3社で、同様の価格戦略が採用されていることを確認したとのこと。
たとえば、6月にイリノイ州シカゴのオヘア国際空港から同じくイリノイ州のピオリア国際空港まで向かうユナイテッド航空の便を「乗客1人」で探した場合、以下のようにエコノミー席の片道運賃が269ドル(約3万8700円)と表示されます。

しかし、乗客を2人以上に増やした場合、同じエコノミー席でも1席あたりの運賃は181ドル(約2万6000円)と表示されました。同じ1人分のエコノミー席であるにもかかわらず、実に33%近くも価格が異なることがわかります。また、「Basic Ecnomomu(ベーシックエコノミー)」という1人客の場合は表示すらされない低価格席もあり、こちらの価格は151ドル(約2万1700円)でした。

なお、ベーシックエコノミーの存在はユナイテッド航空の運賃規則に明記されており、「全区間において、同一コンパートメントに15歳以上の成人の同伴者が少なくとも1人必要」となっています。しかし、通常のエコノミー席にはこのような同伴者規則が存在しないにもかかわらず、ユナイテッド航空はユーザーの種類によって表示する運賃を変えているとThrifty Travelerは指摘しています。
同様の運賃形態はデルタ航空とアメリカン航空でもみられましたが、1人の場合と2人以上の場合で運賃が異なるかどうかは「運次第」だとのこと。記事作成時点では、この運賃形態は主に国内の片道航空券でみられ、往復航空券や長距離国際線ではみられませんでした。また、アラスカ航空やジェットブルー航空、サウスウエスト航空などその他のアメリカの大手航空会社では見つからなかったそうです。
他にも、価格差が顕著だったとThrifty Travelerが報告しているのが、10月13日にノースカロライナ州のシャーロット・ダグラス国際空港からフロリダ州のサウスウエスト・フロリダ国際空港へ向かうアメリカン航空の便です。1人客の場合、この便の片道航空券はエコノミークラスが422ドル(約6万700円)。

しかし、同じ便の片道航空券を2人客で検索すると、エコノミークラスの価格がわずか266ドル(約3万8300円)まで下がりました。ベーシックエコノミー席はなんと231ドル(約3万3200円)となっており、2枚買っても462ドル(約6万6400円)で、1人客のエコノミークラス席と40ドル(約5800円)しか変わりません。

さらにThrifty Travelerは、航空会社が競合他社の動向を把握していることも発見しました。以下は、シカゴのオヘア空港からケンタッキー州のブルーグラス空港までの1人客の航空券を検索した結果で、アメリカン航空とユナイテッド航空はいずれも214ドル(約3万800円)となっています。

2人客で検索すると、アメリカン航空とユナイテッド航空のいずれも「2人で215ドル(約3万900円)」と、1人客の1席とほとんど変わらない価格を表示しました。

Thrifty Travelerの問い合わせにデルタ航空・ユナイテッド航空・アメリカン航空は回答しませんでしたが、この価格戦略は航空会社が顧客を「細分化」する方法の1つだとみられています。航空会社は常にさまざまなタイプの顧客を相手にしており、その内訳は「金額に敏感な低予算旅行者」「休暇を楽しむ家族連れ」「裕福な退職者」「仕事で移動するビジネス客」までさまざまです。それぞれが「購入」ボタンをクリックする価格は異なっており、航空会社は可能な限り顧客に合った価格を提示して、できるだけ高い価格で航空券を販売する方が得となります。
もちろん1人客の中には「家族に緊急事態があって急いで家に帰る人」「別の場所に住む友人同士で個別に航空券を買った旅行者」「夫婦旅行に行くが、所用のため妻/夫より1日遅く出発する旅行者」など、さまざまなパターンが存在します。しかしThrifty Travelerは、「1人客は雇用主の費用で移動するビジネス客である可能性が高いため、より高い運賃を提示しても購入してもらいやすい」と航空会社が考えている可能性があると指摘しています。
この報道については、ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでも大きな話題となっています。
Airlines are charging solo passengers higher fares than groups | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=44128901
あるユーザーは、「問題は人数によって価格を変動させることではなく、価格変動についてユーザーに通知されていない点だ」と指摘しています。また、ノマド的なライフスタイルを送っているというユーザーは、さまざまな国から来た友人とカフェに入り、同じウェブサイトから同じ航空券を一緒に予約しようとした際、お互いにまったく異なる価格が表示されることがあるとコメントしました。
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