セキュリティ

CIAが秘密裏にスター・ウォーズのファンサイトを運営していたと判明


2010年頃に作られた「スター・ウォーズ」シリーズのファンサイトが、実は「アメリカ中央情報局(CIA)が他国の情報提供者と秘密裏に連絡を取るためのツール」だったとセキュリティ研究者のチーロ・サンティッリ氏が報告しています。

CIA 2010 covert communication websites - Ciro Santilli (@cirosantilli) - OurBigBook.com
https://ourbigbook.com/cirosantilli/cia-2010-covert-communication-websites

中国の政治に関心を持っていたというサンティッリ氏は、2018年に中国でCIAの協力者が多数摘発されたというニュースを見て、「なぜそんなことが起きたのか」と疑問に思ったとのこと。その後、ロイターが2022年に公開した記事「America’s Throwaway Spies(アメリカの捨てられたスパイ)」で、CIAが秘密のウェブサイトを使って情報をやりとりしていたと報じられているのを読み、疑問が解決したとサンティッリ氏は語っています。


ロイターの記事では、CIAがイランの協力者たちと連絡を取るために使用していた秘密の通信ウェブサイトについて、重大な欠陥があったと詳述されています。これらのウェブサイトは、表向きにはスポーツや趣味に関する内容を装いながら、実際にはログイン機能を介して情報の送受信ができるようになっていたとのこと。

しかし、ウェブサイトのソースコードには「password」「message」「compose」などの記述が残っており、右クリックでソースを確認すれば誰でも通信機能の存在に気づける状態だったそうです。さらに、これらのサイトは同一サーバー上で連番のIPアドレスを用いて大量に生成されていたため、ある一つのサイトが発覚すれば、近隣のIPを調べることで同様のサイトを芋づる式に特定できる構造になっていました。そのため、イランだけでなく中国など他国でも数十人規模のCIA協力者が逮捕・処刑されたと報じられています。


Citizen Labが分析した結果では、関連するウェブサイトは合計で885件にのぼるとされましたが、ロイターの記事で公開されたのはわずか9件のみ。サンティッリ氏はこの9つのサイトの情報やスクリーンショット、IPアドレスの連番構造から、数百件の類似したウェブサイトを特定しました。

発見されたウェブサイトの多くは「ニュース」「スポーツ」「健康」などの一般的なテーマを装っており、Flash、JavaScript、HTTPSなど複数の通信手段を用いていました。また、英語以外にもポルトガル語や韓国語、ドイツ語、フランス語、イタリア語など様々な言語で書かれており、標的がイランや中国のみならず、ブラジル、ドイツ、フランス、イタリアなどの同盟国にも及んでいたことが示唆されています。


そして、その中でも特に変わっていたのが、スター・ウォーズのファンサイト「starwarsweb.net」です。以下のスクリーンショットを見ても分かる通り、外観や構成において明らかにスター・ウォーズ作品に関連するデザインが施されています。このサイトも他のウェブサイトと同様、特定のパスワードや通信手順を通じてエージェントとCIA本部との情報のやり取りが行われる構造になっていたと考えられますが、詳細な技術的仕様については明示されていません。


ロイターの記事ではこのstarwarsweb.netは紹介されておらず、サンティッリ氏は「自分で新たに発見・公表できたことを誇りに思います」とコメント。また、サンティッリ氏はstarwarsweb.netは他のウェブサイトと比べても「かっこいい」と評価しており、自身の発見の中でもひときわ輝かしいものだと述べています。

セキュリティ研究者のザック・エドワーズ氏は独立系メディアの404 Mediaに対し、「CIAが世界中のスパイとの通信に使用していたウェブサイトを暴こうとする最近の取り組みは、私の理解と一致しています。これらのウェブサイトが活発に利用されていた時代からおよそ15年が経ちましたが、それでも毎年新たな情報が流出し続けています」と語りました。


また、エドワーズ氏は「今回の出来事は、開発者はミスを犯し、時にはそのミスを見つけるのに何年もかかることもあるということを改めて認識させてくれます。しかし、これはよくある『開発者のミス』のような類のシナリオではありません」と述べています。サンティッリ氏は「博物館のように、人々が見ることができるコンテンツが増えるのは魅力的です。インターネットアーカイブにアクセスして、当時のスパイの遺物とその栄光のすべてを『生で』見ることができるのは、本当に素晴らしいことです」と語りました。

なお、CIAは404 Mediaのコメント要請に応じなかったそうです。

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in ネットサービス,   映画,   セキュリティ, Posted by log1i_yk

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