AIトレーニングについてコンテンツ作者に使用許可を求めるなら「国のAI産業が一夜で消滅してしまう」と元Meta幹部のニック・クレッグが語る

イギリスの副首相経験者で、元Metaの国際問題担当社長でもあるニック・クレッグ氏が、AIのトレーニングに使用するコンテンツについて、作成者に使用許可を求めるようになれば「この国のAI産業は一夜で消滅してしまう」と語りました。
Nick Clegg says asking artists for use permission would ‘kill’ the AI industry | The Verge
https://www.theverge.com/news/674366/nick-clegg-uk-ai-artists-policy-letter

自身の新著のプロモーションイベントで講演したクレッグ氏は、クリエイティブコミュニティにはAIモデルの学習に自身の作品が利用されることを拒否する権利があるべきと語りました。しかし、AIのトレーニングに作品を利用する際、使用許可を求めることは現実的ではないと主張しています。
クレッグ氏はThe Timesに対して、「クリエイティブコミュニティはさらに一歩先に進みたいと考えていると思います。『私のコンテンツでトレーニングするなら、まずは問い合わせてください』という声がかなり多く耳に入ってきます。しかし、AIシステムは膨大な量のデータでトレーニングを行っているため、少々信じ難いがたいと言わざるを得ません」と語りました。
続けて、「そもそもAIのトレーニングに使用するコンテンツの作成者全員に声をかけるなんて、どういうやり方になるのか私にはさっぱりわかりません。そしてそれがうまくいくとも思えません。ちなみに、イギリスでのみ『AIのトレーニングに使用するコンテンツの作者に使用許可を求める』ということを行い、他の国ではそれを行わなかった場合、イギリスのAI産業は一夜で消滅してしまうでしょう」と語っています。

これらの発言は、イギリスでクリエイティブ産業がAI企業による作品利用状況についてより詳細な情報を得ることを目的とした新法案をめぐり、議会で議論が交わされたあとに行われたものです。この法案の修正案では、テクノロジー企業に対して「AIモデルのトレーニングに使用した著作物の開示」を義務付けています。
なお、ポール・マッカートニー氏、デュア・リパ氏、エルトン・ジョン氏、アンドリュー・ロイド・ウェバー氏といったアーティストが、この法案の修正案を支持する公開書簡に署名しています。
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修正案を出したのは映画プロデューサーであり映画監督でもあるビーバン・キドロン氏で、同氏は支持を得るためにさまざまな議論を重ねてきました。しかし、イギリスの国会議員はこの提案を否決しています。その理由について、イギリスの技術担当大臣であるピーター・カイル氏は「イギリス経済はAIとクリエイティブの両セクターの成功と繁栄を必要としています」と説明しました。
これに対して、キドロン氏をはじめとする修正案の支持派は、透明性要件によって著作権法の執行が可能になり、AI企業がモデルの学習に使用したコンテンツの開示を義務付けられれば、そもそもAI企業が作品を「盗む」可能性は低くなると主張しています。
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in ソフトウェア, Posted by logu_ii
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