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Duolingoが「AIファースト」への反発コメント殺到のためTikTok動画をいったん全削除、再投稿された動画ではCEOとSNSチームが対決


ユーザー数1億人以上の無料語学学習アプリ「Duolingo」を開発したルイス・フォン・アン氏は、2025年4月に「AIで処理できる業務は段階的に契約社員の採用をやめる」など「AIファースト」の体制を従業員向けに発表しました。AIの利用を加速していくというDuolingoの発表には多くの批判が集まった結果、Duolingoは多数のフォロワーを持つTikTokの動画をすべて非公開にするなど、さまざまな対応を示しました。

Duolingo deletes all its TikTok videos after AI backlash—and then returns with a strange message - Fast Company
https://www.fastcompany.com/91338068/duolingo-deletes-tiktok-ai-backlash-returns-with-strange-message


Duolingo Faces Massive Social Media Backlash After 'AI-First' Comments - Slashdot
https://tech.slashdot.org/story/25/05/25/0347239/duolingo-faces-massive-social-media-backlash-after-ai-first-comments

フォン・アン氏は「会社の働き方を見直す方法としては、人間のために設計されたシステムに小さな調整を加えるだけでは目的を達成できない」とした上で、「会社のシステムに大きな変更を加える必要があります」と説明してAIファーストの体制を掲げています。変更の一環として、Duolingoは「契約社員との連携方法の変更」「採用と業績評価におけるAI活用の検討」「チームが業務の自動化をさらに進められない場合にのみ、人員を確保することが認められる」といった制約が発表されました。ただし、フォン・アン氏は「とはいえ、Duolingoは今後も従業員を大切にする企業であり続けます」とも説明しており、同社のAIファーストは「従業員をAIに置き換えることではない」と述べました。

DuolingoのCEOが「AIファースト」の一環として「AIが処理可能な業務は契約社員の利用をやめる」と発表、ただし従業員をAIに置き換えるつもりではないとも説明 - GIGAZINE


AIファーストの件が報じられた結果、Duolingoが展開していたSNSアカウントに数多くの批判が集まりました。数百万のフォロワーを抱えるTikTok、InstagramにAIファーストの件で否定的なメッセージが殺到したため、Duolingoは一時的にすべての投稿を非公開にしました。

記事作成時点では投稿が再度公開されていますが、AIファーストへの批判コメントは残っています。たとえば、以下の「ママ、クッキーをもらってもいい?」というTikTok動画では、「ママ、会社を生身の人間に任せてもいい?」「ママ、なぜスタッフ全員を解雇してAIに置き換えたのですか?」など、動画に関係のないコメントが多く寄せられています。


SNSの投稿を非公開にしてから数日後に、Duolingoは以下のムービーを公開しました。「HELLO WORLD」から始まるこのムービーでは、Duolingoのソーシャルチームと名乗る人物が、「AIに関するたったひとつの投稿で、これまでチームが築き上げた帝国を支配者たちが崩壊させた」とAIファーストへの批判に同調するような内容を語っています。


そして、2025年5月22日にはフォン・アン氏が登場して「ソーシャルチームの反逆者」と対決するムービーが公開されました。反逆者の「この会社に人間は残るのか?」「ネット上の批判が収まったら、すぐに私たちを更迭するのではないか?」などの質問に、フォン・アン氏は「今後も従業員を実際に増員していく予定です。AIの助けを借りて、従業員がより多くの事を達成し、より多くの人々にリーチできるようにすることを目的としています」と回答しました。また、「LinkedInへの投稿を後悔していますか?」という質問には、フォン・アン氏は「正直に言うと、あのメールの送信は間違いだったと思います」と、AIファーストの方針は正しいとしつつもその発表には問題があったことを認めています。


批判を受けてDuolingoは、「こうしたフィードバックの多くはAIファーストの意味を理解していない人々から寄せられています」と指摘した上で、「念のため申し上げますが、AIは学習の専門家に取って代わるものではありません。Duolingoをより良くするためのツールなのです。私たちは、世界最高の教育をすべての人に提供するという使命を果たすため、人間の監督の下でAIを活用することに尽力しています」と語りました。一時的にSNSの投稿を削除して数日後に復活させた理由については、「時には、騒ぎを起こすにはまず姿を消すのが一番いいこともあります」と説明しました。


この件を報じたFast Companyは、Duolingoの新しい投稿やコメントを受けて、「現在起きている批判は、Duolingoがお世辞を言うようなやり方では逃れられない問題です。Duolingoは、反発を引き起こしたAIファーストの方針について、まだ真剣に対処していません」と批判を述べました。

最終的にフォン・アン氏は、AIファーストのビジョンについて、「より詳細な文脈」をLinkedInに再投稿しました。投稿には、「誤解のないよう明確に申し上げますが、私はAIが従業員の業務に取って代わるものだと考えていません。AIは、私たちの業務を同等、あるいはそれ以上の品質で加速させるためのツールです。AIの使い方を早く学び、責任を持って活用すればするほど、長期的にはより良い結果が得られます。私の目標は、Duolingoの従業員がこのテクノロジーを活用する力と準備を整えられるようにすることです」と記されており、実際に従業員がAIによって置き換えられるかどうかには言及していませんが、AIによって業務にイノベーションが起きることを強調しています。

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in ネットサービス, Posted by log1e_dh

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