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Wii用非公式ツール「Homebrew Channel」の開発者が「コミュニティの主要人物が任天堂や他の開発者からコードを盗んでいた」と指摘して開発を停止


10年近く開発が続けられたWiiの非公式アプリインストーラー「Homebrew Channel」の開発者が、依存関係のあるツールに悪質な著作権侵害行為があり、当該ツールなしでは合法的な開発の継続が困難であることから、プロジェクトを中止して関連リポジトリをアーカイブしたことを明らかにしました。

GitHub - fail0verflow/hbc: The Homebrew Channel - open source edition
https://github.com/fail0verflow/hbc?tab=readme-ov-file

RTEMS DevKitPro/LibOGC Copying Of Code Without Attribution
https://www.rtems.org/news/2025-05-06-rtems-devkit-libogc-response/

Wii Homebrew Channel development stopped, dev alleges that code was stolen from Nintendo | GoNintendo
https://gonintendo.com/contents/47886-wii-homebrew-channel-development-stopped-dev-alleges-that-code-was-stolen-from

Homebrew ChannelはほとんどのWii用ツールと同様、「libogc」という開発キットを利用していたのですが、このlibogcのコードの大部分が、Nintendo SDKと、Nintendo SDKを使用して作られたゲームから直接盗用されたものでした。

Homebrew Channelの開発者であるヘクター・マーティン氏はHomebrew Channelの開発が既に始まった後にこのことに気づいたものの、既にlibogcを核とした自作ツールのエコシステムが確立されていたことと、少なくともlibogcの重要な部分はオリジナルであると考えられたことから、盗用されたと思われるコードの利用を避けつつ、不本意ながらlibogcを使い続けていたそうです。マーティン氏はこのことについて「libogcの開発者は著作権上の問題が全くないものとして提供していたため、盗用の事実は当時の私たちには隠されていました。私たちに真実が知られる頃には、Wiiの自作エコシステムはすでに確立され、libogcが支配していました」と言及しています。


ところが、2025年5月になり、残りの重要な部分と考えられたスレッド/OS実装が「RTEMS」という別のプロジェクトから盗用されていたことが判明します。

RTEMS開発者の調査によると、libogcにはRTEMSのコードに最小限の改変を加えたものが引用されていて、おまけに適切な帰属表示もされていなかったとのこと。RTEMSの開発者は「RTEMSはオープンソースですから、ライセンス条件を満たし、著作権が維持されている限り、自由に使用することができます。ライセンスの詳細と著作権が削除され、適切な帰属表示が無視されている理由が理解できません」と苦言を呈しました。


この問題についてマーティン氏がissueを提出したところ、libogcの開発者はすぐさまクローズし、罵詈雑言を浴びせ、issueそのものを削除するなど不適切な対応をしたとのこと。

こうした経緯から、マーティン氏は「現時点では合法的かつ正当にlibogcをコンパイルすることは不可能であり、これ以上のHomebrew Channel開発を奨励することはできない」として、Homebrew Channelの開発を中止し、リポジトリをアーカイブしました。

マーティン氏は、「任天堂のバイナリをリバースエンジニアリングすることの著作権への影響について無知であることをはるかに超え、明白かつ意図的な、悪意のあるコードの盗用と著作権侵害行為です。libogcの現在の開発者たちは、この問題を追跡し、解決策を見つけることに関心がなく、また、このプロジェクトの著作権状態が問題であることをコミュニティに知らせようともしていません」と述べ、怒りをあらわにしています。


一方、libogcの開発者の1人であるアルベルト・マルデガン氏は、「libogcに貢献し始めたのはここ2~3年のことで、開発リーダーの説明を求めたいところですが、コードを見ただけで盗用は根拠のない指摘だと自信を持って言えます」と反論しています。

マルデガン氏は「libogcのコードの変数名がRTEMSのコードに不自然に似ていることから、libogcの開発者がRTEMSのコードを見たことは明らかです。一方でマーティン氏が例示した『盗用だ』とするコードには違和感があります。マーティン氏は何らかの理由で新しいlibogcのコードを例示していますが、この最初のバージョンを見てみると似ている部分はわずかです。例えばis_preemtibleという変数は現在のlibogcとRTEMSにはありますが、古いlibogcにはありません。RTEMSには少なくとも1996年から存在しています。では、libogcがRTEMSからコピーされたのだとしたら、なぜこの変数もコピーされずに後から追加されたのでしょうか?libogcに対する非難は、『オープンソースのコードを盗み、すべての帰属情報と著作権情報を削除した』という明確な言葉で表現されています。libogcの開発者は、RTEMSのコードをモデルや情報源として見ていた可能性が高いです。グレーゾーンではありますが、私自身、例えばC++で書かれたプロジェクトをRustやC#に翻訳した例がありますが、私は自分の作品をオリジナルの派生作品だとは考えていません。私たちが話しているのは、ある種の芸術作品ではなく、科学/工学の仕事なのですから、他人の仕事を基にするのは普通のことです」とコメントしました。

このコメントに対し、マーティン氏は「libogcの開発者はコードは盗用されたものではないと主張し、コードがそのままコピーされたのではなく、コードを『参照』して開発したと述べています。実際、libogcのオリジナルのコードは、現在ほどRTEMSの完全なコピーとは言えません。RTEMSを完全にコピーするのではなく、最初は少し変えて、徐々にオリジナルに近づけていったということです。マルデガン氏や他のlibogc開発者にとっては残念なことですが、これは盗作であり著作権侵害であることに変わりはありません。マルデガン氏は翻訳の例について語っていますが、あるプロジェクトを他のプログラミング言語に1:1で翻訳することは、小説を他の人間の言語に翻訳するのと同じように、絶対に二次的著作物とみなされます」と、さらに反論を重ねました。

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in ソフトウェア,   ゲーム, Posted by log1p_kr

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