ネットサービス

InstagramやFacebookで多発している「勝手に無関係な企業の広告を出す詐欺」の手口とは?


Meta傘下のInstagramやFacebookでは、実在する企業になりすまして広告を出し、販売してもいない商品の代金をだまし取る詐欺が横行しています。このような詐欺の実際について、The Wall Street Journalが取材を基にまとめました。

Meta Battles an ‘Epidemic of Scams’ as Criminals Flood Instagram and Facebook - WSJ
https://www.wsj.com/tech/meta-fraud-facebook-instagram-813363c8

Australian mining magnate Andrew Forrest can sue Meta over Facebook scam ads, US court rules | Meta | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/article/2024/jun/19/metas-bid-to-dismiss-case-brought-by-andrew-forrest-over-facebook-scam-ads-dismissed-by-us-court

アトランタ郊外で、住宅リフォーム用品や園芸用品のアウトレット「Half-Off Wholesale」を経営しているエドガー・グスマン氏は、少なくとも2年以上にわたって、Metaに掲載された詐欺広告に悩まされています。


こうした詐欺広告では、電動工具やAmazon.comで返品された商品の詰め合わせなどが格安でセールに出されていますが、客が代金を支払っても商品は届きません。そして、カンカンに怒った客から苦情の電話がかかってくると、グスマン氏は残念ながらあなたは一杯食わされたのだと告げなければなりません。

グスマン氏はThe Wall Street Journalに「本当に困るのは、詐欺に遭ったとお客様に伝えなければならないことです。私たちはオンライン販売すらしていません。Metaに、偽のウェブサイトがあると通報し続けていますが、一向に改善されません」と話しました。

電話を受けるグスマン氏。

Photo: Nicole Craine for WSJ

このようなケースは珍しい事例ではありません。事情に詳しい関係者によると、2023年の夏からの1年間に、金融企業のJPモルガン・チェースが送金サービスのZelleに報告した詐欺のほぼ半分がMetaでのものだったとのこと。その関係者は、Zelleを提供していた他の企業からも、Metaを起点とした同様の詐欺被害が多く報告されていたと話しました。

また、Metaの内部文書に記載されている2022年の社内調査でも、プラットフォーム上で新たに活動を開始した広告主の70%が詐欺、違法商品、または「低品質」商品を宣伝していることが判明しています。

グスマン氏の場合、2025年の春にMetaの広告ライブラリを検索したところ、InstagramやFacebookでは同氏の事業所の住所を掲載した広告が過去1年間に4400件以上掲載されていたとのこと。そのうちグスマン氏の事業所が広告主だったのは15件しかありませんでした。

詐欺サイトは中国、スリランカ、ベトナム、フィリピンのものですが、ページ上にはHalf-Off Wholesaleから転載された写真が使われており、住所も実店舗のものです。

仮想通貨、生成AI、東南アジアを拠点とする巨大な犯罪ネットワークの台頭により、Metaの詐欺問題は深刻化を続けていますが、Metaは多額の広告費を払ってくれる広告主への対応に及び腰です。

この問題に拍車をかけるのが、Facebookの中古品売り場であるMarketplaceです。Facebookユーザー同士が直接物品を売買できるサービスであると同時に、インターネットで最も使われているクラシファイド広告プラットフォームでもあるMarketplaceは詐欺師にとっては格好の標的だと、The Wall Street Journalは述べています。

Metaの広報担当者は、顔認識技術のテストやユーザーへの警告表示、他企業との提携による防止策などに取り組んでいると強調した上で、「この詐欺行為は、より根強く巧妙化しているため、私たちも取り組みを強化しています」と話しました。


アメリカの司法は、厳しい判決を通じてMetaにより積極的な対応を求めています。カリフォルニア州サンノゼの連邦地方裁判所のケイシー・ピッツ検事は、著名人をかたった詐欺広告をめぐる裁判で、Metaの責任を認める判決を下しました。

この裁判で、「鉄鉱石王」と呼ばれるオーストラリアの実業家のアンドリュー・フォレスト氏は、自分の肖像を無断で使用した投資詐欺の広告によりMetaが不当に利益を得ており、そのような広告を防止する合理的な義務を怠ったとして、Metaを訴えました。

一方Metaは、第三者が作成したコンテンツに対する免責を定めた通信品位法第230条を盾に、訴訟の棄却を求めていましたが、ピッツ検事は2024年6月の判決でMetaの申し立てを棄却しました。これにより、フォレスト氏がMetaに対して、肖像の無断使用と過失に基づく損害賠償を請求する訴えを起こす道が開けました。

フォレスト氏は声明で、今回の判決はソーシャルメディア企業が広告事業をめぐるアメリカの民事訴訟で第230条の免責を主張できなかった初のケースだと指摘した上で、「これはFacebookに責任を負わせるための戦いにおける極めて重要な戦略的勝利だ」と話しました。

Metaのプラットフォームでは、堀江貴文氏や田村淳氏など日本の著名人になりすました詐欺も報告されています。


この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Metaが日本の投資詐欺広告で4億3500万円の訴訟に直面 - GIGAZINE

Metaがついに詐欺広告について声明を発表するも改善案なしで「世界中の膨大な数の広告を審査することには課題も伴います」と言い訳するのみ - GIGAZINE

Instagram・Facebookでは露骨なポルノを含む迷惑詐欺広告が数多く表示されている、一方でMetaはポルノと関係のない投稿まで「ポリシー違反」として削除している - GIGAZINE

FacebookやInstagramで横行する「有名人の顔を無断使用した詐欺広告」の対策に顔認識システムを導入することをMetaが発表 - GIGAZINE

InstagramとFacebook上で欺瞞的な政治広告が爆増中 - GIGAZINE

Metaがついに詐欺広告について声明を発表するも改善案なしで「世界中の膨大な数の広告を審査することには課題も伴います」と言い訳するのみ - GIGAZINE

in ネットサービス,   セキュリティ, Posted by log1l_ks

You can read the machine translated English article What is the method of the frequent 'frau….