脳波でiPhoneを操作できるようになる可能性、Appleが脳コンピューターインターフェース市場に参入

Appleが脳コンピューターインターフェース(BCI)企業であるSynchronと提携し、頭に脳インプラントを埋め込むことで、ジェスチャーや音声での入力をしなくてもiPhone・iPad・Apple Vision Proを操作できるようにすることが発表されました。
Synchron To Achieve First Native Brain-Computer Interface Integration with iPhone, iPad and Apple Vision Pro
https://www.businesswire.com/news/home/20250513927084/en/Synchron-To-Achieve-First-Native-Brain-Computer-Interface-Integration-with-iPhone-iPad-and-Apple-Vision-Pro
Exclusive | Apple to Support Brain-Implant Control of Its Devices - WSJ
https://www.wsj.com/tech/apple-brain-computer-interface-9ec69919
Apple unveils powerful accessibility features coming later this year - Apple
https://www.apple.com/newsroom/2025/05/apple-unveils-powerful-accessibility-features-coming-later-this-year/
Appleが発表した新しいBCI規格は「脳コンピューターインターフェース・ヒューマンインターフェースデバイス(BCI HID)」と呼ばれており、筋委縮性側索硬化症(ALS)や脳卒中、脊髄損傷などで運動機能障害を持つ人がハンズフリーかつ音声フリーでデジタル機器にアクセスできるようにすることが念頭に置かれています。
Appleは、脳の運動野の上にある静脈に埋め込むステント状のデバイスを製造するSynchronと共同で、この新しい規格の開発に取り組んできました。この「Stentrode」と呼ばれる脳インプラントには、脳信号を読み取る電極が搭載されており、これを画面上のアイコンの選択に変換することで、ユーザーは考えるだけでiPhoneなどのデバイスを操作できるようになります。
SynchronのCEO兼共同創設者であるトム・オクスリー氏は「これは人とデバイスのインタラクションにおける決定的な瞬間です。BCIは単なるアクセシビリティツールではなく、次世代のインターフェースレイヤーなのです。そして、Appleはタッチ、音声、タイピングに匹敵する新しいインターフェースパラダイムとしての脳信号の開発に貢献しています。BCIがAppleデバイスのネイティブ入力として認識されることで、運動障害のある方だけでなく、それ以外の方にも新たな可能性が開かれるでしょう」と話しました。

Synchronは2019年以降、10人にStentrodeデバイスを埋め込んでいます。その初期テストの参加者であるマーク・ジャクソン氏は、ALSにより立ち歩くことも、自宅から出ることもできませんが、インプラントに接続されたApple Vision Proでアルプス山を訪問し、険しい谷間をのぞき込んで足が震えるのを体験できたとのこと。
Stentrodeはまだ開発初期の段階なので、マウスでカーソルを動かしたり、指でタッチスクリーンを操作したりする動作を再現することはできず、操作はPCやスマートフォンへの通常の入力よりもはるかに遅くなります。しかし、イーロン・マスク氏率いるNeuralinkが、Stentrodeの16個より多い1000個の電極を持ち、脳の表面ではなく脳の内部に埋め込む「N1」により、マウスを使うよりも速く思考での操作ができることを実証するなど、BCI技術は有望です。
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Appleは2025年後半に、BCI HIDを新しい標準規格として他の開発者向けに公開する計画です。また、Synchronも年内にBCI HIDをサポートしたシステムを臨床試験参加者向けに展開し始める予定としています。
BCI HIDの発表と同日に、Appleは2025年後半に提供開始予定の新しいアクセシビリティ機能を多数発表しました。その中には、アプリやゲーム内のアクセシビリティ機能を強調表示するApp Storeの「アクセシビリティ栄養表示(Accessibility Nutrition Labels)」、Mac用の拡大鏡の刷新、Appleデバイスと点字ディスプレイの統合を強化する「Braille Access」、失読症や弱視など様々な障害を持つユーザーがテキストを読みやすくするために設計された「アクセシビリティリーダー」、Apple Watchへのライブキャプションの追加、弱視や視覚障害のあるユーザー向けに物体を拡大表示したり文章を読み上げたりするApple Vision Proの「強化されたビュー」などが含まれます。
ティム・クックCEOは「Appleでは、アクセシビリティは私たちのDNAの一部です。すべての人のためのテクノロジーを作ることは、私たち全員にとっての最優先事項であり、2025年に私たちが発表するイノベーションを誇りに思います。これには、人々が重要な情報にアクセスし、周囲の世界を探索し、好きなことをするためのツールが含まれます」とコメントしました。
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in ハードウェア, Posted by log1l_ks
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