OpenAIのサム・アルトマンCEOが「AIの公開に政府の承認が必要になるとアメリカの優位性が壊滅的な打撃を受ける」と指摘

AI技術の急激な進歩と需要の高まりを受け、チャットAI「ChatGPT」などを開発するOpenAIのサム・アルトマン氏やその他テクノロジー企業の幹部が連邦議会の公聴会に出席し、業界が直面する最大のチャンス、リスク、ニーズ、中国とのAI競争について証言しました。
Winning the AI Race: Strengthening U.S. Capabilities in Computing and Innovation...
https://www.commerce.senate.gov/2025/5/winning-the-ai-race-strengthening-u-s-capabilities-in-computing-and-innovation_2
OpenAI CEO Sam Altman's Senate testimony shows industry shift on regulation - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2025/05/08/altman-congress-openai-regulation/
Sam Altman and other U.S. tech leaders testify to Congress on AI competition with China - Washington Times
https://www.washingtontimes.com/news/2025/may/8/sam-altman-us-tech-leaders-testify-congress-ai-competition-china/
Sam Altman wants industry to lead the future - POLITICO
https://www.politico.com/newsletters/digital-future-daily/2025/05/08/altman-mohar-00336279
AI leaders to urge senators to speed power supply permitting, boost government data access | Reuters
https://www.reuters.com/business/microsoft-urge-senators-speed-permitting-ai-boost-government-data-access-2025-05-07/
公聴会に出席したのは、アルトマン氏、半導体メーカーAMDのリサ・スーCEO、AIクラウドコンピューティングのスタートアップCoreWeaveの共同創業者であるマイケル・イントラター氏、そしてMicrosoftの副会長兼社長のブラッド・スミス氏でした。この4人は、AI関連プロジェクトと資金調達に関する政策の合理化を全員一致の意件として要請し、こうした活動を支援するよう議員らに求めました。

AIの開発においては、AIがもたらすリスクを勘案し、慎重な開発姿勢を求める声も多くあります。実際、OpenAIは自社に安全・セキュリティ委員会を設置して生成コンテンツの透明性確保やジェイルブレイク、悪用の防止などに努めており、OpenAIの元主任サイエンティストであるイルヤ・サツキヴァー氏はビジネスよりも安全性を常に優先するというAI企業「Safe Superintelligence」を設立するなど、利便性を追求するだけでなく、一歩踏みとどまってAIの悪影響を最小限に抑えるという姿勢が業界全体で望まれています。
政府もAI規制法を立案するなどして規制を進めていますが、一方で過度な規制はイノベーションを妨げるという意見も公聴会では寄せられました。
公聴会において、共和党所属で上院商務委員長のテッド・クルーズ氏が「AIの規制がイノベーションを窒息させる」と発言したところ、アルトマン氏はこれに賛同し、「欧州連合がやっているような慎重なアプローチは破滅的だ」と批判。何よりも「自由」を主張し、「大人のユーザーにAIを好きなように使える自由を十分に与える必要がある」と述べました。加えて、強力な人工知能ソフトのリリースに政府の承認が必要になるという案についてもアルトマン氏は「悲惨な結果を招く」と懸念しています。
また、民主党所属のマリア・キャントウェル上院議員が「アメリカ国立標準技術研究所が、AI開発の標準を定める必要はあると思うか」と尋ねたところ、アルトマン氏以外の3人は肯定し、アルトマン氏だけが「必要ないと思う」と答えています。アルトマン氏は「ある程度の政策は良いと思うが、行き過ぎてしまう可能性もある。標準化はイノベーションの速度を高めるのに役立つと思うが、まず業界が何をすべきかを明確にすることが重要だ」と話し、標準化の試みは時期尚早であると示唆しました。
アルトマン氏による規制緩和の発言は、過去の「生成AIが現実をゆがめ、前例のない危険をもたらすという懸念へ対処するために政府による規制介入が重要」という発言から180度転換したものだと、ワシントン・ポストは指摘しています。
OpenAIのサム・アルトマンCEOが「AIの規制は不可欠」と発言、公聴会でChatGPTが法案を作成し国会議員たちを驚かす一幕も - GIGAZINE

公聴会では、AI開発に必須の半導体の話題から、雇用、人間関係、AIが消費する膨大な電力を賄う発電に関する議論、中国や欧州連合との世界的な競争に関する問題まで、幅広い議題が取り上げられました。
アルトマンCEOはAIについて「インターネットと同じくらい、もしかしたらそれ以上の規模になるだろうと確信している」と意見し、世界的な才能を引きつける能力と、自国の製品を世界的に販売する能力こそが、アメリカの国家安全保障に直接関連していると指摘しました。

Microsoftのスミス氏は、国家はイノベーション競争やAI普及競争に勝利しなければないと明言し、大規模なデータセンターとインフラの拡充、電力の確保、労働者の育成が不可欠であると言及したほか、AIを同盟国や友好国に輸出することも重要であり、自国の技術を促進するだけでなく、技術を他国に普及させるという点で、アメリカと中国は激しく競っているとも指摘しています。
普及という点で、オープンソースで公開している中国のDeepSeekのような製品に対抗するべく、OpenAIは「オープンウェイト」のAIモデルを近々リリースする予定です。
DeepSeekは「低コストで高パフォーマンスを実現するオープンソースAI」として一躍話題になりましたが、特定の単語をブロックする中国政府準拠の検閲体制が敷かれているほか、理論上は中国政府がアクセス可能なサーバーにデータが送信されているという指摘、設計上の意図なのか否か、質問者の言語によって回答を変えるなどの指摘もあり、DeepSeekの利用を禁止する動きも見られます。公聴会ではスミス氏が「セキュリティとプロパガンダへの懸念から、Microsoftの従業員にDeepSeekの使用を許可していない」と発言しています。
DeepSeekのモデルは質問者の言語に忖度して回答を変えるとの指摘 - GIGAZINE

このほか、AMDのスー氏が「AIでリードするには大規模なデータセンターを迅速に構築し、信頼性が高く、手頃な価格で、クリーンなエネルギー源で電力を供給することが必要」と語ったほか、スミス氏が「AIのトレーニングのためにアメリカ政府が保有するデータセットを公開すれば、AIの能力を飛躍的に加速させることができる」と述べるなど、AIについての意見が多数交わされました。
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in ソフトウェア, Posted by log1p_kr
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