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「性的な画像の送信」が原因でインドの裁判所が暗号化メール「Proton Mail」を全国でブロックするよう命じる


スイスに拠点を置く暗号化メールサービス・Proton Mailを通じて、AIによって生成されたディープフェイク画像や、性的に露骨な内容などを含んだメールが送信された問題を巡る裁判で、インドの高等裁判所は2025年4月29日に、Proton Mailをブロックすることを連邦政府に命じました。

Karnataka HC directs Centre to ban encrypted email service ‘Proton Mail’ | Latest News India - Hindustan Times
https://www.hindustantimes.com/india-news/karnataka-hc-directs-centre-to-ban-encrypted-email-service-proton-mail-101745953052044.html

Karnataka High Court Directs Union Govt To Take Steps For Blocking 'Proton Mail' In India
https://www.livelaw.in/high-court/karnataka-high-court/karnataka-high-court-hearing-central-government-ban-proton-mail-290709

Indian court orders blocking of Proton Mail | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/04/29/indian-court-orders-blocking-of-proton-mail/

現地メディアのHindustan Timesによると、カルナタカ高等裁判所は政府に対し、Proton Mailのブロックに向けて、2008年IT法と2009年情報技術規則による手続きを開始するよう指示したとのこと。


この裁判所命令は、バンガロールの建築デザイン会社・M Moser Designが提起した訴訟によるもの。請願書の中で原告企業は、同社の女性従業員がProton Mailを通じて繰り返し送信された加工写真やAI生成のディープフェイク画像、性的に露骨な内容を含むメールの標的になったと訴えています。そして、それらが多数の従業員や取引先、競合他社に送られたことで、関係者が精神的損害と回復不能な名誉の毀損を受けたと主張して、インド電子情報技術省に対してProton Mailのブロックを求めていました。

M Moser Designが受信したメールに目を通したカルナタカ高等裁判所のマヘシャン・ナガプラサナ判事は、「内容がポルノに類似している」と指摘した上で、問題の深刻さを踏まえると、中央政府が適切な措置を執らなければならないとの見解を示しました。


伝えられるところによると、Proton Mailはインドの複数の学校に対する爆破予告にも使われたことがあるとのこと。警察は、Proton Mailに対してメールの送信者を明かすよう求めましたが、Proton Mailが拒否したため、テロの予告による脅迫を行った容疑者の身元の特定はできていません。そこで、警察は政府にProton Mailをブロックするよう求めていましたが、スイス政府の介入により実現しませんでした。

M Moser Designの弁護士であるジャティン・セガル氏は裁判で、Proton Mailのサイトではインド当局による監視を回避する方法が案内されていることや、インドのVPNサーバーのデータ保管が2022年に義務化された後にインドから物理的なVPNを撤去したことをProton Mailが宣言している点などを指摘した上で、「我が国では、法執行機関がアクセスできない国内事業は何人にも許可されていません。インドの法律に従わず、サーバーへのアクセス提供に応じないのであれば、インドで事業の運営はできません」と述べました。

一方、Proton Mailは爆破予告事件に関する声明で、「Proton Mailへのアクセスをブロックしても、法を遵守する国民が安全に通信できなくなるだけで、サイバー犯罪者が別のメールサービスを使って脅迫を送ることを防ぐことはできません。犯人がインド国外にいる場合は特にそうです」と述べました。


スイスの法律により、Proton Mailはいかなるデータも外国に送信することができませんが、Proton Mailはスイス当局からの命令に応じなければならず、またスイス当局はスイスでの違法行為に対し、必要に応じて外国当局の捜査を支援することがあります。

インド当局は今後、スイスと締結している刑事共助条約に基づき、問題の電子メールの送信者に関する情報の提供を求める嘱託状を発効する予定だとしています。

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