寝る前にやたらと目が冴えてきて眠れなくなる「セカンド・ウィンド」現象はなぜ起きる?

1日の終わりには眠くなるのが普通のはずですが、「なぜか夕方や夜になって突然エネルギーがわいてきて寝付けなくなる」という人は少なくないはず。海外では俗に「セカンド・ウィンド」、正式な科学用語で「覚醒維持ゾーン(Wake maintenance zone)」と呼ばれているこの現象について専門家が解説しました。
Why do we get a 'second wind' of energy at the end of the day? | Live Science
https://www.livescience.com/health/sleep/why-do-we-get-a-second-wind-of-energy-at-the-end-of-the-day

人が目覚めたり眠気を感じて就寝したりするタイミングである概日リズムは、主に脳の視床下部と呼ばれる領域によって制御される生理現象ですが、実は夜中に元気になってくるセカンド・ウィンドも概日リズムによる自然な現象です。
アメリカのセント・トーマス大学で神経科学を専門に研究している心理学教授のロクサーヌ・プリチャード氏によると、セカンド・ウィンドが発生するのは体内の覚醒信号がまだ高く、睡眠を促進するホルモンであるメラトニンなどの睡眠信号の作用もまだ不完全な時だとのこと。
これは、寝る前に一仕事できる方が進化論的に有利だったことによるものだと考えられており、プリチャード氏は「セカンド・ウィンドは私たちの祖先が夕食を用意したり、安全に眠れる場所を確保したりといった重要な仕事をこなすのに役立った可能性があります」と話しました。

セカンド・ウィンドの長さは人によってまちまちで、夜型の人は朝型の人よりも覚醒維持ゾーンが長くなる傾向がある一方で、朝型の人はセカンド・ウィンドが短く、比較的早く眠りに就きやすい傾向があります。
こうした自然な概日リズムや体質に加え、ライフスタイルや体調次第でセカンド・ウィンドでのエネルギー急増はさらに顕著になります。
睡眠時無呼吸症候群を専門とする医療機器メーカー・Aeroflow Sleepの認定睡眠医師であるクリス・アレン氏は「悩みや不安、深夜の仕事、ソーシャルメディアの使用、刺激になるような活動は、コルチゾールやエピネフリンなどのストレスホルモンの放出を誘発し、覚醒を強める可能性があります」と話しました。
特に、電子機器から発せられるブルーライトを浴びると、概日リズムを調節するホルモンであるメラトニンの分泌が抑制されてしまうことが2022年の研究で確かめられています。アレン氏によると、このブルーライトの作用により、脳がまだ昼間だと錯覚してしまうおそれがあるそうです。

就寝前に目が冴えてしまうもう1つのよくある原因は、睡眠時間を削って余暇を捻出する「リベンジ夜更かし」です。アレン氏は、「人は就寝前の時間帯に精神の刺激になるような活動に従事することが多いため、これが覚醒度を高めてしまいます」と話しました。
では、夜中に目が冴えてしまったらどうすればいいのかというと、専門家はあふれ出てくるエネルギーに抵抗しながら寝返りを繰り返すぐらいなら、いっそ起きてしまうことを推奨しています。プリチャード氏は「経験則ですが、軽度から中程度の運動や、ストレス要因に正面から対処することでストレスが和らぐと、夜遅くに眠りに就きやすくなるかもしれません」と話しました。
ただし、夜中に目覚めて活動するのであれば、照明を最小限にしたり、できるなら明かりを暖色系に調光したりしたほうがいいかもしれません。2012年と2019年に発表された2つの研究では、「暖色系の赤色光は青色光に比べて、睡眠の質とメラトニンレベルを向上させ、体内時計を外部の時間シグナルと同期させるのに役立つ可能性がある」ことが示唆されました。
ただし、この2つの研究はいずれも小規模なので、確証を得るには大規模な研究が必要になります。専門家の中には、赤色光は他の光より睡眠を妨げにくい一方で、必ずしも睡眠を促進しているわけではないと主張している人もいるそうです。

そして、セカンド・ウィンドの最善の対策は、就寝する時間に目が冴えてしまわないようにすることです。アレン氏は、「毎日同じ時間に就寝し、同じ時間に起床することで、体内時計が整い、セカンド・ウィンド現象が軽減されます。これは研究でも裏付けられています」と話しました。
睡眠スケジュールを守るには、就寝時間が近づいたら光にさらされる時間を制限することが役立つほか、就寝前にリラックスする習慣を身につけることも重要です。これは、光を浴びることだけでなく、行動による外部的なシグナルにも睡眠スケジュールが影響されるからだとのこと。
こうした対策を講じても、寝る直前に気分が高ぶってしまうことが続くようなら、睡眠障害の可能性があるかどうか調べるために睡眠専門医に相談するのも有益だと、プリチャード氏は推奨しました。
・関連記事
ソファで寝落ちした後でベッドに入ると目が覚めてしまうのはなぜ? - GIGAZINE
なかなか寝付けない夜に眠りにつくための6つのヒント - GIGAZINE
なかなか眠れない人のための簡単に眠る10の方法 - GIGAZINE
なかなか寝付けない夜に眠りにつくための6つのヒント - GIGAZINE
なかなか眠れない人のための簡単に眠る10の方法 - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in サイエンス, Posted by log1l_ks
You can read the machine translated English article What causes the 'second wind' phenomenon….