AIで司法試験の問題が作られたことが判明して批判が殺到

アメリカの弁護士資格認定機関であるカリフォルニア州弁護士会が2025年4月21日に、2月に実施された司法試験の設問171問のうち23問がAIを使用して作成されたものだと公表しました。これを受けて、受験者や教育機関からは強い批判の声が上がりました。
State Bar of California admits it used AI to develop exam questions - Los Angeles Times
https://www.latimes.com/california/story/2025-04-23/state-bar-of-california-used-ai-for-exam-questions
AI secretly helped write California bar exam, sparking uproar - Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2025/04/ai-secretly-helped-write-california-bar-exam-sparking-uproar/

報道によると、2025年2月に行われたカリフォルニア州の司法試験では、受験生から試験問題にタイプミスやわかりにくい悪問があったとの苦情が上がっていたとのこと。一部の受験者は「いくつかの問題はまるでAIが書いたかのようだった」と不満を漏らしていたそうです。
こうした批判を受けて、カリフォルニア弁護士会は司法試験で出題された多肢選択式の問題171問のうち100問は民間のKaplan Exam Servicesに委託して作成したものであること、48問は法科大学院1年生の試験問題を使用したものであること、そして残りの23問は弁護士ではなく心理測定士の組織であるACS VenturesがAIの支援を受けて作成したものだと発表しました。
この発表に対し、カリフォルニア大学アーバイン校ロースクールのアカデミックスキル担当副学部長であるメアリー・バシック氏は「言葉を失いました。弁護士ではない人が、AIを使って司法試験の問題を作成したなんて、本当に信じられません」と話しました。

弁護士会は、AIで試験問題を作成したこと自体は問題ないとの立場を取っており、リア・ウィルソン事務局長はプレスリリースで「ACS Venturesの問題はAIの支援を受けて作成され、その後、試験前に内容検証委員会と専門家によるレビューを受けました」と述べました。
AIが使用された経緯をめぐっては、関係者の間で見解の相違が見られます。弁護士試験委員会委員長のアレックス・チャン氏によると、司法試験を監督しているカリフォルニア州最高裁判所は、弁護士会に「試験の信頼性と費用対効果を高めるためにAIなどの新技術を研究する」よう促したとのこと。
一方、最高裁判所はメディアに対し、「弁護士会がプレスリリースを出すまで、多肢選択式問題の作成にAIが使われていたことは関知していませんでした」と述べました。

試験問題の作成にAIが使われたことにまつわる物議は、今回の司法試験で発生したより広範な問題の一部です。オンライン試験プラットフォーム・Meazure Learningを通じて実施された2月のリモート司法試験では、一部の受験者が画面のフリーズやクラッシュ、エラーなどの技術的障害に見舞われ、問題を解く時間が圧迫されたり、解答をアップロードできなかったりするケースが発生したとのこと。また、試験官が基本的な質問にも答えられなかったり、誤った情報を提供したり、受験者に無礼な態度を取ったりしたことも報告されました。
こうした不手際があったため、一部の受験生はMeazure Learningに対する集団訴訟に踏み切ったほか、州議会も調査に乗り出しました。
また、AIで作成された問題だけでなく、法科大学院1年生のテストの問題が流用されたことも教育者から批判されており、バシック氏は「法律実務を行うための最低限の能力があるかどうかを判断する試験には、法科大学院の初年度の学習を評価するものとは異なる基準が必要です」と述べて、懸念を表明しました。
弁護士会はプレスリリースで、2025年4月18日に開いた司法試験委員会の会合により「公平性を確保するために合格基準を引き下げるのが妥当」との結論が示されたことを受けて、その旨の請願書を最高裁判所に提出したことを公表するとともに、5月の会合で受験者に対する救済措置について改めて検討する予定であると述べました。
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