Discordが13歳未満の児童を性的・暴力的コンテンツから守る機能が不十分だとして州司法長官から提訴される

コミュニケーションアプリ「Discord」が、アプリを使用する際に子どもが被るかもしれない害について利用者を欺き、また子どもの保護措置を怠ったとして、ニュージャージー州司法長官から訴訟を提起されました。
AG Platkin Sues Messaging App “Discord” for Unlawful Practices That Expose NJ Kids to Child Predators and Violent, Sexual Content - New Jersey Office of Attorney General
https://www.njoag.gov/ag-platkin-sues-messaging-app-discord-for-unlawful-practices-that-expose-nj-kids-to-child-predators-and-violent-sexual-content/
N.J. sues messaging app Discord for alleged youth endangerment - New Jersey Globe
https://newjerseyglobe.com/judiciary/n-j-sues-messaging-app-discord-for-alleged-youth-endangerment/
2025年4月17日、ニュージャージー州のマシュー・J・プラットキン司法長官と消費者庁が、Discordに対し「安全管理の有効性について保護者を欺き、アプリケーション使用時に子どもたちが直面するリスクを隠ぺいする、欺瞞(ぎまん)的で不当な商行為があった」として訴訟を起こしたと発表しました。
プラットキン司法長官らが問題視したのは、Discordのダイレクトメッセージ(DM)に設定された安全機能が適切に働いていなかったこと、年齢確認がずさんだったことの2点です。
2017年3月28日から2023年4月22日まで、Discordはユーザー設定の「プライバシーと安全」メニューに「安全なダイレクトメッセージング」という項目を設けていました。この項目には以下3つのオプションが用意されていました。
・全員のDMをスキャンする
・友達以外からのDMをスキャンする
・誰のDMもスキャンしない
Discordは、上記の項目を提供していた期間の大部分で、新規ユーザーのデフォルト設定を「友達以外からのDMをスキャンする」にしていました。
しかし、Discordのデフォルト設定では、同じサーバーに入っているユーザーであればどんなユーザーでも子どもにフレンドリクエストを送ることが可能でした。これによりいったんフレンドになったユーザーは上記の設定によりまったくスキャンされていないDMを交換することができてしまい、子どもたちは面識もつながりもないユーザーから送られた友達リクエストを受け入れ、性的に露骨なコンテンツを送受信してしまう可能性がありました。
プラットキン司法長官らは、「Discordは安全なダイレクトメッセージングでDMを自動的にスキャンして削除すると主張し、アプリが安全であると表明してきたが、これは真実ではなかった」と指摘しています。

加えて、Discordは年齢確認も怠っていたとされています。Discordは利用規約で13歳未満の登録を禁止していますが、Discordはアカウント作成時に生年月日の入力を要求するだけで、何か特別な年齢確認を実施しているわけではありません。このことから、プラットキン司法長官らは「Discordが努力し、簡単な確認措置を設けていれば、13歳未満の子どもを効果的に締め出すことができたはずだ」と判断しています。
なお、プラットキン司法長官らが訴訟を提起した前日に、Discordはタイミングよく年齢認証のテストを始めています。これはセンシティブなコンテンツを閲覧する前に顔または身分証明書をスキャンして年齢確認を求めるというもので、イギリスとオーストラリアで試験的に展開されています。
プラットキン司法長官らによると、実際にDiscordを通じて子どもが被害に遭うケースが多数あり、大人が子どものふりをして別の子どもに接触し性的な画像を送信したり、送信を要求したりしていたとのこと。Discordは「13歳未満の利用を禁止するポリシーを徹底している」と主張しているにもかかわらず、被害に遭った子どもは13歳未満だったそうです。

以上2つの点においてDiscordがニュージャージー州消費者詐欺法に違反しているとして、プラットキン司法長官らはDiscordの利用差し止めのほか、ニュージャージー州で発生した利益を没収して子どもたちへの救済措置を行うよう求めています。
プラットキン司法長官は「Discordは保護者に安全を約束しながら、意図的にその約束を破るような選択をしています。何千人ものユーザーが、自分や自分の子どもたちは安全だと信じて利用を始めたのに、実際はそうではなかったという誤解を受けました。我々は、この違法行為に歯止めをかけ、Discordが子どもたちに与えた損害の責任を追及するつもりです」と伝えました。

訴訟提起を受け、Discordの広報担当者は「当社に対して訴訟を起こしたという発表に驚いています。我々は訴訟の主張に異議を唱え、法廷で弁護することを楽しみにしています」との声明を寄せました。
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