冷水浴をたった1週間続けるだけで細胞レベルで体が変わり健康になる可能性

一部の人々は健康のためにあえて冷たい水につかる「冷水浴」を実践しており、そうでなくてもサウナの後などに水風呂につかって、体が引き締まるような刺激を感じた経験がある人もいるはず。新たな研究では、1日1時間ほどの冷水浴を1週間続けるだけで、体に細胞レベルでポジティブな変化が現れることが明らかになりました。
The Effect of 7‐Day Cold Water Acclimation on Autophagic and Apoptotic Responses in Young Males - King - 2025 - Advanced Biology - Wiley Online Library
https://advanced.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adbi.202400111

Cold plunges actually change your cells, uOttawa study finds | Faculty of Health Sciences
https://www.uottawa.ca/faculty-health-sciences/news-all/cold-plunges-actually-change-your-cells-uottawa-study-finds
A Week of Swimming in Cold Water Can Change You on a Cellular Level : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/a-week-of-swimming-in-cold-water-can-change-you-on-a-cellular-level
人間は寒さにさらされた際、服を着込んだり暖かい場所に移動したりする行動的反応に加え、体を震わせたり血管を収縮させたりする生理的反応によって、深部体温をほぼ正常なレベルに保っています。さらに、冷水につかるなどの生理学的反応では対処しきれない状況に追い込まれると、反応速度の低下や細胞膜の収縮、タンパク質変性などによる細胞損傷などが発生する可能性があります。
ある程度のラインを超えると、損傷した細胞の死(アポトーシス)の連鎖的な発生を防ぐため、細胞を守るための保護メカニズムが始動するとのこと。細胞保護メカニズムの中で特に重要なのが、異常なタンパク質の蓄積を防いだり損傷した物質を分解したりするオートファジーというプロセスであり、これは健康維持や老化防止にも重要な仕組みだといわれています。
過去の研究では、冷たい空気や冷水に数十時間さらされ続けたマウスやゼブラフィッシュで、オートファジーが増加することが示されています。しかし、人間が冷水浴などで低温にさらされた場合、オートファジーが増加するのかどうかはよくわかっていませんでした。
そこでカナダ・オタワ大学の研究チームは、20代の健康な男性10人を被験者として、「1日あたり1時間の冷水浴を1週間続け、採取した血液サンプルを分析してオートファジーや細胞ストレスへの影響を調べる」という実験を行いました。

被験者は研究室に到着すると水着に着替え、30分間ほどセ氏23度の部屋に座って深部体温を安定させました。その後、深部体温を測りながらセ氏13~15度の冷水に肩までつかり、60分間経過するか深部体温がセ氏35.5度まで下がった段階で冷水から出て、セ氏39度のお湯につかって体を温める実験を7日間続けました。
研究チームは実験の1日目・4日目・7日目に、冷水につかる前後でそれぞれ被験者から血液サンプルを採取しました。そしてサンプルを分析し、オートファジーやアポトーシス、炎症などに関するタンパク質発現を調べました。
その結果、被験者の体におけるオートファジーは当初こそ冷水浴後に機能不全に陥っていましたが、1週間にわたる実験後にはオートファジーの活性が増加し、細胞損傷シグナルが減少することが確認されました。また、アポトーシスと炎症の兆候も1週間の実験により改善したとのことです。
論文の筆頭著者で、オタワ大学の博士研究員であるケリー・キング氏は、「体がこれほど早く適応するのを見て驚きました。寒さにさらされると病気の予防に役立つかもしれないだけでなく、細胞レベルの老化を遅らせる可能性さえあります。これはあなたの体の微細な機械をチューンナップするようなものです」とコメント。
論文の共著者であるオタワ大学のグレン・ケニー教授も、「私たちの発見は、寒さへの暴露を繰り返すことで、重要な細胞保護機構であるオートファジーの機能が著しく向上することを示しています。この機能向上により、細胞はストレスにうまく対処できるようになり、健康や長寿にとって重要な意味を持つ可能性があります」と述べました。

なお、今回の研究は10人という少人数で行われたものであり、被験者はいずれも若い男性でした。また、実験は厳密に気温が管理された室内で行われたものであり、部屋の空気も冬の屋外のように寒くはなかったことから、冷水浴をする人や環境が異なるとまた違う結果が出る可能性もあるとのことです。
・関連記事
冷たい水風呂に入る「冷水療法」は逆に健康に悪影響を及ぼす - GIGAZINE
「冷たいシャワー」が病気を減らすとの研究結果、減量やメンタルヘルス改善の効果も - GIGAZINE
「氷風呂」に健康上のメリットはあるのか? - GIGAZINE
運動後の水風呂は筋肉を回復させるのか? - GIGAZINE
サウナ利用者は「間違った効能を期待してサウナに入っている」という調査結果 - GIGAZINE
「サウナ」で熱中症にかかり多臓器不全で意識不明に陥った症例報告 - GIGAZINE
サウナ風呂に頻繁に入る人はそうでない人よりも認知症に66%もなりにくいことが研究で判明 - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in サイエンス, Posted by log1h_ik
You can read the machine translated English article Just one week of cold water baths could ….