サイエンス

4億5000万個以上の銀河をマッピングして宇宙の始まりを探るNASAの近赤外線宇宙望遠鏡「SPHEREx」の打ち上げに成功


NASAが2025年3月12日に、2年間で4回にわたって4億5000万個以上の銀河を含む全天地図を作成する近赤外線宇宙望遠鏡The Spectro-Photometer for the History of the Universe, Epoch of Reionization and Ices Explorer(SPHEREx)の打ち上げに成功しました。

NASA Launches Missions to Study Sun, Universe’s Beginning - NASA
https://www.nasa.gov/news-release/nasa-launches-missions-to-study-sun-universes-beginning/

SPHEREx & PUNCH: Studying the Universe and Sun (NASA Mission Trailer) - YouTube


SPHERExは近赤外線宇宙望遠鏡を打ち上げて2年間で4回にわたって全天の地図を作成するミッションで、2019年2月に採択されました。ミッション内容は、分光光度計を使って0.75~5.0マイクロメートルの近赤外スペクトルを測定し、地球に光が届くまでに100億年かかるような遠い銀河も含め、近距離から遠距離まで数億の銀河を調査するというものです。


SPHERExの見た目は以下のような円すい形で、地球と太陽の熱から望遠鏡を保護する3枚の円錐形の光子シールドと、機器からの熱を宇宙に逃がす放熱板、そして分光光度計で構成されています。


このミッションで作成される全天地図はこれまでの地図の色分解能をはるかに超え、102の異なるカラーバンドで作成されるとのこと。


また、SPHERExはハッブル宇宙望遠鏡やジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の成果を補完するものとして、さらには宇宙が生まれた直後の急膨張である「インフレーション」を解明する鍵となるようなデータを発見することも期待されています。加えて、太陽系を含む天の川銀河では、恒星がガスと塵から生まれる領域である恒星育成場や、新しい惑星が形成されつつある可能性のある恒星の周りの円盤で、生命に不可欠な水と有機分子を探すミッションも設定されています。

SPHERExの打ち上げには、SpaceXのFalcon 9ロケットが選ばれました。また、SPHERExと同時に、2024年6月の打ち上げが予定されていた太陽風研究ミッション「PUNCH(Polarimeter to Unify the Corona and Heliosphere)」の衛星も打ち上げられることになりました。


天候不良などの理由で何度も打ち上げが延期されましたが、日本時間で2025年3月11日12時10分に、SPHERExとPUNCHを積載したFalcon 9ロケットがカリフォルニア州にあるヴァンデンバーグ宇宙軍基地の第4発射施設から打ち上げられました。そして、同日13時31分に、NASA・ジェット推進研究所の地上管制官とSPHEREx望遠鏡の通信が成立したとのこと。SPHEREx望遠鏡はここから約1カ月の初期チェックを経て、2年間にわたるミッションを開始します。


NASAの科学ミッション部門副管理者であるニッキー・フォックス氏は「SPHERExとPUNCHの両方を1つのロケットで打ち上げることで、宇宙で素晴らしい科学研究を行う機会が2倍になります。はるか遠くの銀河から近隣の恒星まで宇宙を探索する両ミッションチームに祝意を表します。今後数年間でデータが返されるのを見るのが楽しみです」とコメントしています。

また、SPHERExのプロジェクトマネージャーであるジェームズ・ファンソン氏は「『私たちはどうやってここに来たのか?』『生命体は私たち人類だけなのか?』といった疑問は、人類が歴史を通じて問い続けてきたものです。これらの疑問に答えられる科学ツールが存在する時代に私たちが生きているというのは、信じられないことでしょう」と語りました。

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in サイエンス,   動画, Posted by log1i_yk

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