スポーツチームの応援に熱中するあまり勝敗に感情が左右されてしまう人に心理学者が送る「6つのアドバイス」

スポーツでひいきのチームを応援するのは楽しいものですが、時には試合に負けたことがショックで失望したり、気持ちが荒れたりしてしまうこともあります。臨床心理学者でありアメリカのホーリーファミリー大学で准教授を務めるパトリック・マッケルウェイン氏が、「応援しているチームが負けるとなぜ感情が揺れるのか、どうすれば感情のバランスを取ることができるのか」を解説しています。
The Psychology of Sports Fandom: Balancing Wins and Losses | Psychology Today
https://www.psychologytoday.com/intl/blog/stigma-addiction-and-mental-health/202502/the-psychology-of-sports-fandom-balancing-wins-and

マッケルウェイン氏は生涯にわたりNFLチームのフィラデルフィア・イーグルスを応援し続けており、「私のメンタルヘルスがイーグルスの状態と深く絡み合っていると、確信を持って言えます」と語っています。実際、2018年の第52回スーパーボウルでイーグルスが勝利し、NFLチャンピオンの座に輝いた時は数週間も超現実的な高揚感を覚えたとのこと。一方で、イーグルスが苦しい展開で負けると、まるで自分自身がダメージを負ったかのように苦しむそうです。
スポーツファンの多くは、こうした経験に心当たりがあるはず。スポーツチームの熱心なファンはチームと感情的なつながりを持っており、チームが勝利すれば自分のことのようにうれしく、チームが低迷すると自分まで苦しく感じるものです。1993年の研究では、ファンであることによる帰属意識は心理的に強力であり、コミュニティを育み、孤独感を減らし、さらに自尊心を高めることが示されています。
また、応援しているチームが勝利すると快感や多幸感をもたらす神経伝達物質のドーパミンが放出されることもわかっている一方、負けると幸福度が下がることも報告されています。
熱狂的なファンにとってスポーツ観戦は単なる娯楽ではなく、情熱をささげる対象であり、時にアイデンティティの一部にもなります。ひいきチームが勝つと自分も勝利したように感じる現象は「basking in reflected glory(BIRGing:反射された栄光を浴びる)」と呼ばれ、厳しい敗北後に一部のファンが離れてしまう現象は「cutting off reflected failure(CORFing:反射された失敗を切り離す)」と呼ばれます。

確かに応援しているチームが勝つとうれしいものの、自分ではコントロールできないひいきチームの勝敗に、自分のメンタルヘルスが左右されるべきではないとマッケルウェイン氏は主張しています。そこでマッケルウェイン氏は、応援しているスポーツチームが負けている時、メンタルのバランスを保つための戦略を6つ紹介しています。
◆1:あくまでスポーツの試合であることを見失わないようにする
情熱を持ってスポーツチームを応援すること自体に問題ありませんが、あくまで試合の勝敗はゲームの中だけのものであることを忘れないようにするべきです。スポーツの試合と現実の全体像を把握することで、敗北を重く受け止めすぎるのを防ぐことができます。
◆2:仲間のファンとつながる
勝利の喜びを分かち合う場合でも、手痛い敗戦を慰め合う場合でも、他のファンと話すことは感情を調整するのに役立ちます。他のファンと連帯しているという感覚は、チームが勝っても負けても得られるスポーツ観戦のメリットです。
◆3:他の活動に従事してみる
スポーツ観戦以外の趣味も持つことで、ひいきチームの試合結果だけに感情が振り回される状態を回避できます。運動や人付き合い、その他の趣味などに取り組むことで、感情のバランスを取ることができるとマッケルウェイン氏は述べています。

◆4:SNSを見過ぎないようにする
ひいきチームが負けた後、自分と同じようにショックを受けた人々のコメントを見続けると、ネガティブな感情がさらに強まってしまう可能性があります。SNS上でヒートアップしている議論から離れ、休憩することがメンタルヘルスのためには重要です。
◆5:マインドフルネスとアクセプタンス(受容)を実践する
ひいきチームが負けて自分が苦しんでいることを受容し、マインドフルネスのテクニックを実践することで、ストレスを軽減して自分がコントロールできる物事に焦点を当てることができます。
◆6:小さな喜びに着目する
たとえチームが負けたとしても、「新人選手が活躍した」「劇的な得点シーンがあった」「試合中のセレブレーションが盛り上がった」など、何かしらポジティブな点を見つけて喜ぶことをマッケルウェイン氏は推奨しました。

マッケルウェイン氏は、「熱狂的なスポーツファンであることは感情的な投資ですが、メンタルヘルスを犠牲にする必要はありません。勝利は歓喜をもたらしますが、感情を効果的に管理すれば、敗北が壊滅的なものになることはありません」と述べました。
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in サイエンス, Posted by log1h_ik
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