サイエンス

永遠の化学物質を避けるために「竹」の容器が研究されている


自然の環境下で分解されにくく、長期間残り続ける特徴から「永遠の化学物質」と呼ばれる有機フッ素化合物「PFAS」は、食品の包装などさまざまな場所で使われているため、環境に与える影響が心配されています。このPFASの利用を避けるため、「竹」を用いた容器が開発されています。

Bamboo takeout containers offer a sustainable alternative free of ‘forever chemicals’
https://news.ubc.ca/2025/02/bamboo-takeout-containers/


UBC researcher develops bamboo containers free of forever chemicals | Vancouver Sun
https://vancouversun.com/news/ubc-researcher-develops-containers-free-of-forever-chemicals

ブリティッシュ・コロンビア大学で環境学を学ぶカムリン・コレット氏は、プラスチックに代わる容器として適切な物質を調査。竹素材の専門家であるチャンピン・ダイ教授に指導を仰ぎ、「より自然な物質」として、竹の調査を始めました。

プラスチックの容器はPFASを使って耐熱性や安定性を維持しており、代替の容器にもこうした性能が求められるため、コレット氏は竹や「でん粉」を使った容器を試作。既製品と同等の性能を保たせることに成功したとのことです。


コレット氏が、サトウキビのカス「バガス」や竹で試作した300種以上のプレートを地中に埋めて生分解性をテストしたところ、すべてのプレートが6カ月以内に分解され、小さなゴミだけが残ったそうです。

コレット氏は「今回の試験は室温最大60度という産業的な基準に則した環境で行われましたが、日常の条件下でも同じくらい速く分解され、裏庭の堆肥で簡単に分解できることを示唆しています」と述べました。

竹は比較的成長が早いため、安定した供給が実現できるという点でも代替可能性を高めています。ダイ教授は「竹は信じられないほど速く成長します。数カ月で小さな森を育てることができます。竹は、埋め立て地を汚染することなく、プラスチックへの依存を減らすことができる再生可能リソースです」と指摘しました。


コレット氏は、竹のプレートをテイクアウトの容器の代わりとして使ったり、食料品店で肉をのせる発泡スチロールの皿の代わりとして使ったりすることが可能だと伝えています。

カナダのブリティッシュ・コロンビア州では、ゴミと汚染を減らすために、使い捨てのプラスチック製容器を2023年に廃止し、レジ袋の使用を禁止するという政策を進めているというのが今回の研究の背景にあります。また、外食産業は生分解性プラスチックや堆肥化可能プラスチック、発泡スチロールなど、リサイクルが難しい特定のプラスチックを使用した使い捨て容器の配布を制限されていて、2028年までにはポリ塩化ビニルのラップの使用が禁止され、2030年までには発泡ポリスチレン製食肉トレーの使用が制限される予定であり、こうした素材の代替物が求められています。竹は、カナダでも比較的簡単に手に入れられるという点でも優秀だとコレット氏は指摘しています。


コレット氏は「プラスチックのうち実際にリサイクルされるのはごく一部、約9%に過ぎず、そのほとんどが埋立地か自然環境に埋もれてしまうのです。新しい容器はプラスチック製の代替品に近い価格になる見込みです」と述べ、レストランに容器を提供する商業ベンチャーを立ち上げたいとの考えを示しました。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

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