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OpenAIのCEOが「AGIが実現すれば多くの製品が激安になる」「AIの経済価値は増加し続けるので投資を続けるべき」と発言し時代遅れの指摘もあるスケーリング則を改めて支持


OpenAIのサム・アルトマンCEOが自身のブログを更新し、AGI(汎用人工知能)が世界にもたらす影響や、これまでに得られたAIの経済性に関する3つの知見を語っています。それによると、AGIの発明は電気やインターネットの発明に並ぶ文明社会の大きな革新点となり、製品開発コストの低下などに伴って多くの製品が大幅に安く入手可能になるそうです。

Three Observations - Sam Altman
https://blog.samaltman.com/three-observations

アルトマン氏はブログの中で「AGIと呼べるシステムが見え始めている」と述べつつ、AIの経済性に関するこれまでの観察事項として以下の3点を挙げています。

1:AIモデルは、「トレーニングに費やすコンピューティングコスト」「トレーニングに用いる学習データの量」「推論に費やすコンピューティングコスト」が増えるほど知能が高くなる。費やすコストから継続的かつ予測可能な利益を得ることが可能で、この予測に用いるスケーリング則は桁違いに正確である。

2:AIの利用価格は12カ月ごとに10分の1に低下し、利用価格が下がると総使用量が大幅に増加する。実際に、2023年初頭にGPT-4が登場してから2024年中頃にGPT-4oが登場するまでにトークン当たりの利用価格は約150分の1にまで低下した。

3:直線的に性能を高めるAIの社会的経済価値は、超指数関数的に増加する。AIに対する投資は指数関数的に増加しているが、投資を停止する理由は見当たらない。


アルトマン氏は上記の3つの知見が今後も続く場合、社会への影響は重大なものになると指摘。また、実現を目指すAGIについて「電気」「トランジスタ」「コンピューター」「インターネット」の発明に続く人類にとって革新的なものになるとも主張しています。

アルトマン氏によると、AIは最終的に仮想的な同僚のようなものになるとのこと。例えばソフトウェア開発分野の場合、AIは人間による監督や指示を必要とするものの「数年の経験を持つ一流企業のソフトウェアエンジニアが2~3日かけてこなすタスク」を実行可能で、さらにAIは何百人でも何万人でも同時に働かせることが可能です。これにより、10年後には地球上の誰もが「現時点で最も影響力のある人物」よりも多くのことを達成できるようになるそうです。


AIの能力が向上するに従って、多くの製品の情報コストやエネルギーコストが低下し、各種製品の価格が劇的に低下するとのこと。一方で高級品や土地などの限られた資源の価値は劇的に上昇する可能性があるとアルトマン氏は指摘しています。

ただし、AIの能力向上は良いことばかりではなく、資本と労働のバランスが崩れてしまうリスクもあります。このため、アルトマン氏は地球上のあらゆる人がAIを利用できるように「コンピューティングバジェット」を与えたり、AIの利用コストを可能な限り低く抑えるといった対策が必要だと論じています。

なお、アルトマン氏は「トレーニングに費やすコンピューティングコスト」「トレーニングに用いる学習データの量」「推論に費やすコンピューティングコスト」が増えるほどAIの能力が向上するというスケーリング則を支持していますが、スケーリング則については「AIの学習に用いるデータは近い内に枯渇する」という指摘や「学習データやコンピューティングコストを増やせばAIの性能が上がるという状況はすでに終わっている」という指摘もあります。実際に中国企業のDeepSeekが2025年1月に公開した「DeepSeek-R1」は、OpenAI o1と比べて圧倒的に低いコストで開発されたにもかかわらず同等の性能を有していることが大きな話題となりました。

DeepSeekはどのようにしてOpenAIの3%のコストでo1を超えたのか? - GIGAZINE


アルトマン氏はDeepSeek R1の登場直後に「私たちの使命を成功させるには、これまで以上にコンピューティングが重要であると考えています。世界はAIを大量に使用したいと考えており、次世代モデルが登場すれば本当に驚くこととなるでしょう」と述べ、コンピューティングにコストをかけることが今後も重要であるという姿勢を改めて強調していました。今回のブログ記事でもスケーリング則の重要性を再度示した形です。

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in ソフトウェア, Posted by log1o_hf

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