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性行為後に女性が謎のナッツアレルギーを発症、まさかの原因とは?


数ある食物アレルギーの中でも、特にナッツアレルギーは驚くほど少量のナッツ成分が重篤なアナフィラキシーショックを引き起こす危険があるアレルギーの1つで、SNSには重度のナッツアレルギーの人が飛行機に搭乗していることを理由に、機内でのナッツ製品の開封を控えるよう呼びかけるアナウンスを聞いたとの報告もあります。過去には、そんなナッツアレルギーの非常に珍しい症例が発表されたことがあります。

Dangerous liaison: sexually transmitted allergic reaction to Brazil nuts - PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17583107/

Diagnostic dilemma: A woman's nut allergy was triggered after sex | Live Science
https://www.livescience.com/health/diagnostic-dilemma-a-womans-nut-allergy-was-triggered-after-sex

イギリスにあるセントヘリア病院免疫学科の医師らは、「危険な情事:ブラジルナッツに対する性感染アレルギー反応(Dangerous liaison: sexually transmitted allergic reaction to Brazil nuts)」と題した2007年の症例報告で、男性との性行為後に全身にじんましんができた女性のケースを紹介しました。

ボーイフレンドと避妊具なしでの性行為を行った当時20歳のこの女性は、直後に外陰部と性器に腫れとかゆみが生じ、全身に血管性浮腫とじんましんができたほか、軽い呼吸困難になって意識も朦朧(もうろう)としていたとのこと。


女性を診察した医師らは、アレルギー反応を抑える抗ヒスタミン薬であるセチリジンを処方しました。すると、女性の症状は薬の使用から45分で回復しました。女性は翌日も疲労感が残ったものの、じんましんや息切れ、めまいといった症状は無事に治まったとのこと。

幸い大事には至りませんでしたが、問題はこのようなアレルギー症状が出た原因です。女性は18歳ごろに重度のブラジルナッツのアレルギーと診断されていたため、それ以来ブラジルナッツは口にしていませんでした。また、ピーナッツやクルミ、ヘーゼルナッツはアレルギー検査で陰性でしたが、念のためこれらのナッツ類も一切食べないようにしていました。そのため、当初女性のアレルギー症状の原因はわかりませんでした。


一方、男性は性行為の2~3時間前にブラジルナッツを食べていましたが、女性のアレルギー体質についてよく知っていたので、食後に入浴して念入りに爪の間を洗い、歯も磨いていたとのこと。つまり、ブラジルナッツのかけらや食べかすが男性の手や口に残っていた可能性はほとんどありませんでした。女性の唇や口内には症状が出ておらず、最初に現れたアレルギー反応が局部に集中しているのがそのことを裏付けています。

この経緯から、「ブラジルナッツのアレルギー誘発タンパク質が性行為を通じて男性から女性の体内に取り込まれた可能性がある」と考えた医師らは、男性の精液を使ったアレルギー検査を実施しました。

パッチテストは2回に分けて行われ、1回目は4粒のブラジルナッツを食べた直後の男性の精液が、2回目は食べてから2時間半が経過した後の男性の精液が女性の肌に塗布されました。その結果、2回目のテストで肌に0.28インチ(約7mm)の腫れができました。


これは、男性の精液に含まれていたブラジルナッツ由来のアレルゲンが女性のアレルギー反応の原因だったことを示唆しています。

この検査結果を受けて、医師らは女性に抗ヒスタミン薬とアドレナリンペン(エピペン)を常備するよう指示するとともに、今後はブラジルナッツを食べた後のパートナーとは性行為をしないよう推奨したとのことです。

ブラジルナッツアレルギーはイギリスで2番目に多い食物アレルギーです。また、食物アレルギーのある人が、それらの食品を飲食したり取り扱ったりした人に触られたり、キスされたりしてアレルギー反応を起こすのはよくあることです。しかし、そのほとんどは手や唾液に残留していたアレルゲンが接触により移行したことが直接の原因だと考えられています。

一方、本件のように「食べ物由来のタンパク質が精液に分泌されて、それが性行為を通じて移行したことで間接的にアレルギー反応が発生した」というケースは極めてまれです。


医師らは症例報告に「性感染によるアレルギー反応としてはこれが最初の症例であると考えています」と記しました。

なお、女性と男性はこの一件の直後に破局してしまったため、追加の分析で男性の精液中にブラジルナッツの成分が入っていたことを直接確認することはできず、医師らは「残念」と嘆いています。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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